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人間との戦闘力の違いを見せつけられる第48話

そして、あれよあれよと言う間にベヒモス達は館の前に到着した。

瑞希たちが門付近に到着するとオウキーニは伏せをしたような状態のベヒモスの背中から降りる最中であった。

そして、オウキーニはベヒモスやゴーレムを間近で見ようと駆け付けた瑞希と大輔に向かい問いかける。

「ダンナはおりますかニャ?」

オウキーニは質問をしているものの、作業の手を止める様子はない。

現在もベヒモスの背中から荷降ろしをしている。

「ヴァンくんならまだ寝てると思うけど、ちょっと待っててスチュワートさんに聞いてみr……」

「おぉ、待って居ったぞ。いつも変わらずい奴よのぅ」

瑞希がスチュワートに対応を聞きに行こうとした矢先、颯爽と現れたヴァン。

例の如くオウキーニに抱きつくと頬擦りを開始する。

先程まで寝ていたが、ベヒモスの足音で目を覚まし急いで支度をしたのだろう。

後頭部に寝癖が残っているのが確認出来る。

『キィー!!何なのよアイツ!ヴァン様の寵愛を受けてるアイツは一体何者なのよ!!……私なんて……私なんて足にしがみ付くだけで鬱陶しがられるのに!!』

ヴァンの行動を見て発狂するエレノア。

後半部分については歩いているヴァンの足にしがみ付こうとするので実際に鬱陶しい。

ヴァンが鬱陶しがるのも当然である。

足蹴あしげにされず、最終的にはヴァンの脚にしがみ付けるのだ。そう考えるとまだエレノアは優遇されている方だろう。

但しヴァンがエレノアを振りほどくのを諦めているだけと言う可能性は大いにある。

オウキーニも顧客に対するサービスの一環だと多少は割り切っているものの、終わりの見えないヴァンの過激なスキンシップ(もふもふタイム)に嫌気がさし始めていた。

「ダンナ、準備は出来とるかニャ?」

「あと1時間……」

ヴァンの返答を聞いたオウキーニはヴァンに抱き付かれた状態のままジリジリと瑞希たちから距離を取るように後退りをし、ある程度距離が保たれたのを確認すると半ば無理矢理にヴァンを引き剥がすと逃げるように距離を取る。

