↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/334

私は妹にブラジャーを買ってあげたい(いづみside)前編

 


 私の部屋に……カワイイ下着泥棒が侵入した♥



 被疑者の名前は「尾白(おじろ) 貴音(たかね)」十二歳、中学生。私の部屋に侵入し、母が取り込んだ洗濯物のカゴの中から私の「ブラジャー」を物色している模様……。


 被疑者はブラジャーを手に取ると興味津々に眺めている。それから刺繍を指でなぞったりホックを付けたり外したり、パッドを指で押さえ厚みを確認したりしていた。まるで初めて道具を与えられたチンパンジーのような行動だ。

 そしてブラジャーを顔に近づけると……おっ、おいちょっと待て! 被疑者(コイツ)は何でニオイを嗅いでいるんだよ! 変態か!?


 とりあえず犯行を現認! 今から被疑者の身柄確保に向かう!!



「あ~っ、下着ドロボー!」



 私はカワイイ下着泥棒に声を掛けた。すると下着ドロボーさんは、獲物を狙っている最中に驚かされた猫のような反応を見せた。


「ひいっ! ちちち違うのです! こっこれは違うのです」


 何がどう違うんだよ。でも、これで妹がブラに興味あるってことがわかった。



 ――ていうか……うっかりしてたな。



 妹と初めてお風呂に入ったとき、本人は「無い」と言い張っていたが胸のふくらみは確認できた。しかも「胸の先端がチクチクする」とまで言っていたのに……


 もうこの子は「ブラデビュー」させてもいい時期じゃないのか? もっと早く気づいてあげるべきだった。


「なーに? 貴音ちゃん、ブラジャー着けてみたいの?」

「そっ、そんなんじゃないのです! 貴音は……おっ、おねえちゃんのおっぱいが好きだからそっ、その……おねえちゃんのブラジャーに興味があるのです!」


 ――おい、もしそれが本音だとしたらオマエかなりやべーやつだぞ!


「貴音ちゃん、どう? 今度ブラジャー買いに行ってみる?」

「たっ、貴音はまだそういうの必要ないのです! 貴音はおっぱいが無いのです」


 と言うと妹は逃げるように部屋から出ていってしまった。


 あーぁ、行っちゃった……難しい年頃だなぁ。



 ※※※※※※※



 本人は「無い」と言っていたが、今の妹のバストならブラを着けても問題ないサイズだ。それにどんなサイズだろうが「ブラジャーを着ける」という行為は、ほぼすべての女性が経験すること……必要ないということなどない。


 前よりよくなってきたとはいえ、妹はまだおっぱいにコンプレックスがあるからなぁ……興味はあるけど「買いに行く勇気」は無いってことだな。


 ――仕方ない……ここはお姉ちゃんが一肌脱いでやるか!


 でもこういうことは本来、母親(ウチの場合は茅乃(かやの))にサポートしてもらうのが一般的だろう。だが私(・)の(・)経(・)験(・)上(・)、茅乃(アイツ)にだけは絶対に任せてはいけない! 私もデリカシーが無い方だがアイツよりはマシだ!


 まだ覚えている……私がブラデビューしたときのこと。小学校四年生で胸がふくらみ始めた私は悩んだ末、母・茅乃に相談した。

 すると茅乃は、私を近所の衣料品店に連れていきブラジャーを買ってくれた。ここまではまぁフツーの話だが問題はこの後!


 茅乃(ヤツ)は店にやって来た近所の常連さんたちに片っ端から「ウチの子さぁ~、今日からブラジャーするのよぉ~」とベラベラしゃべりやがったのだ!

 挙句の果てに「服着たままでいいですよ」って言う店員さんを無視して私の服を脱がし、まだ誰にも見せたことのないおっぱいが丸見えの状態で採寸させやがったのだアイツは! もぅメチャクチャ恥ずかしかったぁああああっ!

 このとき私は男性恐怖症による不登校が治りつつあったのだが、このトラウマが加わったことで以後三年間……小学校卒業まで不登校が延長してしまった。


 なので……茅乃(アイツ)に任せたら妹(・)も(・)一生トラウマを抱えることになるだろう。


 私は妹の部屋に入った。


「貴音ちゃーん……」

「貴音はブラジャーなんてしないのです」


 まだ何も言ってねーよ……しょーがない、主導権を握ろう。


「おい下着ドロボー! 警察呼ぶぞ」


 妹はビクッとなり、涙目で私の顔を見た。


「たたたっ貴音は何も盗ってないのです! 盗ってないのです!」

「わかってるよぉ~冗談だよ! 貴音ちゃん……今度の日曜、なんか予定ある?」

「えっ、クララのお散歩と家でご飯を食べること以外特にないのですが……」


 ……家でする三度の食事を予定に入れるな!


「じゃあさ、お姉ちゃんとデートしない?」

「結婚を前提にしている人以外とは法律でデートしてはいけないのです」


 どこからそういうねじ曲がった情報を仕入れるんだこの子は?


「あははっ、そうじゃなくてさ……お姉ちゃんの買い物に付き合ってくれない?」

「……貴音に何かメリットはあるのですか?」


「パフェおごってあげる♥」

「行くのです♥」


 ちょろい……ってか、対価要求しやがったなコイツは! だがそもそも……



 これは私の買い物じゃなくて……貴音(オマエ)の買い物だよ!



 ※※※※※※※



 日曜日……。


「「行ってきまーす」」


 私と妹は家を出ると駅に向かった。目的地はここから三つ先の駅……郊外にあるショッピングモールだ。


 でもブラジャーならわざわざこんな遠出しなくても近所で売っている。何なら私たちの住む街にはデパートだってある。

 ところが近場だと、同級生などの知り合いにバッタリ出くわす確率が高い。もし下着売り場で遭遇なんかしたら、妹は二度とその店へ行かなくなるだろう。


「貴音、電車に乗るの久しぶりなのです!」


 ま、それと非日常を経験すれば気分も良くなって思い出にもなる。「初めて買うブラ」は当然ながら一生に一度のこと……私は最悪の思い出しかないが、この子には良い思い出として残してあげたい。


 目的地のある駅に着いた……とても小さい駅だ。私と妹はここから歩いてショッピングモールに向かった。


「おねえちゃん見るのです、ヘンな飛行機が飛んでいるのです」

「あぁあれ? グライダーって言うんだよ」


 しばらく歩いているとショッピングモールの入り口が見えてきた。オープン当時は物珍しさから何度か来ていたが、運転免許と車がないと郊外のショッピングモールはハードルが高い……久しぶりに来たなぁ。


 ショッピングモールに入ると妹はいきなり、


「じゃあおねえちゃん! パフェ食べに行くのです♥」



 それ食ったら妹の「目的」は終わる……うん、もうちょっと待とうな。


貴音なのです。貴音はブラ<パフェなのです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。