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夢や妄想を現実的に考えてはいけない第40話

寝床にしていた場所に戻ると既に朝食の準備は終わっていた。

準備と言ってもランチボックスを取り出すだけだ。

「質素ですまんな。あまり手の込んだものは準備する時間が無かったらしい」

とヴァンは言っているが、種類も豊富で色取り取りの具材が挟まれている。

サンドイッチ単体としてみれば十分豪華なものと言えるだろう。

「いただきまーす」

「いただきます」

一同は各々好きな物に手を伸ばし食事を開始する。

そして、食事中の話題は剣についての話になった。

「あの剣って鞘とか無いの?刀身剥き出しで持ち歩くの危なくない?」

「余が持つと形状が変化してしまうが故、鞘を作成するのが面倒でな。あの剣を購入した者の中には作る者も居ると言う話だ。先任が使用していた物が出回っている場合はそれを使用する者も居るらしいぞ」

「形状だけじゃなくて色も変化するもんな。アレは不思議だよな。ヴァン以外で同じ現象が起きる奴は居ないのか?」

「父上に剣を見せた事もあったが、元の形に戻るだけだったな。剣を購入した者で形状が変化したと報告をした者も聞かぬな」

ヴァンの話を聞き、瑞希と大輔の2人は同じ事を思う。

そして、そのことを瑞希が質問をする。

「それって、ヴァンくん専用武器って事じゃないの?ヴァンくんが世界を統べる事が出来るんじゃないの?」

「世界征服や世界制覇に露程も興味などないし、他者を力でねじ伏せた権力に何の意味があるのか……。反乱分子を生むだけではないのか?それに、そのような力で統べなければならぬ程の乱世でもない。強大過ぎる力など手に余るだけだ。使わぬに越した事はない」

ヴァンの言葉を受け、瑞希も自身に置き換え考える。

確かに、世界を好きにしても良いと言われたところで何かしたい事があるのか?と問われても答えに困窮してしまう。

恐らく、瑞希が天下を取ったと仮定しても『今まで通り好きに暮らしてください』と言うだけで何か干渉する事も無いだろう。

只、何もせずに悠々自適に一生を過ごす事が出来るのはメリットだとは思う。

しかし、そのメリットもヴァンには不要な物に感じる。

ヴァンと過ごしている帰還は短いものの、有能な老人が重臣として居るのは知っている。

本人は下男と表していたが、ヴァンの扱いを見るに老人は自身の事を卑下しすぎている。

ヴァンはそんな有能な側近の居る悠々自適な生活を堪能している様に思うし、普段の生活で不便な事は少ないだろう。

「確かに。少し考えたけど、僕も世界征服までして何かしたい事って特に無かった」

「世界中の女の子集めてハーレム作りは基本だろ?」

「世界人口が80億と仮定して、そのうち半分が女性だとすると、40億人?大輔は相手出来るの?」

「厳選する」

「40億人全員と顔合わせしないと厳選出来ないよ?1日が86400秒だから1秒に1人とあうとしても……えーっと8万秒だとして50000日?150年弱かかるよ?厳選するだけで一生が終わるね」

一生懸命指を折りながら計算をする瑞希。

瑞希に悪気はないのだろうが、大輔にとっては最後の一言が笑顔だったのが無性に腹立たしかった。

「うるせーな。ロマンだよロ・マ・ン。現実的な話はどうでも良いんだよ。可愛い女の子に囲まれたいの!」

「百歩譲ってハーレムを作れたとしても『キャー大輔さんステキー』じゃなくて、拳銃を突き付けて脅しながら『俺を好きになれ』でハーレムでしょ?本当にそれで良いの?」

「えーい、まだ言うかこの口は!そこも『世界制覇を成し遂げた大輔様ステキー』ってなるんだよ」

「痛い、痛いって。分かったから」

正論のみならず、女性の発言部分で裏声を使用したのが腹立たしさに拍車をかけたのだろう。

堪忍袋の緒が切れた大輔が瑞希の両頬を抓り引っ張る。

「世の中そう上手く回らんと言う事だ。それに、瑞希よ。銃ではなく剣だ。勘違いするでないぞ」

「ヴァン、お前はツッコミの方向性が間違ってる」

瑞希の頬を引っ張っていた大輔だが、ヴァンの返しを聞きガックリと肩を落としてしまう。

大輔の頬抓りから解放された瑞希は両頬を軽く撫で、これ以上大輔のハーレム作りの件については余計な事を言わない事にしようと心に決めていた。

「ここからドリュアスさんの場所までって半日だっけ?」

話を別の話題に切り替える為、瑞希は今後の予定についてヴァンに聞く事にした。

「ここまでのお主らの移動速度を考えると半日と掛からん。昼前後には到着する予定だ」

「食後直ぐに出発するのか?」

「うむ。ここに残る理由もないからな。何か準備に時間が掛かるなら待つぞ。遠慮せず言うが良い」

「じゃあ、食事が終わったら少しだけ時間くれ。時間って言っても数分だからあまり気にすんな」

ヴァンは大輔の意見を了承。

瑞希は何か時間の掛かる準備ってあったかな?と疑問符を浮かべながら会話と食事は終了した。


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