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私と平井和は「くされ縁」だ(いづみside)中編

 


「私……この子とセックスしてみたいなぁ~♥」



 私の元カノで友人(セフレ)の「平井(ひらい) (なごみ)」に妹の写真を見せたところ、コイツはとんでもないことを言い出してきた。


「そんなこと……できるワケねーだろ」

「えぇ~、何で~?」

「あのなぁ、妹は十二歳だぞ! 淫行条例って知ってるだろ」

「お互い同意があればいいじゃ~ん! 十八歳未満だって実際にはみんなヤッてるでしょ? 現に私たちだってそうだったじゃ~ん」


 この性欲モンスターには倫理観というものが通用しない。私は妹が「一線を越える」ことだけは何としてでも回避したいと思っている。


「いっいや……性交同意年齢ってものがあるんだよ! 十二歳は例え同意があってもアウトなんだよ」

「性交ってことはチンチン()れるってことだよね~? だったら大丈夫! 私は女だから~レズはセーフよ♥」(※注・現行法ではアウトです)

「それでもダメなんだよ! そもそも妹はセックスってものを理解してない……ましてやレズビアンなんて……」

「だったらこの和ちゃんが教えてあ・げ・る♥ てかいっちゃん、ずいぶんその手の法律に詳しいのね~」

「うっ……」


 そりゃ……詳しくもなるよ。まだ性行為の何たるかを知らない子どもが同意したところで、そんなのは同意でもなんでもないんだよ!

 例え妹と一緒に風呂入ろうがおっぱい触りっこしようが……本人がちゃんと理解と判断ができるまで「一線を越えること」だけは絶対にしちゃダメだ!



 ――それは……私が一番よく知っていることだ!



「もうその話はやめよう……家に来るんだろ? もうすぐ時間だし、早く支度して行くぞ」


 この性欲モンスターには何を言っても無駄だ。とりあえず妹を和に会わせないようにしないと……まだお昼過ぎ、今なら妹は学校にいる時間だ。



 ※※※※※※※



「お待た~♪」

「……」


 シャワーを浴び、身支度を済ませた和の格好に絶句した。


「ん? 何か言いたそうじゃな~い」

「いや……もういいんだけどな、今さら」


 男嫌いの私は、胸のふくらみを隠して女らしさを主張しない。ところが……


 〝ボヨンッ♥〟


 (コイツ)は一切隠そうとはしない。むしろこのバケモノ乳を強調する格好だ。


「でもさぁ……そのバッグだけはやめてくれ」

「えっなんでよ~!?」


 パイスラって言うらしいが……斜め掛けしたバッグによって、ただでさえデカい和の胸の谷間まで強調されている。

 実はこの和という女、正確に言うとレズではなくバイセクシャル……つまり男も好きなのだ。なので男ウケするような格好を普段からしている。


 そう、これが和と別れた理由! 二人で並んで歩いていると必ずといっていいほど男が近寄ってくるのだ。

 私が彼氏と間違えられて男があきらめると和は機嫌を損ね、私が少しでも女っぽい格好をするとすぐにナンパされ、大嫌いな男が近寄ってくる……私はこの状況に耐えられなかったのだ。


 小さく見せるブラを着けた私は、すっぴんでラブホを後にした。



 ※※※※※※※



 私たちは街中を、私の家に向かって歩いていた……家までは歩いて行けない距離ではない。バスで移動する手段もあるが、ラブホ代で厳しい経済状況……ここは節約せねばならない。


「ところで……オマエが入ってるサークルって何?」

「テニスサークルよ」

「……飲みサーじゃねーか」

「ううん、ヤリサーよ♥」


 ――おーい、この性欲モンスターを誰か退治してくれー!


 和と二人で歩いているとロクなことがない。なので最近は学校とホテル以外では会わないようにしている。久しぶりに一緒に歩いたので普段話題にしないようなことを話したが……やっぱりロクな話にならなかった。


「いっちゃん、新しい家ってここから近いんだよね~?」

「あぁ、大学まで歩いて通えるからな」

「楽しみだなぁ~茅乃ちゃんが作ったメイド服」

「あっそういえばオマエ! いきなり生地なんかよこしやがって! 大変だったんだぞ持って帰るの」

「近いんだからいいじゃな~い、剣道の防具に比べたらマシでしょ?」

「そういう問題じゃねーよ」


 ロクでもない会話を和としていると、前方から見覚えのあるセーラー服を着た女子中学生がこっちに向かって歩いてくるのが見えた。しかもロングの髪は束ねるようにと校則で決められているため三つ編みにした()()……。


 ――妹の貴音(たかね)だ! えっ、何でこんな時間に?


 妹も私に気がついた……もちろん隣にいる和にも。私を見つけると一瞬ワンコのようによろこんだが、見知らぬ顔が隣にいたので困惑した表情に変わった。


「えっ、貴音ちゃん! 何でこんな時間に?」

「貴音は今日、中間テストの初日なのです。なので午前中で終わりなのです」


 あっそっか、もうそんな時期なんだな……。


「それよりおねえちゃん、そちらの方は誰なのです?」

「あぁ、コイツは……」

「初めまして~、私はいづみちゃんの()()……んむぐぐぐっ!」


 私は瞬間的に(このバカ)の口をふさいだ。


「ぷはっ! 何すんのよ~」

「それはこっちのセリフだこのバカッ! 何言い出すんだよ」


 うわっ、会わせちゃいけないヤツを会わせちまったよ! 家に帰ったら妹は試験勉強中ってことで和をシャットアウトしよう!


「前に話したでしょ、コイツがダチの和って……おっ、おいっ!」


 私が紹介するや否や和は妹に近づき


「いや~んもうカワイイ♥ 貴音ちゃんって言うの~? よろしくね~♥」


 妹の手を取ると強引に握手をした。和がその手を上下に揺らすのと連動してバケモノ乳もゆっさゆっさと揺れていた。

 グイグイくる性欲モンスターに対して妹は引くかと思われたが……あれ? 妹はまんざらでもなさそうだ。何で……あっ!


「ほ……ほわわっ♥」


 おっぱい好きの妹の目は、和のバケモノ乳にくぎ付けになっていたのだ!


 こりゃヤバい! 妹の貞操の危機だ! 早く妹をこの性欲モンスターの魔の手から守らなければ……。


「貴音ちゃん、今からお姉さん貴音ちゃんのお家に遊びに行くけど~いい?」

「はっ……はい、大丈夫なのです♥」


 和は妹の肩に手を掛けると、さりげなくバケモノ乳を妹の腕に押し付けた。コイツ、もう妹の弱点を見極めやがった……何てヤツだ!


「貴音ちゃん試験勉強中なの? だったら~お姉さんが手とり足とり()と……」


 〝ぺちっ〟


 私は思わず和の頭を後ろから叩いてしまった。


「いったぁ~何すんのよ! 貴音ちゃ~ん、お姉ちゃんって暴力的ね~」

「そうなのです! しかもおねえちゃんはイジワルなのです!」


 マズい! 仲を裂くつもりが意気投合しちまった! 私の前を手を繋ぎながら妹と和は並んで歩きだした……ていうかそれって「恋人繋ぎ」じゃねーか!


 和は私の方を振り向くと、勝ち誇ったようにニヤリと笑みを浮かべた。


 あの目……コイツ、マジで妹を犯しかねない。



 ――ど……どぉしたらいいんだよぉー!?



貴音なのです。全国の中学生の皆さん、悪い大人の誘惑に気をつけるのです!


……貴音が言っても説得力がないし、そもそもこのお話はR15なのです。

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