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貴音はおねえちゃんとキスするのです(貴音side)後編

 



「もう、おねえちゃんはそんなに貴音とキスしたいのですか!?」




 お星さまになった貴音のママの写真を見てから、おねえちゃんは貴音とキスしようとあの手この手を使ってくるのです!

 ママが写っている写真は、パパや赤ちゃんだった貴音とキスしている姿ばかりなのです。それを見たおねえちゃんは、貴音とあいさつ代わりにキスできると思っているに違いないのです。



 別に……普通に「(あいさつ代わりに)キスしよ」と言われたら貴音は……キスくらいするのです。



 でもおねえちゃんは回りくどいことをして、貴音とキスしようというとってもセコい作戦を立てていたのです! 貴音はそれが気に入らないので、おねえちゃんにハッキリ言ってやったのです。


「やり方が姑息なのです! ママさんに言いつけるのです」


 貴音に責められたおねえちゃんは、目をまん丸くして口をパクパクさせていたのです。少し涙目で「何でバレたの?」と言わんばかりなのです。


 ――バレない方がおかしいのです!


「反省するのです! そこに正座して目をつぶるのです」


 貴音に命令されると、おねえちゃんは素直に従い正座して目をつぶったのです。


 でも本当は反省させるためではないのです。


 おねえちゃんは背が高いから、貴音に合わせて低くしたのです。


 目を開けたままだと……恥ずかしいからなのです。



 貴音は……正座して目をつぶったおねえちゃんの顔に、勇気を出して自分の顔を近づけたのです。そして……






 ちゅっ♥






 貴音は……おねえちゃんにキスしたのです。



 するとおねえちゃんは驚いて目を開けたのです! ほわわわわっ! ちょっ待つのです! 顔を近づけているときに目を開けないでほしいのです! こんな近くで見つめられたら……はっ、恥ずかしいのですぅううううっ!


「もう、キスぐらい普通にすればいいのです」


 おねえちゃんに見つめられて貴音は普通ではいられないのです! ドキドキしている貴音の心臓の音が、おねえちゃんに聞こえないか心配なのです!


「ママの国では『あいさつ』なのです! だから今のは……おやすみのキス……なのです」


 貴音は、思わず口から出てしまった「おやすみのキス」という言葉でその場をしのいだのです。


「だっ、だからもうおやすみなのです! 早く部屋から出ていくのです!」


 これ以上顔を見られたら、今の貴音の気持ちがバレそうなのです! 貴音はおねえちゃんを立たせると、顔を見られないようおねえちゃんの後ろに回り、背中をグイグイ押して廊下に追い出したのです。

 いつもなら軽くかわしてしまいそうなおねえちゃんなのですが、貴音とキスしてからボーっとしていたので簡単に部屋から追い出せたのです。


 ボーっとしたおねえちゃんが自分の部屋に戻ったことを確認すると、貴音は


 〝バフッ〟


 そのままベッドに飛び込んだのです。貴音はうつ伏せのまま


 〝バタバタバタバタッ!〟


 ベッドの上でバタ足をしたのです!



 ――ほっ……ほわぁああああああああっ♥♥



 たっ、貴音は……



 貴音は……




 おねえちゃんとキスしてしまったのですぅううううううううっ♥♥



 おねえちゃんは女の人だけど「王子様」なのです!


 王子様はとってもカッコイイのです!


 白雪姫は王子様のキスで目覚めるのです!


 王子様とのキスは特別なのです!



 ――貴音は悪い子なのです。



 ママの国では「あいさつ」……そんなの『ウソ』なのです!!


 前にパパから聞いていたのです。ママの国・フィンランドの人はとてもシャイな人が多いそうなのです。他の欧米の人たちのように、あいさつ代わりに誰とでもキス……なんてしないのです!

 実はママも、パパと貴音以外の人とはキスしなかったそうなのです! 貴音はおねえちゃんにウソをついたのです。だって「あいさつ代わり」と言えばハードルが下がるからなのです。


 しかも……


 あいさつだと言っておけば、明日から毎日おねえちゃんとキスできるのです♥



 全て貴音の作戦勝ちなのです!



 ※※※※※※※



 次の日の夜なのです。


 おねえちゃんは寝る前に貴音の部屋へやって来たのです。


「おねえちゃ~ん……むぎゅ♥」


 貴音はまず最初に、パジャマ姿のおねえちゃんの胸に飛び込むのです。夏になったのでおねえちゃんのパジャマは半そでに変わったのです。でも色はピンクのままで相変わらずカワイイのです。


 そしておっぱいも相変わらずのボリュームなのです♥


「今日もいい子にしてた?」

「はいなのです! 宿題もちゃんと終わらせたのです」


 おねえちゃんは最近、夜のバイトをしているので帰りが遅いのです。でもバイトはもっと早い時間に終わっているそうなのですが「貴音のためにキレイになる」とか言ってそのままバイト先に残っているみたいなのです。何をしているのかとっても気になるのです。


「そうか、じゃあごほうび♥ そーれ」

「ほわわわわ~♥」


 次におねえちゃんは、貴音を「お姫さま抱っこ」するのです! 貴音はこれをしてもらわないとぐっすり眠ることができないのです♥

 でも前は貴音を抱えたまま「スクワット」をしていたのですが、最近おねえちゃんは「疲れた」と言ってやってくれないのです。


 最後に……


「じゃあ貴音ちゃん、おやすみ」

「おやすみなさいなのです……おねえちゃん!」

「……うん」


 ちゅっ♥


 ベッドに入った貴音におねえちゃんが「おやすみのキス」をするのです♥


 おねえちゃんとの「あいさつ代わりのキス」は、この「おやすみのキス」だけにしようとおねえちゃんと決めたのです。

 なぜなら「あいさつ代わりのキス」なんて習慣は元々ないのです。パパやママさんの前でこんなことをしたら誤解されてしまうからなのです。

 これは貴音とおねえちゃんの『秘密』なのです。でも「あいさつ代わりのキス」という習慣がそもそもないという事実はおねえちゃんにも『秘密』なのです!



 ここまでが、貴音とおねえちゃんの「寝る前のルーティン」なのです♥



 ※※※※※※※



 次の週末なのです。


 家族みんなで夕ご飯を食べ終わったとき、パパがDVDを持ってきたのです。これは先週、アルバムと一緒に見つかったミニDVのテープを「ダビング」したそうなのです。ダビングって何なのか貴音にはよくわからないのです。


 さっそくみんなで見ることにしたのです。


「ふわぁ~♥」


 動いてるママは初めて見たのです! 赤ちゃんの貴音は、ママのおっぱいをおいしそうに飲んでいたのです。パパから「貴音はママのおっぱいが大好きだったね」と言われたのです。


 ――今はおねえちゃんのおっぱいが大好きなのです……お乳は出ないけど♥


 貴音たちは別のDVDを見たのです。そこには……


『バシャバシャッ! キャハハッ!』



 ――ほっ! ほわわわわっ!!



 庭のビニールプールで遊ぶ、すっぽんぽんの貴音が映っていたのです!


「おっおおおねえちゃん! みっ、見ないでほしいのです!」

「いや、一緒にお風呂に入ってるのに何を今さら」



 ……それもそうなのです。

貴音なのです。ファーストキスはおねえちゃん……じゃなくてママなのです!

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