私は妹のハダカが見たい!(いづみside)前編
今でこそ仲の良い私たち姉妹……
でも一度だけ、妹から本気で嫌われたことがある。
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「貴音ちゃん、この後一緒にお風呂入ろ!」
尾白家で生活して二週間ほど経ったある日の夕食時……私は唐突に妹の貴音ちゃんをお風呂へ誘った。
「……えっ!?」
貴音ちゃんは突然の誘いに戸惑っていた。これには母・茅乃や継父・延明さんもさすがに「この娘いきなり何言い出すの?」って感じで呆気に取られていた。
「ほら、私たち一緒に住み始めて二週間も経つじゃん! でもまだ姉妹なのになんかギクシャクしてない? だからさっ、一緒にお風呂入ってコミュニケーション取ろうかな~って……まぁいわゆる『裸の付き合い』ってヤツ……」
こういうことに関しては我ながら冗舌だなぁ……自分でも呆れてしまった。
「あぁいいんじゃないか? 貴音、お姉ちゃんと一緒に入ってくればいい」
「あら知らなかったわ、アンタがそんなにきょうだい想いだったなんて」
両親の賛同も得られた! 貴音ちゃんに断られることを想定してわざと家族全員が集まるこの場を選んだのだ。
「ねっ貴音ちゃん! いいでしょ!? 背中流してあげるから……」
「…………う、うん。いいの……です」
明らかに不満そうな感じの貴音ちゃんだったが、三対一の状況に追い込まれたことで、首を縦に振らざるを得なかったようだ。
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――やたっ! やったぁああああっ!
私は自分の部屋に戻り、着替えを用意しながらウキウキしていた! そう、確かに妹とコミュニケーション取るのも理由のひとつ……だが、真の目的は!
超絶ハーフ美少女マジ天使妹・貴音ちゃんのハダカが見たい♥(語彙力崩壊)
実は私……自分が同性愛者であることを、まだ家族にカミングアウトしていないのだ。なので両親も、ましてや貴音ちゃん本人もまさか私が「体目当て」でお風呂に誘っているなどとは夢にも思っていないだろう。
いくら「きょうだい」でも私が「兄」なら誘った時点でアウトだ。それに何かやましいことをするワケではない、ただ妹と一緒に入浴するだけだ……姉妹でお風呂に入って何か問題でも?
――あぁ~女に生まれてよかったぁああああああああ~っ!
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脱衣所の前まで来たが、まだ貴音ちゃんは来ていない。
貴音ちゃんと過ごして気づいたことがある。それは私がレズビアンであると同時に「少女好き」だということ……そういや高校時代に付き合っていた「彼女」も同級生だったが、どこか幼い感じのするヤツだった。まぁアイツは脱いだらすごいモノを持ってたんだけど……。
――あれ? 遅いなぁ……
えっドタキャンされた? そんなに私と入るのがイヤ? それとも身の危険を感じた? いや、取って食うワケじゃないよぉ(見るだけだよぉ)……。
しばらく待っていると、二階から気の抜けた歩き方で階段を下りる音が……貴音ちゃんだ。
「あっ……待って……たのですか?」
「ううん、私も今来たとこだよ」
……ここで十五分も待ってたなんて言ったら絶対に引かれるわ。
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二人で脱衣所に入った。この家は一般的な住宅より大きく、浴室もちょっとしたペンションや民宿のお風呂くらいはある……大人二~三人なら余裕だろう。身長一七〇センチの私が体を折り曲げて入っていたアパートのお風呂とは大違いだ。
早速服を脱……って、あれ? 貴音ちゃん、脱ぐの恥ずかしがると思っていたらいきなり脱衣カゴに着替えとバスタオルを置いて服を脱ごうとしている……あら意外と積極的♥ と思っていたら……
……この後の貴音ちゃんの行動に私は驚愕した。
貴音ちゃんは着替えの他にバスタオルのような物を持ち込んだ……と思ったら、それを自分の体にすっぽりと被せたのだ。
――おいおい! それって……
ラップタオル……いわゆる「着替え用タオル」だよな!? よく小学生がプールのお着替えで使うヤツ……そっか、この時期絶対に使わないラップタオルを探してたから時間かかったのか!
いやいや……着替えならまだしもどうせ全裸になるお風呂でそれ必要!? てか私ってそんなに警戒されてるの!?
私が呆気に取られていると、貴音ちゃんはこちらをジッと睨みつけ
「みっ……見ないでほしいのです!」
うわぁ! 完全にイヤがられてる……ちょっとショック。
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貴音ちゃんはこちらに背を向け服を全部脱いだ……ラップタオルを被ったまま。
――この子、この後どうするつもり?
いくらこちらに背を向けているとはいえ、貴音ちゃんをずっと見続けるワケにもいかない。私はチラッチラッと様子をうかがい、貴音ちゃんが一糸まとわぬ姿になるのを待っていたのだが……。
――この子は予想外の行動に出た。
ラップタオルを被った状態で、バスタオルを体に巻き付けたのだ。
おいここは家のお風呂だよ! 『撮影のためにタオルを着用しています』というテロップが表示されるTVの温泉リポートじゃないぞ!
何それ! いくら思春期の女の子だからって、家族に対してそこまで露骨にガード堅くしたら失礼じゃん! お姉ちゃんの前で裸になるのがそんなにイヤなの?
――仕方ない……ちょっとイラッとした私は強行突破を試みた。
「ちょっとぉ貴音ちゃん、それで入るつもり? ほらぁ~取りなさいよ」
「えっ、ちょっ……やめるのです!」
ラップタオルを取り、バスタオルを身体にきっちりと巻いた貴音ちゃんは必死に抵抗した。だが堅いガードに見える貴音ちゃんも私に言わせれば隙だらけ……私は貴音ちゃんのバスタオルに手をかけ軽く引張ると、いとも簡単に外れてそのままはらりと床に落ちた。
「ひぃっ!」
すると私の目の前に……
――生まれたままの姿の貴音ちゃんが現れた♥
……だけどこの後、思わぬ展開になってしまった。
貴音なのです。えっちなおねえちゃんとの話はまだ続くのです。