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私と平井和は「くされ縁」だ(いづみside)前編

 


 今、私は……ラブホテルのベッドの上にいる。



 この日は担当講師が体調不良で休みのため、予定していた講義が休講になってしまった。せっかく学校へ来たのに穴が開いたので、じゃあラブホでも行こうか……という話になった。


 ……え? 相手は誰? まぁそうなるよな。


「……うふっ♥」


 一戦交えたあと隣で余韻に浸っている全裸の女……この女の名は「平井(ひらい) (なごみ)」、同じ大学に通っている私の高校時代からの友人。しかも今年の二月までは恋人同士だった……つまり「元カノ」だ。


 え? 元カノと何でラブホへ? まぁそう考えるのが普通だろう。恋人としての関係は解消したが、コイツとはセックスの相性がいい。その理由は……


 〝でろ~ん♥〟


 ――このだらしなく成長した巨乳……いや爆乳だ!


 (なごみ)と付き合い始めたのは高校二年の秋、当時は私とほぼ同じバストサイズだったがその後もコイツは成長が止まらず……気がついたらトップバストが三桁になっていた。確か「I」か「J」カップ……コイツの乳はもはやバケモノのレベルだ。


 私は巨乳好きではない……むしろその逆だ。私は和と付き合う前、二人の女子と関係を持ちそうになった。だがいずれも私の巨乳が原因で未遂に終わっている。


 女子高に通っていた私は、この男性的な見た目のせいでかなりモテていた。一人目は別のクラスの同級生……可愛くて大人しい子だったが私のおっぱいを見た瞬間態度が豹変、執拗に攻め立ててきたのだ。

 私は「タチ」つまり同性愛でいうところの「男役」、攻められ過ぎるのは正直好きではない。あまりにしつこくてこちらが攻める隙すら与えてくれず……頭にきてその場で別れてしまった。


 二人目はその逆。後輩だったが私のおっぱいを見た瞬間、悲鳴を上げて逃げ出してしまったのだ。どうやら私に男性的なイメージを期待していたらこの胸……あまりのギャップにパニくったのだろう。でも失礼な話だ。


 その点、この和という女は私のおっぱいに一切興味がない。そりゃそうだ、自分の方が大きいんだから……なので和とは相性がいい!

 恋人としては別れたけど、今でもお互いがエッチをしたいときに時々こうやって会っている……要するに「セフレ」だ。


「ねぇ……いっちゃ~ん」


 私は和から「いっちゃん」と呼ばれている。


「いっちゃん、最近回数も多いし激しいんだけど……何かあったの~?」

「あぁ……私に妹ができたって話したよな」

「ん~そういえば()()()()()再婚したんだよね~」


 和は私の母・茅乃(かやの)を「ちゃん付け」する。高校時代から(コイツ)は、私が当時住んでいたアパートへ毎日のように出入りしていて茅乃とはすっかり顔なじみ……ちなみに学園祭で使うメイド服の作成を茅乃に依頼したのもコイツだ。


「妹って……旦那さんになった人の連れ子ってことだよね~?」

「あぁ、その妹がメッチャ可愛くて私の好みなんだよ!」


「……はぁ?」


「でも妹は十二歳、手を出したら犯罪になる年齢でさぁー」

「……えっ、いっちゃん何言ってるの~」

「毎日妹と顔合わせてると悶々としちゃってさぁー、もうやりたくてやりたくて仕方ないんだけど……できないじゃん! だから代わりにオマエ抱いてんだよ」


「えっちょっと待って! それじゃ私、まるで性欲処理係じゃな~い!?」

「そりゃそうだろ、セフレなんだし……」

「うわっひどっ! もぉ~だからいっちゃんってキライなのよ~!」


 和は機嫌を損ねた。でもこんなことは付き合っていたときから日常茶飯事だ。コイツとは知り合って二年もたっていないがもう「くされ縁」になっている。


「ねぇ、その妹さんの写真ってあるの?」

「あるよ」


 私はスマホを取り出すと妹・貴音(たかね)の写真を和に見せた。


「えっ!? 何これっ、天使って現実世界に存在するの~っ!?」


 ――おい、私が妹に対して思った第一印象と同じこと言うな!


 和は妹の写真にくぎ付けになった。まぁたいていの人はそう思うだろう。


「ねぇねぇいっちゃ~ん! 動画とかもあるの?」

「あぁ、あるけど……」

「……えぇ~っ、このお人形さん動いてるんですけど~っ!」


 ――だから私と同じ感想を言うな!


「あれ? でも……」


 妹の動画を見ていた和は突然真顔になると、私に向かってこう言った。


「この子って……タチの素質あるわね」

「えっ、どっちかっていうとネコだろ?」


 同性愛で男役は「タチ」、対して女役は「ネコ」と呼ばれているが……さすがに妹はどっちかなんて考えたことがない。そもそも妹のこの可愛さこの純粋さ……絶対ネコの方が似合っているはずだ。


「ううん、私ネコだからわかるけど~この子は攻めるのが好きな顔してるわよ」

「えぇっそうかぁ? タチの私と相性いいと思うけど……」


 すると和が、私たちの関係を根底から覆すようなことを言ってきた。


「あら何言ってんの~、いっちゃんはネコだよ~!」

「えぇっ、何言ってんだオマエ……」

「まぁ正確に言うとリバね~」


 リバとは男役女役どちらにも対応できる人のことだが……。


「えっ私がリバ? 全く心当たりないんだけど」

「そりゃあね、私~バリネコ(バリバリのネコ)だからいっちゃん自覚無いんだろうけど……どう? この子から攻められたことってないの~?」


 ――そんなこと……あるワケないだろ!


 妹は……一緒にお風呂に入るのも嫌がったほど控えめな子だ。今まで妹が私にしてきたことなんて……


 朝、私を起こしにきてくすぐったり耳に息を吹きかけてくる。

 一緒にお風呂に入ると私のおっぱいを揉んでくる。

 最近は私を起こすために自分のおっぱいを見せて挑発してくる。


 ――うん、めっちゃ「タチ」の素質あったわ!


 しかもそれを私は期待して楽しんでいる……私って「ネコ」だったのか!?


「ま、まぁいいやそんなこと……それより延長しねぇよな? だったらシャワー浴びてくるぞ」

「え~私、まだまだイケるけど~♥」


 こっちはバイトで稼いだ金でラブホ代を工面している。できるだけ節約したいのだが……この和という女、コイツは清純そうなロリフェイスに見えるが実際は「性欲モンスター」と異名をとるほどのエロ女だ。コイツの性欲(ペース)に合わせていたら休憩じゃなくて宿泊になってしまう。


「もういいだろ……あ、そういえば茅乃がメイド服出来上がったから取りに来いって言ってたぞ」

「えっホント? 行く行く~! 茅乃ちゃんにも最近会ってないし~、そういえば引っ越したんだよね~? 新しいお家も見てみたいし……その妹さんにも会ってみたいなぁ~」

「おぅ、実物は写真よりもっとカワイイぞ!」


 と、ここまでは普通の会話だったのだが……このあと性欲モンスター・和はとんでもないことを口にする。



「ねぇいっちゃん! 私……この子とセックスしてみたいなぁ~♥」



貴音なのです。くしゅん! だっ、誰か貴音のウワサをしているのです!

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