表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/316

GWなので貴音は遊びに出かけたのです(貴音side)

 


 ゴールデンウイークなのです♥



 貴音とおねえちゃんは、ママさんが運転する車で高原へ遊びに行くのです。一時間ほど車で移動した貴音たちは途中で「道の駅」に立ち寄ったのです。


 道の駅の周りは大きな公園になっていて、上空にはたくさんの鯉のぼりが泳いでいるのです。そうなのです、今日は子どもの日なのです!

 立ち寄った道の駅でも子どもの日のイベントが行われるみたいなのです。だからなのですか、たくさんの人が来ていてとても混雑していたのです。


「クララ、今からお散歩するのです♥」

「ワンッ」


 貴音たちはクララを連れて、鯉のぼりを見ながら公園内をお散歩したのです。


「うわー、すごい鯉のぼりねー!」


 ママさんはとても喜んでいたのです。ママさんはスマホを取り出すと、鯉のぼりをパシャパシャと撮りまくって一人ではしゃいでいたのです。


「あれ……貴音ちゃんは鯉のぼりに興味ないの?」


 貴音がクララばかり見ていて鯉のぼりに興味のないそぶりをしていたら、おねえちゃんが心配して声を掛けてきたのです。


「うーん、これが全部()()()()だったら興味がわくのですが……」

「そういう理由かよ!? だったらさぁ、ちょっとした楽しみ方があるぞ」

「……何なのですか?」

「ここにある鯉のぼりからさ、お父さんお母さん……それから貴音とおねえちゃんによく似た鯉のぼりを探してみてごらん」


 面白そうなのです! 貴音はたくさんある鯉のぼりからパパやママさんに似ている鯉のぼりを探してみたのです。


「あの黒くて大きくてゆったりと泳いでいるのがパパなのです! そのとなりで元気に泳いでる赤い鯉のぼりがママさんなのです!」

「ふーん、じゃあ貴音ちゃんは?」

「パパやママさんの近くにいる、緑色で小っちゃい鯉のぼりが貴音なのです」

「じゃあお姉ちゃんは?」


 おねえちゃんは……あっ、


「……さっきから貴音の鯉のぼりの尻尾にずーっとしつこく絡まってくるピンク色のイヤラシイ鯉のぼり……あれがおねえちゃんなのです」

「おいどういう意味だ」


 そして……


 貴音たちの鯉のぼりから少し離れた場所で泳いでいる銀色の鯉のぼり……きっとあれが「ママ」なのです。後ろの方から貴音たちをそっと見守っているのです。


 ――あれっ!?


 まったく同じ青色をした鯉のぼりが二匹並んでいるのです。一匹は見ているこちらが引くくらいの勢いで泳いでいて、もう一匹は風が吹いているのにまったく泳ごうとしないでサボっているのです。


 ……あれは間違いなく天ちゃん空ちゃんなのです!



 ※※※※※※※



 散歩が終わって道の駅に戻ってきたのです。貴音はある看板を見つけたのです。


「この黒蜜きなこソフトクリームが食べたいのです」

「今から有名なソフトクリーム食べに行くからダメだぞー」


「えっ、じゃあ何でこっち(道の駅)に戻ってきたのです?」

「それはな……貴音ちゃんがトイレに行きたいって言ったからだよ」


 そうだったのです! 貴音はおトイレに行きたいということをすっかり忘れてソフトクリームが食べたくなっていたのです!

 ママさんにクララを見てもらって、貴音はトイレに向かったのです。ついでにおねえちゃんも一緒に行くのです。


 おねえちゃんは普段お化粧をしないのですが、今日みたいに大勢の人がいる場所に出かけるときはお化粧をするのです。ナチュラルメイクというやつなのです。

 それから……いつもはゆったりした服を着ておっぱいを隠しているのですが、この日は少しだけふくらみがわかるようにしているのです。


 ――それには理由があるのです。


「ママ―、あの()()()()()()女子トイレに入ってきたよ! いけないんだー」

「こら、やめなさい! あぁ、すみません……」

「あ……いえ……」


 それだけの努力をしても、小さい子から「男」として見られるからなのです。


「おねえちゃんのことを男だなんて……失礼なのです!」

「そういう誰かさんも最初に会ったとき『お兄さん』だと思ってたんだよね?」


 ――はて? そんなことあったのですか? 貴音は記憶にないのです♥



 ※※※※※※※



 貴音がトイレから出て手を洗っていると、背後に人の気配を感じたのです。


 ――だっ誰なのです!?


「貴音ちゃん!」


 おねえちゃんなのです。ボソッと貴音の名を呼んだのです。そしておねえちゃんは貴音の後ろにピタッとくっつくと、貴音のお尻に手を掛けたのです。


 ――ひぃっ!


 えっ、おねえちゃん! こんなに人がたくさんいるところで何をする気なのですか? まっ、まさか……チカン?


 ――イヤぁああああっ!? おねえちゃんやめるのです! 


「スカートの裾……パンツに入ってる」


 ――えっ!?


 ――ひょえぇええええっ!?


 貴音はおトイレの後、スカートの裾をパンツの内側に挟み込んだままトイレから出て手を洗っていたのです! つまりお尻側のパンツが丸見えだったのです!


 ――はっ、はわわわわぁ~!?


 おねえちゃんはそんな貴音に気がついてすぐに近づき、自分の体で貴音のお尻を隠してスカートを直してくれたのです! 外に出ていたら男の人にも見られていたのです……助かったのです。


 やっぱりおねえちゃんは貴音の「王子様」なのです♥ でも……


「お待たせー!」

「おかえりー! おーいづみーっ! ()()()()全開だぞー!」

「うわぁっ!」


 外で待っていたママさんに思いっきり大きな声で、ズボンのファスナーが開いていることを指摘されたのです。周りの人たちが一斉におねえちゃんを見たのです。


 おねえちゃんは「ちょっとお間抜けな王子様」なのです♥


 今度は貴音たちがクララの面倒を見てね……と言い残し、ママさんは農産物直売所へ直行したのです。ママさん……これから色んな所へ遊びに行くというのに、この時間から野菜を大量買いするつもりなのです。


 貴音は心の中で祈ったのです……。


 ママさん……どうかピーマンだけは買わないでほしいのです。



 ――貴音はピーマンが大きらいなのです。



貴音なのです。次回はおねえちゃん視点でそのままお話が進んでいくのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