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私は……尾白貴音に告白した(いづみside)

 



「よし……大丈夫!」




 私は……自分の頬を軽く叩いて気合いを入れた。



 ※※※※※※※



 三月三十日……


 今日は親の再婚で継妹になった「尾白(おじろ)貴音(たかね)」の十三歳の誕生日、そして私たちが出会ってちょうど一年を迎えた日だ。

 誕生日パーティーも無事終わり、私はひとりでお風呂に入っている。湯船に浸かりながら私は、貴音と過ごした日々を思い出していた。


 貴音は私の周囲に今までいなかったタイプ……いや、今後も恐らく現れることはないであろう「天使」のような美少女だ。

 私は彼女を見た瞬間「好き」になった……つまり一目惚れだ。とは言っても最初は、私が今まで付き合ってきた女と同様「性的な意味」での一目惚れであった。

 当時まだ他人行儀だった継妹に対し、私はスキンシップと称して一緒にお風呂に入ってハダカを見たりパジャマを脱がそうとしたり……法的&倫理的にギリのところで(若干アウトもあったかな?)セクハラ行為を繰り返していた。


 だが時が経つにつれ、彼女の意外な一面も見えてきた。表向きはいつも周囲を幸せな気分にさせるまさに「天使」そのものだがその反面、物心がつく前に実の母親を亡くした……という孤独感を持ち合わせていたのだ。

 なので私は彼女に対して「姉」時々「母」の気持ちで接していた。時に支え、時に癒され……彼女と過ごしたこの一年がとても有意義で、これからもこんな日々が続いていくことを切に願っていた。まぁ私の巨乳に異常なほどまでの執着心を持ったのは想定外だったが……。


「貴音ちゃん、入るよー」


 私は貴音の部屋に入った。だが、いつものような気軽に妹の部屋へ入る……という感覚ではない。今日は不退転の決意でこの部屋に入ったのだ。なぜなら、



 私は今から……継妹の尾白貴音に「告白」するからだ。



 ※※※※※※※



 貴音は今日、十三歳になったばかり。そして明後日から中学二年生になる……まだまだ子どもだ。

 そんな子どもに対して今年二十歳になる大人が告白する……明らかに不自然で違法性すら感じる。とはいっても六歳という年齢差は()()()()()では珍しいことではない。だったら何も今、告白することではないだろう。


「今日は楽しかった?」

「楽しかったのです! それと、ママさんのお料理とってもおいしかったのです」

「そっか……」


 確かに告白する時期じゃないかもしれない……でも、


「そういえばさぁ、私たちが出会ってからちょうど一年だね!?」

「そうなのです! 貴音はおねえちゃんと出会えてとってもよかったのです」

「……お姉ちゃんもだよ! 貴音ちゃんが妹でよかったと思ってる」


 貴音と過ごしたこの一年はあっという間だった。彼女とはこれからもずっと一緒に……できれば一生過ごしたいとさえ思っている。

 もちろん、このまま姉妹として過ごせばそれは可能だ。だが「きょうだい」という間柄は、いずれ別々の人生を歩むのが運命だ。なぜなら将来的にきょうだいの誰かが「人生のパートナー」と出会い、別々の家庭を持つのが一般的だからだ。


 ならば私が貴音と「人生のパートナー」になればいい! だからと言って、今はまだ子どもの彼女に性的な手出しをするつもりなどない。もちろん無知な彼女を同性愛の世界へ言葉巧みに誘導するつもりもない。


「あのさ……貴音ちゃん」

「何なのです?」

「ちょっと……貴音ちゃんに話したいことがあるんだけど……いい?」

「……? いいのです」


 私はただ……自分の気持ちを伝えるだけだ。貴音が色々知ってから大人になったとき、「実は女性の貴音ちゃんが好き」と言われたら彼女も戸惑うだろう。だったら早いうちに、自分の全てを話してやろう!


