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貴音は二度目のデートをするのです(貴音side)

 



「大変じゃん! お姉ちゃんが車で送ってやるよ」




 えっ……予想外の展開になったのです。



 ※※※※※※※



 貴音(たかね)硯都(けんと)君から二度目のデートに誘われたのです。今度は同じ街にある美術館なのですが、前回の動物園より遠いのです。

 今回も貴音はバスで行こうと考えていたのです。するとおねえちゃんが車で送ると言い出したのです。


「えっ、それは……貴音個人のことなので申し訳ないのです」

「いいよ気にすんなって! お姉ちゃんも貴音ちゃんの()()がどんなヤツか気になるからさぁ」


 カレシではないのです。おねえちゃんは笑顔で話しているのですが、よく見ると顔が引きつっているのです。なぜならおねえちゃんは男の人が苦手なのです!


 おねえちゃん……ムリしないでいいのです!



 ※※※※※※※



 デートの日なのです……いつの間にか三月になっていたのです。


 この日は朝からスッキリとした青空が広がっていたのです。おねえちゃんの運転する車でやって来た貴音は、駐車場から歩いて美術館に向かったのです。

 途中、駐輪場で硯都君の自転車を見つけたのです。自転車を見た瞬間、貴音はまたドキドキしたのです。でも動物園のときはそんな感覚なかったのです……不思議なのです。


 そういえばもう一つ、前回と違うことがあるのです。


「おねえちゃん……何でついてきているのです?」

「えっ、貴音ちゃんの彼氏に挨拶しようと思って……」


 おねえちゃん……恥ずかしいからマジでやめてほしいのです!



 ※※※※※※※



 結局おねえちゃんは待ち合わせ場所までついてきたのです。


 硯都君とは美術館の前にある彫刻の前で待ち合わせたのです。「四つに分かれた横たわる人体」という名前なのですが、リアルに考えたらかなりグロいのです。


「硯都君、お待たせなのです」

「あぁ尾白(おじろ)! 大丈夫、オレも今来た……えっ、お姉さん!?」


 硯都君はおねえちゃんを見て目が点になったのです。


「どーも初めまして! 貴音の姉でーす!」

「えっ……あっどっ、どうも……」


 おねえちゃんを見て硯都君はし()()どろ(←しどろもどろの間違い)になったのです。それもそのはずなのです……おねえちゃんは笑顔なのですが、完全に殺気立っているのです! きっと硯都君はおねえちゃんの迫力にビビッてしまったに違いないのです。

 硯都君はおねえちゃんからずっと視線を逸らしているのです。このままじゃ硯都君がかわいそうなので、貴音はおねえちゃんを早く帰そうと考えたのです。


「おねえちゃん、もっもういいのです! 早く帰るのです」

「えーお姉ちゃんもせっかく来たから美術館見ようと思ったんだけどなぁ……大丈夫! お二人の邪魔はしないから! 別行動するよ」


 ――そういう問題じゃないのです!


「硯都君、イヤならイヤとはっきり言っていいのです」


 ところが……硯都君は意外な反応をしたのです。


「う、うん……いいよ一緒でも」


 ――ほへっ!?


 硯都君は一緒でもいいと言ったのです。たぶん硯都君は頼まれたことは断れない優しい性格なのです。おねえちゃん付きでデート……何か監視されてるみたいで貴音はイヤなのです。


 仕方なく三人で美術館に向かったのです。そういえば……


「この美術館って何があるのです?」

「えっ……」


 貴音の言葉を聞いた硯都君とおねえちゃんの動きが止まったのです。


「知らないの?」

「おいおい、お姉ちゃん県外出身だけど知ってるぞ」

「ここはミレーなどバルビゾン派の作品を中心とした美術館だよ」

「……ベルメゾン派?」

「「通販じゃねーよ」」


 おねえちゃんと硯都君から同時にツッコまれたのです。どうやら硯都君はおねえちゃんと打ち解けたみたいなのです。ダブルツッコミが上手く決まったせいか、硯都君は何となく楽しそうなのです。


 貴音たちは美術館に入ったのです……ところが、


「中学生の方は無料です、大人の方は五百十円になります」


 受付でおねえちゃんのお財布を持つ手が止まったのです。


「あ、あぁ~急に用事思い出しちゃったぁ~! じ、じゃあ後はお二人で楽しんできてね~!」


 まさかと思うけどおねえちゃん、五百十円が払えないのですか!?



 ……金欠おねえちゃんは先に帰ったのです。



 ※※※※※※※



 おねえちゃんが帰ったので、貴音は硯都君と二人で入ったのです。白い階段を上ると目の前に「ミレー館」という部屋が現れたのです。


「まずはここから見ていこうよ」


 でもその前に……貴音にはとても気になっていることがあったのです。それは硯都君が、貴音と一緒に来た人を見てすぐに「お姉さん」と言ったことなのです。


「硯都君、おねえちゃんのこと知ってるのですか?」


 ここは美術館の中なのです。貴音たちはヒソヒソとお話をしたのです。


「えっ? 尾白の姉ちゃん、男子の間では超有名だよ」


 思い出したのです! 体育祭のときおねえちゃんは保護者競技の障害物リレーに出場したのです。でも途中でブラが外れ、おねえちゃんはおっぱいをぷるんぷるんさせながらゴールしたのです。


「硯都君……えっちなのです」


 ていうか学校の男の子、全員えっちなのです!


「えぇっ、そんなこと言われても……そ、そりゃ男子はみんな好きだろ」

「そんなことないのです……このミレーさんみたいに全然えっちくない絵を描く人だっているのです」

「えっでもこの人、売れてなかった頃は裸婦画を描いてそれを売って生活してたらしいよ」


 このおヒゲのおじさん、そんなことをしていたのですか!? ちょっと幻滅……と言いたいところなのですが、よく考えたら貴音もおねえちゃんのおっぱいが大好きなのです♥



 ※※※※※※※



 貴音と硯都君は美術館を出て、公園の中を歩いたのです。この日は日曜なのですが、観光客はそこまで多くなかったのです。その代わり、ワンちゃんを散歩させている人が多かったのです。


 ……クララを連れてくればよかったのです(※美術館には入れません)。


「あっすみません! ドラコ、そっち行ったらダメよ」


 二人とも背が低いカップルが連れていたダックスフンドが貴音の足元に寄ってきたのです! とてもカワイイのでもふもふしたいのですが、知らない人のワンコを勝手に触ってはいけないのです。


「カワイイですね! すみません、この子の頭なでてもいいですか?」

「えっ、いっ……いいですけど……」

「尾白、いいってよ」


 貴音の気持ちを察したのか硯都君が代わりに聞いてくれたのです! 硯都君は超能力者なのですか!?


 貴音はワンコをもふもふしたのです。お腹までなでさせてくれてとってもかわいかったのです! でも隣町の高校生だというカップルも、とても小さくてかわいいのです。この二人を見ていたら何かいいなぁ……って思ったのです。


 貴音たちは公園の中をぐるっと一周して美術館の前にある広場へ戻ってきたのです。広場には三角形の木が何本もあるのです。

 まるでジェラートが並んでるみたいなのですが、これを見て貴音はあることを思いついたのです。


「硯都君! あの木を使ってゲームをするのです」


貴音なのです。現在は入館料520円なのです。

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