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私は妹の友だちと友だちになりたい!(いづみside)中編

 


 さっき妹の部屋にいた「天ちゃん」がここにもいた……



 ――なっ、何でぇええええっ!?


 私はトイレの中で頭を抱えていた。


 妹の貴音(たかね)ちゃんがお友だちを連れてきた。『菱山(ひしやま) (てん)』と名乗るその子は、私が二階にある妹の部屋を出るとき間違いなく中にいた。

 だが私が一階へ降りたとき、なぜかトイレから「天ちゃん」が出てきたのだ。何で? 瞬間移動? イリュージョン? それとも……


 ――ドッペルゲンガー?


 そういえばトイレから出てきた「天ちゃん」はずっと無言で、私に軽く会釈をしそのまますぅっと二階に上がっていった。確かドッペルゲンガーはしゃべらないって話だ。そしてそれを見た者は……



 ――死ぬ。



 うわぁああああっ! 怖いよぉおおおおっ!?


 ん? でもおかしい……確か母さんは「麦茶三つ」と言っていた。つまり妹を除いてお友だちは「二人」のはず! だが妹は「ひとり」だと……まさか!?


 私はトイレから出るとすぐに妹の部屋へ向かった。


「貴音ちゃん、それと天ちゃん()()! 入るよー」


 〝ガチャッ〟



 ――やっぱり! そこには天使が三人いた。



 学校帰りに立ち寄ったと思われる白いセーラー服姿の三人は、もはや天使にしか見えない。その天使ちゃんたちはイタズラがバレたことで座布団に大人しく、バツが悪そうに座っていた。


「天ちゃん……双子なんだね?」


「すっ、すみません」

「……ません」


「貴音ちゃん! ウソついたね?」


 だが妹は悪びれることなく


「てへぺろなのですぅ!」


 それもう死語だぞ……でも貴音(オマエ)のてへぺろはカワイイから許す♥


 結局、この子たちのイタズラにまんまと付き合わされたのだ。


「で、天ちゃん……いや、どっちが天ちゃんだ? えっと、もうひとりは?」


「あっ、私が姉の『(てん)』です! で、こっちは妹の『(くう)』です」

「空です」


 見れば見るほどそっくりだ。ただちょっと気になることが……


「天ちゃん……空ちゃんって、あまりしゃべらないんだね」


「そうなんですよぉ、いつもしゃべるのは私なんです」

「なんです」

「空はいつもこんな感じで私の後についてくるだけでして」

「でして」


 おいおい、さっきから聞いていればこの空ちゃんって子、まるでアニメの「フランダースの犬」に出てくるジョルジュの弟・ポールみたいな話し方じゃないか……こっ、これはこれでカワイイ♥


「もう三人ともビックリさせないでよね! それじゃごゆっくり」


 とりあえず黒髪の天使ちゃんが双子ってことで一件落着。この子たちと一緒にいたい気持ちを抑え部屋から出ていこうとしたそのとき、


「あっ、お姉さん!」


 天ちゃん(たぶん空ちゃんではない)が私を呼び止めた。


「えっ、何?」

「あっあの……私たち、実はお姉さんに相談したいことがあるんです」

「あるんです」


 ジョルジュとポール……じゃなかった天ちゃんと空ちゃんが私に相談?


「あっあの、お時間よろしいですか?」

「ですか?」


「えっ、あっ……いいけど」


 私は再び妹の部屋に入るとベッドに腰掛けた。何かこの子たちの様子から真剣な相談ごとのような気がしてきた。


「で、何? 相談って……」


 初対面の私にいきなり相談って……なんだ?


「あっ……あの……」


 座布団の上で正座に座り直した双子ちゃんはモジモジしてなかなか言い出せずにいたが、ついに天ちゃんが意を決してこう言った。


「あのっ! お姉さんはおっぱい大きくするプロだって聞いたんですが……お願いです! 私たちのおっぱいを大きくしてください!」

「ください!」



 ――はぁ?



 おっぱい大きくするプロって何だよ? 私はいつから豊胸の専門家に……んっ、まさか!?


 先日、妹がブラに興味を持つようにと、試着室で私がバストアップするブラの着け方とか教えたけど……


「たーかーねーちゃーん」

「ぷにゅ!?」


 私は妹の頬を指で挟むと


「そういうことは気軽に言いふらしちゃダメ」

ふぁっふぇ(だって)ふぇんふぁんふぉ(てんちゃんも)ふうふぁんふぉ(くうちゃんも)ふぁふぁんふぇ(なやんで)ふぃふふぉふぇふ(いるのです)


 そして双子ちゃんに向かって


「あなたたちも、まだ中学生なんだからそんなこと気にしなくていいのよ! それに……見たところそんな気にするような体型じゃないでしょ」


 そう、この双子ちゃんは妹と違い制服の上からでもふくらみがわかるのだ。


「あっ……違うんですよ、実はこれ……」


 と言うと天ちゃんはとんでもない行動に出た。天ちゃんは立ち上がると、いきなりセーラー服を脱ぎだしたのだ。


「えぇっ、ちょっと天ちゃん、何やってるの? やめなさい!」


 これは建前、本音は……


 ――おぉ! いいぞもっと脱げぇええええええええっ♥


 ラッキースケベって……現実にあるんだ。


 天ちゃんはセーラー服の上着を脱ぎ、ブラジャー姿になった。ブラは一般的なタイプだが……あれ? おっぱいとカップの間にすき間が……しかも


「天ちゃん……もしかしてパッド入れてる?」


 天ちゃんは顔を赤らめながら小さく頷いた。さらに、


「ちょっと、空だってそうでしょ!? あなたも脱ぎなさい!」

「なさ……へっ!?」


 と言って隣で黙って見ていた空ちゃんの服を脱がし始めたのだ。


「あぁちょっと! わかったからそんなことしなくていいよぉ……」


(本音)天ちゃん、ぐっじょぉおおおおおおおおぶ♥


 姉と同じようにブラジャー姿にさせられた空ちゃんは顔を真っ赤にしていた。



 ――なっ……なんだこの状況は?



「私たち、貴音ちゃんも含めて『貧乳シスターズ』って呼ばれているんです! だから何としてもおっぱいを大きくしたいんです!」

「あっ、あのさぁ……言いたいことはわかったからさぁ……とりあえずここ二階だから大丈夫だと思うけど一応カーテンは閉めておこうか」

「ひっ、いゃぁああああっ!」


 我に返った天ちゃんは顔を真っ赤にしていた。



 ※※※※※※※



「先生! 確かわきのお肉を寄せるんでしたっけ?」

「でしたっけ?」

「あぁその方法? それはね、今のあなたたちはやっちゃダメなの」

「えっ何で? 私たちが細すぎるからですか?」

「ですか?」


 天ちゃんはグイグイくる。空ちゃんは姉についてくる。貴音ちゃんは……おい、何でオマエもブラ一枚になってんだよ!


 ブラジャー姿の女子中学生三人に囲まれた……どういう状況だ?


「そうじゃなくて……あなたたちのおっぱいってまだ成長途中……硬いでしょ? そんな状態で無理なことをしない方がいいと思うの」

「えっ、イヤです! 私たちは今すぐにでも大きくしたいんです」

「したいんです」

「おっぱい大きくてもイイことないよ」

「そんなことないです! お姉さんみたいに大きくなりたいです!」

「たいです!」


 うわぁ、この子たちって聞く耳持たなそうだなぁ……仕方ない。



「わかった! じゃあ巨乳がどんだけ大変か、あなたたちに教えてあげるよ」


貴音なのです。おねえちゃんはやっぱりヘンタイさんなのです!

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