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町の食堂事情の説明をする第101話

管理人の仕事の邪魔をし続けるのも申し訳ない。と一行は洗濯依頼用の袋の購入をする為、倉庫へと移動を開始した。

ミクを先頭に第四倉庫へと入る3人。

「第三倉庫じゃないんだな」

「言われればそうだね。衣類と一緒に置けば良いのにね。僕たちだけだと見つけられなかったね」

「どっちでも良いのだが、全員が使用するわけではないからな。分類として日用品にしただけで特に意味はない。普通に物を入れる袋として使用する者も居るし変更するつもりも無い」

「どっちかって訳じゃなくても両方に置けば良いと思います」

「どの程度の配分で分配するのか、誰が在庫状況の把握をするのかなど手間が増えるだけだが、提案は提案だ。後の議題に出す事にしよう」

瑞希としてはそこまで重く考えたうえでの発言ではなかったが、今更否定するもの面倒だった。

ミクが議題に出した所で何ら不都合はないし、棄却されたとしても不都合はない。

瑞希はミクの発言を否定も肯定もせず、静観したまま袋の置いてある場所に辿り着いた。


「ここだ。好きな物を選べ。……と言っても然程変わりはないがな」

ミクの言う通り、袋の大きさが数パターンあるのみでデザインの違いはない。

瑞希と大輔は一通り袋を広げ、大きさを確認。

2人は洗濯ネットの様なものを想像していたが、洗濯ネットよりは目が粗く、どちらかと言えば雑に編んだ手編みの巾着やナップサックと表現した方がしっくりとくる。

袋の両端から出ている紐を引っ張ると袋が閉じる構造も同様に存在している。

見た目は隙間の多いが、軽く引っ張って強度を見たところ、見た目に反して頑丈に作られており、ほつれる様子はない。


2人は少し悩んだ末、瑞希は自身の身体と同程度の袋を1つ。

大輔は瑞希と同じものを1つとそれよりも一回りほど大きい袋を1つ購入する事にした。

瑞希と大輔が購入した袋がゴミ袋の20Lサイズと同程度。大輔のみが購入した少し大きめの袋が30Lのゴミ袋と同程度の大きさである。

「何で2つ?洗濯に出す用と溜める用?」

「いや、何か買い物をする可能性があるから買い物用だ」

「へー……。大輔の事だから、そう言う時も特に気にせず同じ袋使うかと思った」

「ずぼらなのは自覚してるが、流石にそこまでじゃねーよ。それより、瑞希は1つで良いのか?」

「僕は自前のがあるから大丈夫。それに両手に持ちきれない買い物をする予定も今の所無いからね。必要そうならその都度買う」

瑞希としてはコンビニやスーパーなどで買い物をした時のレジ袋感覚なのだろう。

大輔は瑞希とは違い、ほぼ手ぶら状態でこの世界に来た為、リュックなど買い物かごやエコバッグの代わりになるものが無かったから購入しているまでであり、買い物に出かけた時に忘れたら新しいのを買えば良い程度の考えであることに変わりはない。

だからと言って洗濯袋と併用するつもりも無い。それだけだった。


瑞希と大輔は会計を済ませ、せっかく倉庫まで来たので。と言う事で服を何着か購入する事となった。

当初の予定としてはミクに自分に合うサイズの服の見つけ方だけを教わるつもりだったのだが、服を探しているうちに手持ちが2着だと心もとないと言う事で数着購入する運びとなったまでだ。


買い物も無事終わり、第三倉庫を出る一行。

「直に昼食時だが、腹の具合はどうだ?」

「まあ、普通に昼食前で腹減って来たなくらいだな」

「僕も。空いてるって言われれば空いてるし、我慢しろって言われれば我慢出来るくらい」

時刻は11時半前。

瑞希と大輔の反応も微妙。

ミクは「そうか……」と短く返事をすると、少し考える素振りを見せる。

「食事処の件だが、数件案内してから店を選ぶか、妾が勝手に決めた場所で食事をしてから数件案内するのではどちらが良い?案内後の食事ならお前らが気になった店で昼食にして良いぞ」

瑞希と大輔は互いに顔を見合わせ、相談をし始めた。

2人共、今すぐにでも食事がしたい訳でもなかったので、結論はすぐに出た。

「店を回ってから食事でお願いします」


ミクの案内で数件の飲食店を回る。

店のコンセプトとしては種族性が高いか、専門性が高いかに分かれ、肉のみ、魚のみ、野菜のみなど専門店の様に一定数の材料を調理した物を提供する店が多い。

中には食券制を導入している店もあったが、オウキーニに連れて行ってもらった店の様に多様な料理を提供している店は極々少数であり、あったとしても種族毎が集まる集会場代わりになっている場合が多いとの事だ。

つまり、食材事の専門店か種族毎の専門店かの違いであるが、種族については他種族が入店しても何ら問題は無いが、好みの料理が無い可能性は高い。

それはオウキーニに連れて行ってもらった店も同様で、あの店の場合、種族性(猫又や猫人など)の高い店と言う事になる。

それに加え日本語が多少でも通じる店員が居る店となると更に店が限定されてしまう。

只、食券制の店の多くは単一調理の店ではなく、多種多様な料理を提供する店が多い。

ミク曰く、多様な食材、調理法がある場合、言語の壁がどうしても出てくるので食券の方が色々と便利なのだそうだ。

では何故、社員食堂は食券制を導入していないのか?と言うと、種族によっては食券が掴めなかったり、上手くボタン操作が出来なかったりと不都合が多く、種族毎に何種類かの券売機を導入する案も浮上し、実際に試してみたが券売機によって混雑具合が変わる事で不公平感が募り不平不満が多く上がった末に却下されたのだそうだ。

諸々の結果を踏まえた上で回転率を上げる方法が今の社員食堂の方式らしい。

社員食堂以外の飲食店はそこまで回転率を重視しなくても混雑する事は少ないから券売機でも問題ないそうだ。

「ざっとこんな感じだが、気になった店はあったか?」

「俺は肉が良いな。肉。色々な種類の肉の食べ比べがしてみたいし、何より美味そうだった」

「肉だけだと重くない?特に脂身がキツイ」

「オッサンみたいな発言だな」

「えー……。普通に野菜もバランスよく食べたいって話だよ。……あれ?ミクさん、あそこは食堂じゃないんですか?」

昼食を何処で食べるか話し合っている最中、瑞希が食堂らしき外観の建物を指差した。

まばらではあるものの客らしき亜人も出入りしている。営業時間外と言う訳ではなさそうだ。

「あー……、あそこか。一応、食堂ではあるが……」

歯切れの悪いミクの返答。

「何だ、まだ食堂あったのか。瑞希行ってみようぜ」

「おい、ちょっと待て……」

ミクが2人を制止するよりも早く、大輔が瑞希の手を取り小走りで近づいて行ってしまった。


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