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毎度おおきに。キャラ名はこのくらい適当で良いと思う第34話

「坊ちゃま、商人の方がおいでです」

老人がヴァンを呼びに来たのだった。

「誠か。片付けたら直ぐに向かうと伝えておくのだ」

「承知しました」

ヴァンの銘を受け、老人は踵を返した。

「と言う訳だ。話の途中ですまぬが今日はこれまでだ」

「了解」

「面白い話ありがとう。また時間のある時に聞かせてね」

解散の合図を機に3人は片付けを始める。

片付けと言っても少し散らかった鉱石を元に戻す程度の物だ。


片付けも終え、部屋を出て扉に施錠をする。

そんな折、階段の上から声を掛けられる。

「ダンナー。オウキーニニャー」

ヴァンは声に反応すると快然たる表情になり、階段を駆け上がる。

瑞希と大輔はヴァンも後に続き階段を上る。

「お主は本当にいつみてもい奴よのぅ」

一足早く駆け上がったヴァンが何かとじゃれている。

……どこからどう見ても巨大な猫である。

身長は1m強。園児と同程度の猫が服を着ている。

そして、背中には身の丈ほどもあるパンパンに荷物が入ったリュックを背負っている。

ヴァンによる激しい歓迎を受け、時折服の合間から見えるそのわがままボディと顔の模様から恐らく茶トラだと推測出来る。

「おや?」

何の抵抗も見せず、半ば諦めた表情でヴァンの頬擦りを許していた猫だったが瑞希と大輔に気が付いた。

「おぉ、そうであった。紹介するぞ。瑞希と大輔だ」

「中埜瑞希です」

「どーも青柳大輔っす」

「オウキーニニャ。お見知りおきくださいニャ」

「こちらこそよろしく」

「「「……」」」

軽い自己紹介は済んだものの、特に話すべき話題もなく3人はヴァンの発言を待つ。

しかし、ヴァンはオウキーニと戯れたそうに熱い眼差しを向けるのみで一行に口を開く気配がない……。

いや、欲望の赴くままオウキーニをモフりたいのか、だらしなく口は開いている。

「それにしても、まーた人間が迷い込んだんですかニャ?」

「猫又……だよね?化け猫?」

「日本語だよな?」

何の進展も無さそうだと感じた3人は各々思っていた事を口にする。

「猫の獣人かもな」

ほぼ同時に口を開いた3人だったが、瑞希の疑問に逸早く反応したのは大輔だった。

「ワイの先祖は日本で飼われとった猫ですニャ。この世界に迷い込んだ後、猫又になったって話ニャ。ルーツを辿れば猫又やけど獣人と言われれば獣人ニャ」

そう言うとオウキーニは2本の尻尾を瑞希と大輔に見せつける。

恐らく複数の尻尾が猫又の名残だとアピールしているのだろう。

「なるほど。だから日本語なのか。でも、語尾に『ニャ』を付けるのは狙いすぎと言うか何と言うか……」

「それは以前、ここに居た人間様に矯正されただけニャ。それはそれは恐ろしい……。辛く厳しい矯正の日々やったニャ」

「恐ろしいって何されたんだ?」

「マタタビとカリカリを使用した飴と鞭の日々ニャ。語尾にニャを付けなへんかったらご褒美はお預けと言う酷い仕打ちニャ。思い出すだけで今でも身の毛がよだつニャ」

「いや、語尾にニャを付けるだけの簡単なお仕事やろ。それでご褒美が貰えるなら飴と鞭どころか飴と飴。甘々すぎや。何か饅頭怖いに通ずるものを感じるで」

「マタタビが苦手とは一言も言うてないニャ」

「何で饅頭怖い知っとんねん!」

「それはそうと兄さん方、マタタビはお持ってへんかニャ?」

「ないな。猫も飼ってないし。瑞希も持ってないよな?」

「流石に持ってないよ。猫は実家で飼ってはいるけど持ち歩く物でもないしね」

「だよな」

「カリカリでも良いニャ」

「いや、マタタビ無いのにあるわけないやろ」

「で、お主は今日何をしに来たのだ?本来なら数日後に来る予定であろう」

会話をし続ける3人を見て戯れる事を断念したのか、構ってもらえない事に嫌気がさしたのかヴァンが本題に話を変える。

「そうだったニャ。今日はダンナにお願いがあって来たニャ」

「またアレか……」

「察しが良ぅて助かるニャ。それともう1つあるんやけどええですかニャ?」

「土か?」

「流石ダンナ。話が早いニャ」

「うむ。では、余の菜園の土も入れ替えたいので余の分も2体頼む」

「承りニャ。ダンナの分も合わせて都合6体お願いするニャ。日程はどないしますニャ?」

「何時でも構わんぞ」

「こちらの手配もあるさかいに、4日後にお伺いするニャ」

「では、明日にでもアレは回収しておこう」

抽象的な内容だったのが、ヴァンの察しが良過ぎたために一瞬で会話が終了してしまった。

「それと、本日もお野菜を収穫してもええですかニャ?」

「良いぞ。代金はいつも通り頼む」

「かしこまりニャ。他に入用な物はあらへんかニャ?」

「それは爺に聞くが良い」

「了解ニャ。何かあれば次回お持ちしますニャ」

そう言うとオウキーニはこの場を後にするのだった。


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