2日目の倉庫作業が終わった第96話
昼食も終わり、第一倉庫入口まで戻った2人。
中に入ると仕事を始めるのか聞かれるのは自明である。
大輔は通行の妨げにならず、程よく涼しい場所を求めて倉庫の影を歩く。
建物の間から流れる風が心地よい場所を見つけ、日陰に座る。
大輔は瑞希に30分のタイマーを要求。
瑞希は「自分のスマホでセットすれば良いのに……」と文句を言いつつタイマーをセット。
大輔は瑞希にタイマーを要求した後、確認もせずに目を瞑り仮眠に入る。
瑞希は大輔の横に座ったまま辺りを観察している。
瑞希は仮眠を取る気が無いがやる事も無いと言った感じだ。
そのうち、瑞希も辺りの観察に開け、目を瞑る事にした。
静かな時が流れる────。
瑞希が目を開けたのは自分のスマホのアラーム音に気が付いたからである。
少し目を瞑っただけのつもりだったが、いつの間にか眠っていたようだ。
瑞希はアラームを止め、伸びをする。
大輔もアラーム音に気が付き目を覚ましていた。
「やっぱり少し寝ると体が軽いな」
大輔は軽く伸びをし、首をクルクルと回し、瑞希の同意を得ようと話し掛ける。
「うーん……。そうなのかな?」
身体が軽いと言われればそんな気がするし、いつもと変わらないと言われればそんな気もする。
瑞希自身、昼寝の効果について実感がわかなかったので曖昧な返事をしてお茶を濁す。
「よし、午後も仕事頑張るか」
瑞希の返事を聞いただけで満足したのか大輔は立ち上がり、ズボンを軽く叩き汚れを落とす。
瑞希も大輔に呼応して立ち上がる。
立ち上がり、再び伸びをして大輔に続き倉庫内へ。
いつも通り、倉庫内に入ると亜人に声を掛けられ仕事を開始。
午後の作業は辺りが薄暗くなるまで続いた。
倉庫に戻ると大輔に声を掛けられた。
「これ運んだら終わって良いって」
大輔の指す先には2人でなければ運ぶのが難しそうな家具が数点カゴ台車に詰められていた。
作業をする中で辺りの様子を確認している限り、2人で作業をしているのは瑞希と大輔くらいだった。
他の亜人達は基本的に1人作業。
今、目の前にあるような大型の家具類は大型の亜人が一人で運ぶ事が多い。
例外があるとすれば大型の亜人が使用する瑞希からすれば超大型の家具。
そのような品は複数人で運んでいる事がある。
しかし、そのような品は少なく、やはり複数人で作業をしているのを見るのは稀だった。
「じゃあ、運んで終わりにしよう」
最後の荷物を運び終えた瑞希と大輔はカゴ台車を所定の位置に戻し、いつも指示をしてくれる亜人に一言「おつかれさまでした」と伝えミクの下へと向かうのであった────。