1話 ただのバカが異世界に来た
初心者が書いたものです。広い心で読まないと小学生低学年の書いた文章に見えます。
(この作品を開いてくださっただけで十分広い心をお持ちかと思われます)
ただ学校という地獄から家に帰っていただけなのに、変に辺りが光り始めたかと思うと、謎の草原。
さらには目の前にはさっきまで一緒に下校していた友の代わりに棒人間が4人。それは相手も同じようで、現在分かっているのは自分達が何故か棒人間になっている、という事と此処が先程までいた場所ではないということだ。
遠くに山が見える気がするので、取り敢えず歩いてみる。すごく遠く、どれだけ歩いても着かないのはわかっていても、どうにかこの状況を脱そうと、取り敢えず歩く。
「ちょ待ってピール」
延々と果てしない草原を目的もなく歩く4人の足が止まる。
「……何?ゲーニ」
言うことすること信用できない、後ろにいる双子の弟の言葉に眉をひそめながら、
どうせなんでもないことだろうと思いつつ、空色のパーカーに身を包む少女が振り向く。
「見ろよ…あれ」
そして、目を見開いた。
そこには先ほどまではなかった、
いや、いなかった筈の謎のものがいた。
四肢がない棒人間のような、全身真っ赤のものが静寂の草原にたたずんでいる。
動く気配はなく、無数の草が暖かい風に揺れているだけ。
その「赤いもの」の存在により、先程まで誰も口を開かなかった場の空気が一変する。
「うわああああ何コレ!?え?何!????」
とピールが騒ぎ立てるのを聞きつけ、吉木と縁斗も咄嗟に振り向く。
「な ぁ に こ れ ? ? ?」
吉木はゆっくりと後ずさりながら口をぽかんと開け、驚きより混乱の方が強いようだ。
「うわ!?さっきまで…あんなの居なかっただろ?な、てっちゃん?」
縁斗の方は、そう言って隣にいる(なぜか服がベタな中二病になってしまっている)友人に問いかけた。
「いや…縁斗、俺に言われても…。まぁ居なかったが」
そう目の前の赤いのを眺めていると突如脳内に、音、というより文字が浮かび上がる感覚を覚える。
『こんにちは!!』
「シャベッタァァアアアア!??」
「こいつ、直接脳内に…!?」
『そうですね直接脳内ですねハイ』
『え~、皆さんにお話したいことがありまして…』
「え??何何何何??」
「勝手に話進めるなぁあ!!!」
5人が落ち着くのを待とうとする様子はない。
縁斗の話を進めるなという声も全く聞かず、赤いのはどんどん事を進めようとする。
そして急に身体と思われる所が変形しだした。
徐々に変形していき、形が見えだしたところで急に発光し、赤いのから切り離されたそれは剣に姿を変えた。
切り離されたそれは空中でふよふよ浮いている。
『これあげます!』
「いりません」
急に出てきてこちらの話をに全く耳を傾けず、しまいには自分の身体から出した剣をやると言われても、哲也は顔の前に手をスッと上げ、返事をするだった。
「なんそれ哲也がいらんなら俺もいらん」
ゲーニも一応興味を示したようだが、哲也が拒否したというだけの理由で断った。
それない返事をされた赤いのは、なぜか「オ゛アァ!」という嗚咽に近い謎の声(音)を出した。
『えぇ~…なんでですかぁ~…』
「 ほ し い 」
「どっち?」
いらないと言った後に欲しいというよくわからないゲーニに縁斗が赤いのの代わりに聞き返す。
「 ほ し い 」
いや、貰わないわけないでしょ、そりゃ貰います
というような顔をしながら、
いりません
というような腑抜けた声の返事をもう一度する。
するとふわぁ~っとゲーニの方に剣が引き寄せられた。
「近くで見るともっと普通の剣に見えるなぁ」
剣を手に取り、不満げな顔をしながらぶんぶん振る。
とくにこれと言ったことはなく、赤く光る剣身を見つめ、それから剣への興味は、自分達の置かれている状況への混乱に塗りつぶされた。
するとピールが口を開く。
「で、何?剣貰ったから何!この状況はどうにもならないねぇええ!!!!」
「落ち着けって。…まぁ取り敢えず、いろいろと聞きたいことがあるな」
哲也は騒ぎ立てるピールに呆れながらも目を向けたが、踊っているのか暴れているのか分からないそれを見るのが見苦しくなり、直ぐにピクリとも動かない赤い物体へと視線を戻した。
『ハイ、なんでしょう!お答えします!』
AIのような返し方に少々ムッときて、頭の中にある質問を取り敢えず投げつけた。
「じゃあ聞くぞ…俺たちゃなんで棒人間になってんだ!ここどこだ!で、なんだこの俺の服は!なんで中二に!なってんだよ!」
「落ち着けって。」
「黙れ」
ピールに先程自分が言ったセリフをそのまま(ニヤニヤした顔で)返され、さらにイラついている。
赤いのが「あ、えっとですね」と言い出したのを全くもって聞いていない様子だ。
「落ち着けって。レッドマンがなんか喋ってるぞ」
縁斗が発した本日3回目の「落ち着けって。」にはもう流石に怒る気が失せたのか、
レッドマンってなんだよ、というような顔をしながら再びレッドマン(?)に視線を戻した。
「で、なんだ」
『知りません』
流石に後ろの方で狂気の踊りをしていたゲーニらもこの返事には驚いたのか、バッと一斉にレッドマンの方を向いた。
「 な ん だ と 」
「なんでええ…なんででえしらないの…!」
「本当にこの状況はどうにもならないねぇええ!!!!」
たもや狂気の踊りを始める3人を無視し、レッドマンは話を進める。
『え~、中二病に関しては…』
「あ、てっちゃんは元々中二病なんで、そこは飛ばしていいです」
「そうだ!そうだ!」
哲也は後でしばくぞ、とゲーニと縁斗に向けて顔を歪め、話を続けろ、というオーラをレッドマンに向けて放った。
『え~、っとですね、中二病が取り付いてるんですよ』
が、意味の分からない返事をされ、哲也はもういい、と言う代わりにため息をついた。
「で?それでここどこなの??帰れるの???」
吉木が残っていた質問を再度投げかけた。そしてレッドマンは数秒、心なしか困ったような表情をして、
『それは…今に分かります』
と吐いた。
そして突如地面が揺れ出す。
レッドマンの方は蒸発していくように上へと身体が溶けていき、それが上空で塊になる。
「何何何何」
頭の整理が追い付いていないゲーニへ向かって、その塊が飛んでくる
「ええええええええ!!??」
そして剣へと吸い込まれていった。
「え、ほんとに何―」
そしてその瞬間、あたりの風景は一変した。
先ほどまでの草原は一切なく、洞窟。
所々にはえている宝石が碧く光っている。それによりそこまでは暗くなく、あたりはよく見える。
聞えてくるのは自分達の叫び声が響く音だけ…
「キャンッ」
かと思いきや、毛の色が、暗い紫色に染まっている変な犬がいた。