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貴音には双子のお友だちがいるのです(貴音side)前編

 


「ただいまなのです!」



 貴音は学校から帰ってきたのです。


「こんにちはー」

「にちはー」


 今日はお友だちを二人連れてきたのです! 「菱山(ひしやま) (てん)」ちゃんと「菱山(ひしやま) (くう)」ちゃん……貴音の小学校時代からのお友だちで……双子なのです。


「あぁ貴音ちゃんおかえり……おっ天空(てんくう)じゃん! 久しぶりだねー」

「おばさん、お久しぶりです」

「ぶりです」


 ママさんが出迎えてくれたのです。ママさんはこの家で家政婦さんをしていたときから天ちゃん空ちゃんを知っているのです。でも二人の名前を呼ぶのが面倒なのか、まとめて「天空」と呼んでいるのです……お城が浮かんでいそうなのです。


「そういや中学生になって初めてだよね? うわっセーラー服じゃーん! 大きくなったねー……前はこーんなに小っちゃかったのにねー」


 ――ママさん、それは米粒の大きさなのです。


「さぁさぁ、二人とも上がって!」

「おじゃましまーす」

「しまーす」


「ワンワンッ」

「あっ、クララも久しぶりー! 相変わらずかわいーね♥」

「いーね♥」


 愛犬のクララがお出迎えしたのです。クララをなでなでした二人は階段を上って貴音の部屋へ向かったのです。


「あっ後でお茶持っていくけど……ママ忙しいから代わりにお姉ちゃんに持って行かせるからね」


 するとママさんの言葉を聞いた天ちゃんは、


「あっはいっ! お姉さんにお会いしたいので楽しみにしてます♥」


 うれしそうに言ったのです。


「おねえちゃんはいるのですか?」

「もうすぐ帰ってくるはずよ……あっ、貴音ちゃん!」

「どうしたのです?」

「ちょっと……こっちに来て」


 階段を上ろうとした貴音をママさんが呼び止めて、一階にある和室へ呼んだのです。天ちゃん空ちゃんは先に貴音の部屋へ入ったのです。


「これ見てちょうだい」

「わぁっ! すごいのです!」


 ママさんが見せてくれたのはとってもカワイイお洋服なのです。ママさんは、おねえちゃんのお友だちが学園祭で着る服を作っているのですが、生地が余ったので貴音にも同じお洋服を作ってくれたのです。

 それはウエイトレスさんの衣装なのです。貴音はウエイトレスさんに憧れているのです。なのでこの間、ママさんにこの身を捧げた貴音は下着姿であちこちいじくりまわされたのです(※採寸のこと)。


「どう? 気に入ってくれた?」

「気に入ったのです! ママさんすごいのです!」


 貴音はウエイトレスさんのコスプレができるのです! 貴音はうれしいのです!



 ※※※※※※※



「お待たせなのです」


 貴音は部屋に入って天ちゃん空ちゃんと合流したのです。


「貴音ちゃん、うれしそうだけど何かあったの?」

「あったの?」


「うん、ママさんが貴音にお洋服を作ってくれたのです」

「えーホント? じゃ今着られるの? 見たーい」

「見たーい」

「えぇと……まだ仕上げにもうちょっと時間が掛かるそうなのです」


 ウソなのです! 本当は完成しているのですが、天ちゃん空ちゃんの前で着るのはさすがに恥ずかしいのです。


「それより! もうすぐおねえちゃんが学校から帰ってくるそうなのですが……」

「あっ、お姉さん早く見たーい」

「見たーい」


 貴音はこの二人に、四月から新しくおねえちゃんができた……と話をしたらぜひ会いたいと今日、二人は学校の帰りに立ち寄ったのです。

 特に双子の姉・天ちゃんは、おねえちゃんのおっぱいが大きいと話したらメチャクチャ食いついてきたのです。


 実は貴音とこの二人……おっぱいがぺったんこで、同じクラスにいるやな感じの巨乳女から「貧乳シスターズ」と呼ばれているのです。

 天ちゃんは負けず嫌いな性格で貴音以上にコンプレックスが強いのです。なので今日はお姉ちゃんから色々聞いて仲良くなりたいと意気込んでいるのです。


 おねえちゃんは貴音の自慢……だから天ちゃん空ちゃんにも紹介したいのです!



 ――でも……何か複雑な気分なのです。



 というわけで……おねえちゃんにイタズラを仕掛けるのです!(意味不明)


「じゃあ会う前に……二人に協力をお願いするのです」

「協力?」

「力?」

「おねえちゃんにドッキリを仕掛けるのです」

「えぇ? どうやって?」

「やって?」


「おねえちゃんは天ちゃん空ちゃんが双子だってことを知らないのです! そこで、天ちゃん空ちゃんがそれぞれ別の場所でおねえちゃんに会うのです」

「わぁそれ面白そう……でもどうやって?」

「やって?」

「まずは空ちゃん! 空ちゃんには、トイレに隠れてもらうのです」


「……えっ?」


 貴音から役を与えられて空ちゃんは驚いたのです。


 空ちゃんは無口な子なのです。大人しい子のように見えるけど実は、お姉ちゃんである天ちゃんにすべて任せて自分は楽をするという「あざとい子」なのです。


「で……部屋におねえちゃんが入って来たとき、部屋の中には貴音と天ちゃんの二人っきりなのです。おねえちゃんには『お友だちはひとり』と言うのです。そしておねえちゃんが一階へ戻ったとき、トイレから空ちゃんが現れるのです!」


「えぇ……そんなに上手くいくなかなぁー?」

「かなぁー?」

「大丈夫なのです! おねえちゃんはいつも同じルーティーンなのです」



 ※※※※※※※



「ただいまー」


 おねえちゃんが帰ってきたのです。


 貴音たちは階段の陰に隠れて様子をうかがっていたのです。するとママさんに呼ばれて洗面所から出てきたおねえちゃんはキッチンへ向かったのです。


 ――今なのです!


 貴音たちは物音を立てないように一階へ下り、空ちゃんをトイレに案内して隠れてもらったのです。そして何事もなかったかのように貴音と天ちゃんは二階へ戻ったのです。


「でも貴音ちゃん、もし今お姉さんがトイレ入ったらヤバくない?」

「大丈夫なのです! おねえちゃんは一度、二階に上がってから一階のトイレに行くのです」

「……効率悪いじゃん」

「そこがおねえちゃんなのです!」


 ――おねえちゃんは意外とお間抜けさんなのです!


 すると……おねえちゃんが貴音の部屋にやって来たのです。


 おねえちゃんは天ちゃんにあいさつすると、麦茶とカットフルーツを置いて出ていったのです。麦茶のグラスが三つあって怪しまれたのですが、貴音の言い訳を信じたのです。

 ただ……フルーツをカットしてキレイに盛り付けたのがおねえちゃんと知って貴音は驚いたのです。


 おねえちゃんは一階に戻ったのです。たぶんトイレなのです。


 貴音と天ちゃんは階段の陰でおねえちゃんの様子をこっそり見ながら、スマホで空ちゃんに合図を出したのです。


 〝ガチャッ〟


 おねえちゃんはトイレから出てきた空ちゃんと鉢合わせになったのです。


「えぇええええっ!?」


 おねえちゃんはとても驚いてくれたのです……ドッキリ大成功なのです♥


貴音なのです。空ちゃんはトイレに隠れただけなのです。


……余計なことを想像した人は絶対にヘンタイさんなのです。

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