そして、ベヒモスの側にいた1体のゴーレムに対し命令をする。

「今ニャ。やってしまえニャ」

まるで漫画やアニメに登場する悪役のセリフそのものである……。

オウキーニの命令を受けた1体のゴーレムがヴァン目掛けて拳を振り下ろす。

高さ5mほどのゴーレムが繰り出す強烈な一撃。

「ヴァンくん、危ない!!」

瑞希は咄嗟にヴァンへ注意をしたものの、目の前の惨劇を目に入れないようにと顔をそむける。

次の瞬間、ズーンと言う重い衝撃音。

その後、衝撃は強風となり土埃と共に周囲のものを強く揺らす。

「なかなか良い一撃だ。仕様を変えたのか?」

何事もなかったかのようなヴァンの声を聴いた瑞希はヴァンが元居た場所に視線を戻す。

そこには片手で軽々とゴーレムの一撃を受け止めるヴァンの姿があった。

ヴァンは然も当然かのように涼しげな表情を見せているが、決してゴーレムが手加減をした訳ではない。

その証拠にヴァンの立っている付近の地面が数センチ凹みヒビ割れている部分が確認出来る。

その地面のキズがゴーレムの一撃はとても強力だったと物語っている。

そして、そのゴーレムの一撃を軽く受け止める実力がヴァンに備わっていると言う事だ。

「仰る通りニャ。今回はダンナ仕様に新たな魔法式を組み込んだゴーレムを作成したと言うとったニャ」

「……では、こちらからも行くぞ」

そう言うとヴァンは払い除ける様にゴーレムの拳をいなす。

バランスを崩したゴーレムは片腕を付き出したままの状態で前のめりに倒れ始める。

ヴァンは透かさずゴーレムの腕を駆け上がると顔面に強烈な一撃を叩きこむ。

今まで正面に倒れていたゴーレムだが、ヴァンの強烈な一撃を受け倒れ込む方向も横方向へと変化する。

「へっ?」

目の前で行われている衝撃的な光景を目の当たりにした瑞希は素っ頓狂な声を出す以外の反応を見せる事が出来ずにいた。

横に居た大輔も同様で口をポカーンと開けたまま呆気に取られている。

「ふむ。防御面も大きく向上しておる。一撃で倒せぬか……。Dacă da……」

ヴァンは起き上がろうとし、四つん這いの状態になっているゴーレムの顔に連続で攻撃をする。

頑丈に作られているはずのゴーレムの顔面が崩壊し立ち上がろうとしていたゴーレムは大の字に倒れ機能を停止した。

「Lipsa de exercițiu a fost rezolvată.A fost destul de bine」

「何て?」

日本語ではなくなってしまったヴァンの通訳をエレノアに依頼した瑞希。

『運動不足が解消されたって』

エレノアの声に反応したのか、ヴァンの話す言語が日本語に戻る。

「すまぬ、すまぬ。年甲斐もなく本気になってしまっていた」

日本語に戻り、言っている事は理解出来る。だが、ヴァンの容姿から『年甲斐』と言う単語を聞くと違和感しかない。

確かに年齢は600を優に超えているのだが見た目が……。

そして、ヴァンは本気になったと言ってはいるがまだまだ余裕を感じる。恐らく『いつもよりは』本気になってしまったと言う意味なのだろう。

ヴァンは瑞希の方を向き呑気な事を言っているが、頭を破壊され機能停止したと思われていたゴーレムは再度動き始め立ち上がろうと奮闘している。

しかし、顔が無い所為なのか上手く立ち上がる事が出来ず悪戦苦闘している。

「倒せてない!?ヴァンくん!!」

その様子を見た瑞希はゴーレムにはまだ攻撃の意思があると判断をし、ヴァンに忠告をした。

「核はいつもの位置で相違ないか?」

「はいニャ」

立ち上がろうと足掻くゴーレムをものともせず、ヴァンはオウキーニに問いかける。

そして、オウキーニも当然の様にヴァンに返答をする。

オウキーニの返答を聞いたヴァンは元々顔のあった首の切断面に強烈な一撃をお見舞いする。

次の瞬間……。

ゴーレムの表面の土がポロポロと落ち始め、全身に亀裂が入る。

ゴーレムは全身を瓦解させ、ゴーレムの居た場所には土の小山が完成していた。

「外装は中々な物であったが、流石に中までは手が回らぬか」

「それは仕様らしいニャ。今まではゴーレムの核の前後にしか施せんかった特殊な魔法結界を全身の表層に施しとるニャ。今までは採算がとれんと一蹴されとった技術が可能になったニャ。それもこれも、新たに開発された魔法式のなせる業ニャ。ダンナには軽く説明をしてから崩して貰うよう言われとるニャ」

「なるほど……。全く説明を受けてないのだが?」

「あ……、いやー……、それは急に戦闘が始まってしもうたさかい、仕方なかったニャ」

「急に……?主が号令を出したと記憶しているが……。まあ、済んでしまったものは仕方がない。それを叱責するほど余は狭量ではない。他に説明がすべき事柄あるなら今のうちにするが良い」

「特には無いニャ。仕様変更でダンナの魔力吸収効率上昇と外気への放出率の減少効果も向上しとるのでお値段据え置きで今までよりもええ土が作れる言うとりましたニャ。攻撃力に関しては固くなった副産物ニャ。せやけどそれはダンナには関係ない話ニャ」

「良い事尽くめだのぅ。……では、残りもさっさと処理するとしよう」

「休憩は必要ないですかニャ?」

「無論。多少固くはなっておるが問題ない。かかってくるが良い」

「次、行くニャ」

2体目のゴーレムがヴァンに襲い掛かる。

1体目の時とは異なり、今回は直接核を狙いに行くヴァン。

的確に核のある場所を連続で攻撃。

1分も経たず、2体目のゴーレムは土塊つちくれと化した。


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