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私は妹にブラジャーを買ってあげたい(いづみside)後編

 


「貴音ちゃん……貴音ちゃんもブラ着けてみる?」



 私は、ブラジャーに興味あるけど着けようとしない妹・貴音(たかね)ちゃんにブラを着けさせるため「ある作戦」を遂行した。

 それは私がブラを試着するから付き合って……と妹を試着室に誘い込み、店員さんを呼んで妹のバストを採寸しようというものだ。


「たっ、貴音は……必要ないのです!」


 案の定、妹は嫌がってその場から逃げ出そうとした。


「そぉ~お? さっきから興味津々にブラ見てたじゃん! お姉ちゃんが説明してたときもメッチャ食いついてたよね?」

「そっ……それは……」

「ま、とりあえず採寸だけでもしてもらいなよ」


「してもらうって……もしかしてこのお姉さんが貴音のおっぱい測るのですか?」


 ――こらこらっ、店員さんを指差すな!


「うん、自分に合ったサイズを見つけるなら店員さんに見てもらうのが一番だよ」

「えっ……貴音のおっぱいは測定する意味ないのです。そっそれに、このお姉さんにおっぱい見せたくないのです」


 妹の戯言(たわごと)を聞いた店員さんは、クスクス笑うと妹に向かってこう言った。


「大丈夫です、採寸する意味のない人なんていませんよ。それと採寸は服の上からしますので、上着だけ脱いでいただければ測れますよ」


 出掛ける前、私は「店内は暑いからいつでも上着を脱げるようにした方がいい」と妹に告げていた。もちろん店内が暑いなんてウソ! 採寸できる格好にするよう誘導しただけだ。


 服の上から……という言葉に安心したのか、妹は店員さんに採寸させた。本当はブラが欲しいのバレバレなんだよ……ったく、素直じゃないなぁこの子は。


「終わりましたよ」


 店員さんがそう言った瞬間、妹は両耳をふさいだ。


「何してるの?」

「たっ、貴音は……結果を聞きたくないから耳をふさぐのです!」


 妹のおバカな言動に店員さんは「ぷっ」と吹き出した。私はこっそり妹のニャインに『AA60だよ』と書いたメッセージを送信してやった……


 ――親切だなぁ、私って♪



 ※※※※※※※



「それでは何点か選んできますのでしばらくお待ちください」


 店員さんはそう言い残すと売り場へ消えていった。すると


「イテッ」


 突然、私の脚を何者かが蹴った……妹だ。


「何すんだよ」

「おねえちゃんひどいのです!」


 妹はスマホの画面を見せた……あぁニャインか。ぷぷぷっ!


「えっ、だって貴音ちゃんが『聞きたくない』って言うから見(・)せ(・)た(・)んだよ」

「そういう意味じゃないのです! 何なのですAAって?」

「ん? Aカップが二つ分あるって……」

「ぜっ、絶対にウソなのです! もしかして貴音は特殊サイズなのですか!?」

「ちげーよ、それにそのサイズってあくまでも……」


「目安ですよ! お嬢さん」


 先ほど採寸してくれた店員さんが、何種類かのブラを持って戻ってきた。


「試着してみるとサイズが変わることはよくあります。先日も、採寸したらAだけど実際に試着したらDだった……なんてお客様がいらっしゃいましたよ」


 ――えっ、そんなに変わる人いるの?


「それじゃあ試着してみてください……あっ」

「はい?」

「あっいえ……ごゆっくりどうぞ。何かありましたらお声をお掛けください」


 何か言いたげだったが、店員さんは何も言わず売り場へ消えていった。



 ※※※※※※※



 再び試着室は妹と二人きりになった……さーて、


 妹のおっぱいを弄(もてあそ)ぶ時間だ♥


 ……ウソだよ。


「さっ貴音ちゃん、さっそく着けてみようか」

「おっおねえちゃん、貴音の着替えを見ないでほしいのです……出ていくのです」

「おい、さっきまで人の着替えをまじまじと見ていたヤツが言うな」

「うぅっ」


 何も言い返せない妹は渋々上半身裸になった。店員さんが選んでくれたのはブラともうひとつ……まずはこれだな。妹に着せたのは……


「えっ、これはキャミソールなのです。貴音が着けているのと変わらないのです」

「そう思うでしょ? ところが違うんだなー」


 これはキャミソール型のブラトップ、胸が当たる部分が二重になっている。


「貴音ちゃん、この前おっぱいの先端がチクチクするって言ってたよね?」

「う……うん、するのです」

「その痛みを抑えてくれるんだよ。それとね……これから夏服になって今のキャミのままだと……先っちょがポチっと目立っちゃうんだよねぇ」

「えっ?」

「つまりね……周りの人がみーんな、貴音ちゃんのおっぱいの先っちょがどこにあるのかわかっちゃうんだよぉ~、もちろん男の子からも……」


 その言葉を聞いた妹は顔が真っ青になった。


「そそそっそれはイヤなのです!」

「でしょ? このキャミはそれを隠してくれるの……ところでサイズはどう?」

「うーん……ちょっときついのです」


 ――あれっ? これじゃきついか……。


「えっ、じゃあ試しにこっちも着けてみる?」


 私はもうひとつのブラを着けさせてみた。ワイヤーのないスポーツブラみたいなタイプだ。


「すき間があったらダメだよ、全体的に包み込む感じで……」

「うん、貴音はこっちの方がフィットするのです! これがいいのです」


 ええっ? 二番目に着けさせたのはもうワンステップ上……おっぱいが全体的にふくらんできた子が着けるタイプだ。


 妹は私が思ってた以上に成長しているようだ。 


「あっそう? でもこれってブラジャーの形だけど……体育の着替えとかで恥ずかしかったらキャミの方が……」

「貴音はこれが着たいのです」

「えっ?」

「ほとんどの友だちはブラを着けているのです。貴音もブラが欲しいのです!」




 ――コイツ……やっと本音を言いやがった!




 妹は、同級生がブラを着け始めたことで自分も欲しくなったが、自分におっぱいが無いという思い込みで着けることをためらっていたのだ。しかしこうやって実際に着けてみて自信を持ち始めたようだ。


 妹は姿見に映ったブラジャー姿の自分を、嬉しそうにずっと見入っていた。


「おねえちゃん! 貴音はひとつ上のサイズがピッタリだったのです! だから貴音はA……もしかしたらBカップなのです!」

「あ、あぁ……そうだね」


 ――ざんねーん!


 妹よ、オマエが着けているのはトップとアンダーの差が十センチ以下のソフトブラ……サイズ表記は子供服と同じ『140』だ。ぶっちゃけアンダーバストを測る必要もなかった。


 ……ま、本人が気づくまで黙っておこう。大事なのはこういうお店にためらわずに入れたり採寸されたり試着できたり……要はブラに慣れることだ。


「でもおねえちゃん、貴音はちょっと不満なのです」

「えっ、何で?」

「このデザイン……白一色で地味なのです」


 いやいや、これはファーストブラとしては一般的なヤツだぞ。


「貴音はおねえちゃんと同じ、お花の柄が入った赤や青色のブラがいいのです」



 おい、さすがにそれは「おませさん」だぞ♥

貴音なのです。AAとはアスキーアートのことではないのです……


Σ(゜Д゜;) 


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