 貴音のことが「好き」という気持ちと、私自身の「性的指向」の告白(カミングアウト)だ!


「貴音ちゃんのお父さんと、ウチの茅……母さんは結婚したよね?」

「……したのです」

「でさぁ、貴音ちゃんは……ノラさんというお母さんとお父さんが結婚して生まれたんだよね?」

「おねえちゃん、今さらそんなこと聞いて……おバカさんなのですか?」


 ……おいっ!


「いやもちろん知ってるけど……お父さんとお母さん、そして貴音ちゃんのお母さんも……お互いが『好き』だから結婚したんだよね?」

「そうなのです! パパは貴音のママも、もちろん今のママさんも好きなのです」


「だよね……ところで、貴音ちゃんはクララのこと好き?」

「大好きなのです」

「天ちゃん空ちゃんは?」

「もちろん好きなのです」

「ゲームは?」

「好きなのです……っていったい何なのですか?」


「そう、ペットや友だちや趣味に対しても『好き』って言葉使うよね? でもお父さんやお母さんの『好き』とは違うじゃん!」

「それは以前おねえちゃんにも聞いたのです! その二つの『好き』って……違いは何なのですか?」


「うーん、ぶっちゃけこれが正解とは言えないんだけどさ、大きな違いは『男と女の関係』かどうかってことじゃないかな? 要するに二人の間に子どもができるかどうか……」

「えっ、どういうことなのです?」


 うわっ、やっぱそれ聞くか!? 困ったなぁ、ぶっちゃけ「セックス」の一言で済む話なんだけど……


「それは……たっ、例えばさ! 貴音ちゃんがクララのことをいくら好きでも、クララとの間に子どもは作れないじゃん! 天ちゃんや空ちゃんとだって……その、男と女の間にだけ子どもを作るという行為……」


「あっ、セックスのことなのですか?」


 ――えっ!?


 ――この子、知ってんじゃねぇかぁああああっ!?


「でもどうやってするのかわからないのです」


 それは知らなくていいよ……私的に!


「だったら話が早い! そういう男女が子どもを作る行為、つまりセッ……クスをしたくなる間柄の『好き』と、そうでない『好き』を使い分けているの! まぁ英語で言ったらLoveとLikeだね」

「そうなのですか……ひとつお勉強になったのです!」


 貴音は腑に落ちた表情を浮かべたが……これで納得してもらったら困る。


「でもね!」

「えっ?」


「世の中にはセッ……男と女という間柄とは関係なく、しかもペットや友だちや趣味とは違う『好き』というものが存在するんだよ」

「えっ!? 何かまたややこしいお話になったのです」


「どういうことかと言うと……男が男を、そして女が女を……他にも男と女の両方が『好き』だという人もいるんだよ!」

「そういえばおねえちゃん、男の人がきらいなのです。おねえちゃんは女の人が好きなのです! でもそれを言ったら貴音も天ちゃん空ちゃ……」

「うん、だからそういうのとは違うの! お姉ちゃんはね、男の人とセックスをしたいと思う『好き』という感覚で()()()()()()なの!」


 つ……ついにカミングアウトしてしまった!


「そしてね……今、お姉ちゃんにはとっても……これからもずっと『好き』であり続けたい女の人がいるんだよ!」


「えっ……誰なのです」



「それはね……貴音ちゃんだよ」



「えっ?」




「お姉ちゃん……いや、私は……貴音ちゃんのことが好きです」




続くのです。



 貴音なのです。今日は貴音のお誕生日なのです!


 誕生日プレゼントは下にある★がいいのです! 投げ銭と違いお金はかからないのです! 無料なのです! しかも申告しなければ作者に気づかれることもないのでアナタには何のリスクもないのです!

 えっ!? 貴音のお誕生日なのに何もしないで帰るのですか!? 信じられないのです! ただ下にある★をクリックやタップすればいいだけなのです! ログインしてない人はすぐログインまたはユーザー登録をす……(以下略) 

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