貴音は三人のおねえちゃんに囲まれたのです(貴音side)
「かかっ、カワイイっ! えっ、いづみさんの妹さん!? うわぁカワイイっ!」
貴音はメガネをしたお姉さんに声をかけられたのです……だっ誰なのです!?
「あっ、そういえばこの間の学園祭で一緒にいましたよね!? ほら、忍野萌海のコンサートで!」
「えっ、あっ……は、はいなので……す」
そういえば……貴音はおねえちゃんの大学の学園祭で忍野萌海のコンサートを見たのですが、そのときおねえちゃんが前の席にいた女子高生っぽい人に話しかけていたのです。どうやらその人のようなのです。
それにしても……この人めっちゃグイグイくるのです! 貴音は思わず引いてしまったのです。
「じゃあお母さん! いづみさんが仕事中、私が預るっていうのは? いづみさんも……いいでしょ!?」
「えっ? まぁ志麻ちゃんがよければ……」
なななっ、何を言ってるのです二人とも! 貴音はおねえちゃんに会いに来たのです。知らない人と二人きりになっても何も楽しくないのです! おねえちゃんと一緒にいられないなら貴音はもう帰るのです! この人がいい人か悪い人かもわからないのです!
「そういえば、お名前は?」
「た……貴音なのです」
「貴音ちゃん!? ゲームは好き?」
「好きなのです♥」
「そう!? よかった! じゃあ私の部屋でゲームして遊びましょ!」
「わーい」
――いい人なのです♥
「ところで……何のゲームなのです?」
「んー、色々あるけど……とりあえずスブラトーソかマソオカートかな」
――とってもいい人なのです♥♥
貴音はこのお姉さんの部屋についていこうとしたのです。ところが
「こ~ら!」
〝ぺしっ〟
お姉さんはいきなり誰かに頭を叩かれたのです! 貴音は叩いた人の顔を見て驚いたのです。
それは何と、和おねえちゃんだったからなのです!
「あれ? 何でオマエがいるんだよ……和!」
おねえちゃんも驚いていたのです。
「志麻ちゃ~ん、今日から家庭教師やるって言ってたよね~!? いきなり初日から忘れてるの~?」
「あ゛っ……」
――えっ!? 和おねえちゃんが家庭教師?
「えっ、おまっ家庭教師なんてできんの!?」
おねえちゃんも同じことを思っていたのです。
「失礼ね~、てゆ~か貴音ちゃんがいてビックリしたわよ~! 何でいるの~?」
「それな、私も知りたいわ」
貴音は和おねえちゃんに、なぜここに来たのかを説明したのです。
「和おねえちゃん、実はかくかくしかじかなのです」
「おい、かくかくしかじかで通じるワケないだろ」
秒でおねえちゃんからツッコミが入ったのです。
「そっかぁ~、大変だったね~」
「通じるのかよ!?」
でも和おねえちゃんには通じたのです。
「冗談よ~さっき叔母さまから聞いたわ~! もぉ~何てお姉ちゃん思いの妹さんなの~かわいい~っ♥ てゆ~かさ、これってもぉいっちゃんとただならぬ関係にでもなってんじゃないの~?」
――ギクゥ!!
貴音は毎晩、おねえちゃんと「おやすみのキス」をしているのです! 元々ヘンタイおねえちゃんがキスしたがっていたのですが、今のような「毎日の日課」になるよう仕向けたのは貴音なのです。こっこれはバレたらマズいのです!
「それじゃあ志麻ちゃ~ん、お部屋に行くわよ~! それと貴音ちゃんも~!」
――!?
「えっ、貴音も……なのですか?」
「ここにいても~お姉ちゃんのお仕事の邪魔でしょ~?」
和おねえちゃんはどうやらこの「しま」さんの家庭教師なのです。貴音には関係ないハズなのです。でも……
「貴音ちゃ~ん、教科書持ってきたよね~?」
「は……はい、持ってきたのです」
――ほわぁああああっ!?
そっそういえば……持ってきたのです! でも何で和おねえちゃんがそれを?
「えっ、何で教科書持ってきてんの?」
おねえちゃんもワケがわからず貴音に聞いてきたのです。
「たっ、貴音も理由はわからないのですが……出かけるときにママさんから数学の教科書と筆記用具を一緒に持っていきなさいって言われたのです」
でも何となく読めてきたのです! そういえば昨夜、ママさんが和おねえちゃんに電話していたのです。
きっとママさんは和おねえちゃんとグルなのです! 貴音におねえちゃんと会ってきなさいと言っておきながら、本当は和おねえちゃんに勉強を教えてもらうように仕組んでいたのです! もしかしたら貴音がジムの会員になれないこともわかっていたのかもしれないのです。
「じゃ、時間もないから行きましょ~」
貴音はまんまとこの二人にしてやられたのです。
※※※※※※※
「そういえば……まだ私の名前言ってなかったよね?」
貴音は和おねえちゃんと、この「しま」とかいうお姉さんのお部屋におじゃましたのです。お姉さんのお部屋にはいろんなゲームのポスターやらキャラクターのぬいぐるみがあったのです。
「私はね、上条志麻っていうの! よろしくね、貴音ちゃん」
「尾白貴音なのです。よろしくお願いするのです」
「で、私が~平井和! 志麻ちゃんの従姉よ~」
「いっ、いとこ同士だったのですか!?」
姉妹じゃないとはいえ……あまりにも似てなさすぎなのです。
「でも和おねえちゃんがそんなに頭がいい人とは知らなかったのです」
貴音は和おねえちゃんの巨大すぎるおっぱいを眺めながら言ったのです。
「ちょっとぉ~貴音ちゃん! おっぱい大きいと頭が悪そうに見えるとかってステレオタイプだからね~! 偏見よそれ~」
「ごめんなさいなのです」
「さてと! 志麻ちゃ~ん、何で私が家庭教師やるか……わかってるわよね~」
「そっ、それは……中間テストが……」
「そ~ぉ! 高校に入って初めてのテストがあれじゃあね~、しかも~数Ⅰなんて赤(点)ギリギリじゃ~ん!」
「うう゛っ……」
志麻おねえちゃんはションボリとうなだれていたのです。それと高校一年生だったのです。
「こっ、高校生って大変なのです」
「まぁね、ウチの高校は一応進学校だから」
貴音は志麻おねえちゃんに声をかけたのです。
「こ~ら、貴音ちゃ~ん! 何、他人事みたいに言ってるの~」
すると、和おねえちゃんの標的が貴音に向けられたのです。
「茅乃ちゃんから聞いてるわよぉ~! 貴音ちゃんも中間テストの成績が散々だったらしいじゃな~い」
げっ!? ママさんはそんな情報まで和おねえちゃんに流していたのですか!
「茅乃ちゃんから~期末テストは中間テストより成績が上がるように~ってお願いされてるの! お姉ちゃんは~勉強に関しては厳しいからね~!」
「なっ、和おねえちゃん……目が怖いのです」
「貴音ちゃんのために問題集も用意したからね♥ ここならワンちゃんもいないから~私に攻撃できないわよぉ~」
――そうなのです! ここには攻撃アイテムがいないのですぅううううっ!
「さっ、志麻ちゃんも貴音ちゃんも……二人まとめてヤっちゃうわよぉ♥」
「ひぇええええっ!」
こうして貴音と志麻おねえちゃんは、和おねえちゃんから「夜の個人授業」を受けたのです。
三人でプライベートレッスン……略して「3P」なのです。
貴音なのです。おねえちゃんが多くてワケわからないのです!




