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明日の予定や支払い方法の確認などをした第97話

ミクの部屋のドアをノックするといつも通り中から返事があった。

2人はドアを開け、質問がある事を伝える。

「何だ?」

「引っ越しの事とお金の受け渡しについて教えてほしいんだが」

「引っ越し?荷物は運びこんである。明日するが良い。その為の休日だ」

「いや、どの部屋か聞いてないから」

「だから、明日気が向いたら来るように朝伝えただろう」

「休みだから来いとしか聞いてねーよ」

「……。……今伝えた」

「「……」」

ミクの返答を聞き黙る瑞希と大輔。

「重要な部分が伝わっているのだから問題ないだろう。今の話で一番重要なのは明日、ここに来る事だろ。明日の事は明日ここに来た時に話すのだからな」

「……ミクって意外とポンコツだよな。俺たちがこの町に来てからだけでも意外と報告漏れある気がするぞ」

「……確かに」

大輔の率直な意見とそれに同意する瑞希。

「いつもは書類での報告が主で言葉による報告に慣れていないだけだ。それに言葉で伝えるだけだと言った言わないで揉める可能性もあるしな。証拠に残った方が確実だろう」

多少強引ではあるものの、ミクの言っている事は正しく聞こえる。

しかし、ミクの伝達ミスを正当化する言い訳にはならない。

「まあ良いや。それより、瑞希に昼飯代返したいんだけど、どうすれば良いんだ?間違えて瑞希が2人分支払ってな。不可能なら明日の昼食を俺が奢れば良いだけの話なんだが────」

ミクの言い訳を聞いたところで何か進展がある訳でもない。

大輔は次の話題に移り、昼食時の出来事をミクに説明した。

「2人共カード情報を開け」

瑞希と大輔はミクの指示通りカード情報を開く。

「開きました」

「では、瑞希は残高から履歴の確認。昼食の金額が出るはずだ」

「はい」

「その半分の金額を覚えろ」

「覚えました」

「では、最初の画面に戻り、2人共残高照会」

「OK」

「僕も大丈夫です」

「2人向かい合って、瑞希は受け取り、大輔は支払い。2人共同じような画面になると思うが、同じ金額を打ち込め。……瑞希、昼食は1人いくらだった?」

「1700……CP?って書いてあったので、半分の850CPです」

「よし。2人共支払額と受取額の部分に850と打ち込んで準備が出来たら完了を押せ」

「瑞希準備出来たか?」

「うん。大丈夫」

2人は完了ボタンを押す。

「残高の確認をしてみろ。残高を覚えていないなら履歴で確認するが良い」

「はい。大丈夫です。入ってました」

「俺も支払いになってる」

「一応、強奪されないように対策として両者に打ち込ませる形を取っているが、指紋認証の場合は無理矢理にカード情報を開く事が可能だ。治安は悪くないと自負しているが、万が一の時はすぐに報告するように」

「カードを持って間もないけど、聞いてる限りだとカード情報からすぐに足が付きそうだし、そう言う系の犯罪はリスクの方が高そうだよね」

瑞希の意見に大輔も同意する。

ミクも軽く頷き「確かにその手の犯罪はここ数十年ないな」と瑞希に同調した。

「お前たちの疑問は解決したな。明日は引っ越しだ。明日また来い」

「おっと……。最後に1つ聞き忘れてた」

「何だ?」

「社員食堂以外の食事処が知りたい。出来れば日本語が使用出来る所。オウキーニの家の近くに1軒あるのは知ってる」

「……ない」

「え?」

「だから、他はないと言っている。まあ、程度にもよるが母語が日本語で流暢に話せる者が少ないと言う事だ。注文が楽な場所も含め、何軒か明日案内しよう。今日は解散だ」

ミクにこう言われてしまっては帰る他ない。

瑞希と大輔はミクに礼を言い、部屋を後にする。


瑞希と大輔は旅館までの道中に明日の事を話し合った。

ミクは瑞希たちが往訪する時間を指定しなかったので、2人は少し困っていた。

今から戻ってミクに確認しても良かったのだが、2人の目には何処となく忙しそうに映っていた。

仕事の邪魔をしても悪いと思った2人はいつもと同じくらいの時間で良いだろうと言う結論に至った。


旅館に戻った瑞希と大輔は明日チェックアウトをする事を伝え、今日の夕食と明日の朝食を頼む。

瑞希の部屋で夕食を取り、今日は解散。

別れ際に大輔が「ここを出たら一人暮らしみたいなもんだし、朝は1人で起きられるようにしろよ」と言い部屋を後にした。

瑞希は大輔の後姿に「分かってるよ」と声を掛けたものの、大輔は軽く手を振り「はいはい」と言うだけで振り返りもしなかった。

恐らく信用されていないのだろう。

瑞希は大輔を見返す為にも明日の朝は1人で起きて見せる。と意気込みながらスマホのタイマーをセットし、就寝するのであった────。


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