妹の「タヌキ寝入り」をイジるのが楽しい(いづみside)
――ったく……この子はまったく懲りていない。
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妹の貴音は最近、リビングのソファーでタヌキ寝入りをする。どうやら最初に私が「お姫さま抱っこ」してやったのを気に入り、味を占めてしまったようだ。
最初は本当に寝ていたので仕方なく二階へ連れて行ってやった。だがそれ以降はずっと「タヌキ寝入り」をして、私にお姫さま抱っこで連れて行ってもらうことを楽しんでいるようだ。
まぁ妹を抱えて移動することに苦痛はない。私は高校を卒業するまでずっと剣道をやっていた。だが大学には剣道サークルがなく、今は剣道から離れてしまい運動不足……なので筋トレ代わりにちょうどいいと感じていた。
ただ、妹を抱えたまま階段を上るのは危険が伴う……できれば妹のタヌキ寝入りを止めさせたい。そこで昨夜、タヌキ寝入りをして私をだまそうとしていたカワイイ「ぽんぽこ貴音タヌキちゃん」に、セクハラまがいのドッキリを仕掛けて撃退してやったのだ!
もちろん妹のパンツを脱がすつもりなどない。実際にやったら強制ワイセツだ。
――そんなことしねぇよ……本当はしてぇけど♥
だがそんな姉の願いもむなしく……妹はまた今夜もソファーで寝ている。まぁ今回は仕方がない、昨夜のセクハラ発言で妹は警戒心MAXになり疲れてしまったようなのだ。今夜は一緒に入浴するのも拒否された。
でも「私のおっぱい洗わせてあげる」と言ったら二つ返事で一緒に入ってくれたのだが……どんだけ私のおっぱいが好きなんだこの子は!
妹よ、風呂上がりにいつまでもこんな所で寝ていたら風邪ひくぞ! はぁ~仕方ないなぁ……また部屋へ連れていくか。
――ガチで寝ているか「タヌキ寝入り」か見極めて……。
タヌキ寝入りなら即、お仕置きだぞ♥
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私は妹をお姫さま抱っこするとそのまま階段を上った。おそらく四十キロ前後はあるかと思われる妹の体重……だが私にとってこんなウエイトは屁でもない。
それより気になるのは妹が起きているかどうか……私は直接話しかけてみた。
「おーい貴音ちゃーん、寝ているかー?」
「ぐー、すぴー……」
……棒読みでイビキをかくな! タヌキ寝入り確定じゃねーか!
こりゃ、ぽんぽこ子ダヌキちゃんにお仕置きだな! と、その前に……
風呂に入る前、子ダヌキちゃんがお姫さま抱っこされた感想を「ときどき上下にふわふわして楽しかったのです」と言っていた。実際のところ上下に動かしていたのだが、これは決して遊んでやったワケではない。
実は子ダヌキちゃんを負荷にしてスクワットをしていたのだ。最近体が鈍っているからなぁ……ちょうどいい筋トレになった!
廊下で十回×三セットのスクワットを済ませると、子ダヌキちゃんの部屋に入りベッドに寝かせた。
「貴音ちゃーん……寝てるよね?」
油断していそうなタイミングで再度確認。
「すやすや……すやすや……」
ぷぷぷぷーっ! おい、「すやすや」なんてマンガみたいな寝息を立てるヤツいるかよ!? 腹筋崩壊するからそういうネタはやめてくれ子ダヌキちゃんよ!
お姉さんをだましているつもりだろうが、今夜も子ダヌキちゃんはだまされるんだよ! 手始めに軽くジャブでもかましておこう。私は昨日と同じように……
「さてと、今日こそ貴音ちゃんのパンツを脱が……」
――なんてことしねぇよ……本当はしてぇけど♥
……ってゆーか……ぷぷぷぷーっ!
今の発言を聞いた子ダヌキちゃんは、私にパンツ脱がされるのを警戒してタヌキ寝入りをしながらパジャマのズボンを必死に押さえているのだ!
あーはっはっは! やっ、やめて~笑い死にとキュン死のダブルで死ぬわ♥
子ダヌキちゃんよ……心配するな!
――そんなこと絶対しねぇよ……可能ならしてぇけど♥
今日は別の方向から懲らしめてやるのだ。私はタヌキ寝入り中の子ダヌキちゃんに布団をかけてからドアの所まで来た。そこから一階に向かって大きな声で、
「ねぇ母さーん! 冷蔵庫にある『プリン』、一緒に食べないー!?」
私はすかさずベッドを見た。
「……」
寝ているはずの子ダヌキちゃんが微妙に動いたような? すると下から母が
「えっ、何でこんな時間にー!? 貴音ちゃんはー?」
「あぁ、貴音は寝ちゃったから食べないよー!」
だーるーまーさーんーがこーろーんー……だっ!
――ぷぷぷぷーっ!
掛け布団がめくれ上がってんじゃねーか! 確実に上体起こしただろ?
――あー面白れぇええええっ!
さてと、タヌキ寝入り中の子ダヌキちゃんは放っておいて……私はドアを開けたまま子ダヌキちゃんの部屋を出てキッチンへ向かった。
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キッチンには母・茅乃がいた。すでに冷蔵庫から母が手作りしたプリンが三個取り出してある。ちなみに継父・延明さんは甘い物が苦手らしい。母は心配そうに、
「本当にいいの? 貴音ちゃん起こさなくて……」
私はLDKの扉の前で、わざと二階に聞こえるように
「大丈夫! 私お腹空いちゃったからさー! 貴音の分も食べちゃうわ!」
と言ってダイニングの椅子にゆっくりと腰かけた。テーブルにはプリンと……スプーンが三本置かれている。
「じゃ、そろそろ来ると思うから……いただきまー……」
〝ドドドドドドドドッ……バタンッ!〟
「たたたっ、貴音もプリン食べるのですっ!!」
「貴音ちゃん……やっぱり起きてたよね?」
「はぃ…………ごめんなさいなのです」
……ぽんぽこ子ダヌキちゃんの捕獲に成功した。
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私は子ダヌキ……妹に「罰」を与えた。それは……
「貴音ちゃん、今夜も良い子にしてたね」
「はいっ、よろしくお願いするのです♥」
あれから毎晩、私は妹の部屋に入る……部屋では妹が私の訪問を今か今かと待ち構えていていた。
――部屋に入った私は、妹を「お姫さま抱っこ」してあげるのだ。
えっそれのどこが「罰」? もちろんこれは罰ではない、「ごほうび」だ。
妹はお姫さま抱っこされることを非常に喜び、私は妹を抱えたままスクワットをして鍛える……いわば「Win-Win」の関係だ。
つまり罰とはその反対! 妹がソファーで寝ていた場合、この「ごほうび」がもらえなくなるのだ。
妹は「お姫さま抱っこ」されないと寝ぐずりするらしい……赤ちゃんか!?
貴音なのです。ママさんのプリンはとってもおいしいのです♥




