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瑞希専用目覚まし機能付きベッドが完成したは良いが……。な第116話

食事を終えた一行。

会計は今回もミクの奢りであった。

瑞希と大輔の2人はミクにお礼を言い、エレノアはミクの頭の上で寛いでいる。

ミクもエレノアが頭の上に居る事を微塵も気にしている様子は無く、ミクの頭の上がエレノアの定位置になりつつあるようだ……。

「さて、そろそろ戻るとするか」

店外に出た直後のミクの言葉に賛同の意を込め頷く瑞希と大輔。


瑞希の部屋前────。

外にドワーフたちの姿はなく、瑞希が室内の確認をしたが既にドワーフたちは帰ってしまったようだ。

外で待機していたミク、大輔、エレノアの3人にその事を伝える瑞希。

「ベッドは完成しているのか?」

「動作確認はしていませんが、ベッドは元の場所に置いてありました」

ミクの質問に現状を伝えた瑞希。

ミクと大輔はベッドの出来が気になるようで、動作確認をしようと提案してきた。

瑞希も2人の意見に同意をし、部屋の中に招き入れる。


ベッド周辺に集まった瑞希、大輔、ミクと頭の上のエレノア。

ベッドに加工を施してもらったものの、説明書の類は無く、使い方に苦慮する。

「どう使うんですか?」

ミクなら何か知っているのではないかと思った瑞希が質問をするもミクは首を傾げるのみ。

ミクがベッドを隈なく調べてみたが理解出来る事は少なかった。

「時計が付いていて、時間の設定が可能な事は分かった」

「何も分かってへんがな」

大輔のドストレートなツッコミ。

「……とりあえず、1分後に設定して動きを見てみれば何か分かるかもしれん。試して良いか?」

ミクの質問に頷く瑞希。

瑞希の反応を確認したミクは現在時刻の1分後にタイマーをセットし、一同はベッドから少し離れた位置で待機。


約1分後────。

ピピピピピピッと枕元から音がし始めた。恐らく目覚まし音だろう。

その目覚まし音は徐々に大きくなっている。

音は大きくなっているものの、ベッドに変化はない。


5分ほど経過し、目覚まし音は電車が通る時の高架下並にけたたましく鳴っている。

そろそろ周囲の住人から苦情が来るのではないか?と疑問に思い始めた頃、急に音が鳴り止んだ。

「終わりか?頼んだ仕様と違くないか?」

大輔の記憶ではベッドが傾くように頼んだはずだ。

だが、目の前にあるのは煩いだけのベッド。

大輔が疑問を口にし、一同が顔を見合わせたその時────。

カチカチカチカチとベッドの下から規則正しい音が聞こえ、それと同時にベッドの片側が徐々に上がり始めた。

「「おっ」」

変化があった事で瑞希と大輔が同時に反応する。

『とう!』

掛け声とともにミクの頭から傾き始めたベッドへと飛び移ったエレノア。

『あ~~れ~~』

棒読みに近い態とらしいリアクションを取りながらに床へと転がり落ちるエレノア。

ベッドから転がり落ちたエレノアだが、まだベッドの角度は自然に転がるほど急ではない。

恐らく自ら転がり落ちたのだろう……。

床に大の字になっているエレノアを他所にベッドは20秒程の時間を掛けて床に対して垂直の状態になった。

エレノアはベッドに敷いてあった布団の下敷きになり、モゾモゾと動いている。

『ぷはっ!完璧ね』

「どうだろうな。動きは完璧だけど、ベッドの高さに不安があるな。もう少し高ければ痛みで起きそうだけど、この高さなら布団が緩衝材代わりになりかねないな」

「いや、流石の僕でも起きるからね。何だったら音だけで起きるよ」

「さぁ、どうだかな。瑞希だし怪しいな」

相も変わらず瑞希の寝起きに関しては疑心的な大輔。

こちらの世界に転移してからの経験が物語っているのだから仕方がない。

「瑞希の事は置いといて、結構な爆音だったけど、近所迷惑にならないか?」

「あぁ、それは問題ないだろう。防音はしっかりしている。玄関や窓が開けっぱなしでない限り、今程度の音なら問題にならないはずだ。気になるなら後程、どちらかが外に出て残った方が中から大声で呼びかける等の方法で試すと良い」

「まあ、ミクがそこまで自信をもってるなら問題ないんだろうよ。さて、試運転も終わった事だし、ベッドを元に戻して解散するか」

「だね。…………どう戻すの?」

垂直になったベッドを押してみたのだが、戻る様子が無い。

「「『……』」」

質問を投げかけられたところで他の者も知る由が無い。

いつの間にかミクの頭の上の定位置に戻っていたエレノアを含め、誰も口を開こうとしない……。

「……さて、解散するか」

『そうね』

「瑞希、明日からしっかり起きて遅刻する事の無いように心掛け、一意専心の気持ちで仕事に励むのだぞ」

大輔の掛け声とともに全員が瑞希に背を向け退室しようとする。

「ちょっと待って!ベッドの使い方分かってないから!このままだと眠れないから!」

慌てて皆を引き留める瑞希。

「無論冗談だ。今からドワーフに聞きに行くとしよう」


一行は瑞希の部屋を後にし、再びドワーフたちの工房へと向かう運びとなった。


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