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彼女の夢
この物語の途中には、十五歳未満の方には過激、もしくは不相応と思われる描写が含まれる可能性があります。もし、設定された年齢に満たない方がご覧になっている場合は、申し訳ありませんが、退出をお願いします。
また、本作は縦書きを前提にしております。「縦書きで読む[PDF]」で御覧になっていただくことをお奨めいたします。携帯電話の方には不憫をおかけして、申し訳ありません。
では本作、『月の病』をお楽しみください。
水はなみなみ、満たして杯。
砂はさらさら、毀れて埋まる硝子の破片。
星はれいれい。鏤められた満天の、一見は孤独のそれぞれも、思わぬ縁で星宿り。
◇
掴みそこねた星屑一つ。
淡く烟る天の川の、
流れの一つ欲しさに指先浸し、
わずか広がる波紋に見惚れていたら、つい。
弾いたら、はしるほしぼし。
混ぜたら、うずのほしぼし。
掬ったら、ひかるほしぼし。
◇
遠く――遠く遠く、遥かに遠く。
彼方から、此方まで光を。
月明かりという標。
誘われて歩けば、なんて静かな夜。