貴音はおねえちゃんに犯人扱いされたのです!(貴音side)前編
「じゃあ……お姉ちゃんが確認するよ♥」
たっ貴音は……今からヘンタイおねえちゃんに襲われるのです!
※※※※※※※
「う~ん……」
ある日の夜、貴音はおねえちゃんの部屋でボードゲームをしていたのです。おねえちゃんはビデオゲームが苦手で、お話にならないくらい弱いのです。
そこでおねえちゃんは「オセロ」で貴音に勝負を挑んできたのです! でもおねえちゃんのことだからボードゲームも弱いだろうと軽く見ていたのです。
ところが……
おねえちゃんはメッチャ強かったのです! 気がつくと盤の上はおねえちゃんの石で真っ黒になっていたのです! 隅も三ヶ所取られてしまったのです!
「貴音ちゃんまだ考えてるの? じゃあその間にお姉ちゃんトイレ行ってくるわ」
貴音が次の手を考えている間に、おねえちゃんが一階にあるトイレまで行ってくる……これはまたとないチャンスなのです! 貴音はおねえちゃんがいない間に、石を二~三枚ひっくり返そうと考えたのですが……
〝カシャッ〟
「貴音ちゃ~ん! ごまかそうとしてもムダだよ」
おねえちゃんはスマホを取り出すと、ゲーム盤の写真を撮ってからトイレに行ったのです! こういうことにだけは抜かりがないのです……ぷくぅ!
※※※※※※※
「えぇっと……ここには置けないのです。ここは……すぐひっくり返されちゃうのです! うわぁ! どこに置いても勝ち目がないのです……詰んだのですぅ!」
おねえちゃんがトイレに行っている間、貴音はずっとゲーム盤の前で悩んでいたのです。でも全っ然、次の手が思いつかないのです! しばらくすると階段を上る音が……おねえちゃんがトイレから戻ってくるのです!
最後の手段! 貴音はゲーム盤を一八〇度回転させたのです。でも将棋じゃないのでこれが「意味のない行為」だと気づいたのはもう少し後の話なのです。
「貴音ちゃん……ちょっといいかな」
あれ? 戻ってきたおねえちゃんはなぜか不機嫌な顔をしているのです。これはきっと「うんちょす」の出が悪かったに違いないのです!
「待ってほしいのです! まっ、まだ考え中なのです!」
うんちょすの出が悪くて不機嫌なおねえちゃんとは関わりたくないのです。
「まぁそれはいったん置いといて! ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
「なっ……何なのです? おねえちゃん降参するのです?」
「いや何で勝ってるのに降参するんだよ! そうじゃなくて……私がトイレに入る十分くらい前に……貴音ちゃんもトイレ行ったよね?」
――あれ? 貴音の話なのですか? 貴音はうんちょすしてないのです。
「……行ったのです」
「その時さぁ……ちゃんと流した?」
えっ……おねえちゃんは思いもよらないことを聞いてきたのです。
「ちゃ……ちゃんと流したのです! 貴音はお行儀のいい子なのです!」
えっ、もしかして貴音は疑われているのですか? そんなっ……貴音はいつも流したことを確認してからおトイレを出るので…………あっ!
「それはきっとパパなのです!」
そんなことをするのは……パパに違いないのです!
実はパパ、ああ見えて(?)意外とだらしないのです! 外では有名な童話作家なので、ちゃんとした人と思われているみたいなのです。でも家では、童話のアイデアを考えているのかいつもボーっとしていて、たまにおトイレでうんちょすを流し忘れたりするくらいだらしないのです!
おかげで貴音は、過去に何度かパパの流し忘れうんちょすを見てしまったことがあるのです! うぅっ、今思い出しただけでも具合が悪くなるのです!
貴音はパパが大好きなのです。でもこれだけは大っきらいなのです! だからそれはきっとパパの仕業なのです!
「いや、便座が下りてたからそれはないだろ」
――あれ? おかしいのです。
もしそれがおしっこだとしたらパパじゃないのです。なぜならパパはおしっこのとき便座を上げるからなのです。
パパは時々、便座を上げっぱなしにすることがあるのです。そのせいで貴音は前に一度、お尻からスポッとハマりそうになったことがあるのです! あのとき貴音は本気でパパを怒ったのです。
なので、うんちょすじゃなければそれはパパではないのです。だとしたら……
「じ、じゃあママさんなのです」
「茅乃は私の後に入ったから……それもない」
えぇっ! パパでもなく、ママさんでもないとしたら……じゃあ一体「犯人」は誰なのですか!? 貴音は頭が混乱してしまったのですぅううううっ!
「じ、じゃあ……じゃあ……」
「いや、まぁそれはいいんだよ! 人間は誰でもミスすることはあるし……」
おねえちゃん! それって貴音が「犯人」という前提で話しているのです! 貴音は完全におねえちゃんから犯人扱いされているのです!
「で、でも……貴音はちゃんと流したのです」
貴音は無実なのです! 信じて欲しいのです! でもおねえちゃんは、もっとひどいことを聞いてきたのです。
「あっそぉ……じゃあ、もうひとつ聞くけど……貴音ちゃん、もしかしてオシッコした後……紙で拭いていないの?」
「えぇっ!? たっ貴音はちゃんと拭いているのです!」
おねえちゃんの話だと、どうやらトイレに残されていた「モノ」はうんちょすではなくおしっこで、トイレットペーパーが捨てられていなかったそうなのです。
でも貴音はおしっこした後、ちゃんとお股を拭いているのです! 女の子として常識なのです! おねえちゃんは貴音を赤ちゃんだと思ってるのでちゅか!?
「貴音ちゃん、ウソはダメだよ」
「ウ……ウソじゃないのです! ちゃんと拭いているのです! おねえちゃんが見たのは貴音のじゃないのです!」
「ホントにぃ~?」
「ホッ……ホントなのです!」
おねえちゃんは疑り深いのです! 何で信じてくれないのですか!?
「だったらさぁ~今、貴音ちゃんが穿いているパンツ……汚れてないよね? シミとか付いていないよね?」
「……へっ?」
なっ……何でそんなことを聞いてくるのです?
――はっ!? まっ、まさか……!?
「じゃあ……お姉ちゃんが確認するよ♥」
やっぱりなのですぅううううっ!! おねえちゃんの目がいやらしかったのでイヤな予感がしたのです! このヘンタイおねえちゃんは絶対に、貴音のパンツが汚れていないか確認するという口実で……
貴音のパンツを脱がそうとしているのですぅううううううううっ!!
貴音なのです。次回は貴音が反撃するのです!




