貴音はハロウィンを楽しむのです(貴音side)
――こっ、怖いのですぅううううううううっ!
今日、貴音はひとりでお留守番しているのです。
※※※※※※※
……中間テストの成績が悪かったのです。
いつもならこの時間はおねえちゃんと一緒に、おねえちゃんがバイトしているジムに行っているのです。そして志麻おねえちゃんとゲームをして遊んぶのです。
でも成績が悪かったのでママさんのゲキリンに触れたのです……下のキリンさんなのです(※違います)。下のキリンさんに触ってしまった貴音はおねえちゃんのバイト先に行くことを禁止され、強制的にお勉強をさせられることになってしまったのです。おねえちゃんはひとりでバイトに行ったのです!
しかも! 今夜はパパとママさんがお出かけしてしまったのです! 貴音はひとりぼっちになってしまったのです!
たっ……貴音は夜中にひとりでおトイレに行くことができないくらい怖がりなのです! こんな状況でお勉強なんかできないのですぅううううっ!
「わんっ!」
なので今夜はクララと遊ぶのです♪
※※※※※※※
〝ブゥウウウウン〟
「びくぅ!」
〝チャリンチャリン!〟
「どきっ!」
〝ニャーッ!〟
「うにゃーっ!」
家の前で物音がするたび貴音は恐怖を感じるのです。
そういえば今日はハロウィンなのです! ハロウィンなので今夜は家の周りにオバケさんや妖怪さんがいっぱいいるのです!
日本では百鬼夜行というのです……妖怪ぬらりひょんさんも出てくるのです(※出てきません)。
――おねえちゃん、早く帰ってきてほしいのです! でも……
いつもなら帰ってくる時間になってもおねえちゃんは帰ってこないのです。まっまさか!? おねえちゃん……ゾンビに襲われたのかもしれないのです!
〝ピンポーン〟
あっ、おねえちゃんが帰ってきたのです。貴音は玄関へお迎えに行こうと思ったのですが……玄関を開けてゾンビが出てきたらイヤなのです。
とりあえずインターホンで応対するのです。貴音は恐る恐るリビングのインターホンに出たのです。
「……は……ぃ」
……あれ?
相手の声が聞こえないのです。もしかしたら応対した貴音の声が小さすぎたのかも知れないのです。貴音は怖かったのですが勇気を出してインターホンのモニターを見たのです。
……あれあれ?
外には誰もいないのです。もしかして透明人間なのですか!? と、そのとき
「バァーッ!」
――ひっひぃいいいいいいいいっ!
突然、画面の左側から何者かが飛び出してきたのです!
「トリックオアトリ~ト~、勉強しない子はイタズラしちゃうぞ~♥」
ひぇええええっ!? 現れたのは……まっ、魔女さんなのです!
「きゃぁああああっ! しっしてるのです! 勉強してるのですぅううううっ!」
魔女さんは貴音がお勉強していないことをお見通しだったのです! イッイヤなのです! 魔女さんにイタズラされるということは……きっと貴音は呪われてしまうのですぅううううっ!
「クッ……クララぁ~! たっ助けてほしいのですぅううううっ!」
「ワンッワンッ」
貴音はクララを抱いて隠れたのです! クララは貴音を守ろうと必死に吠えていたのです! 家にはカギをかけているのですが、魔女さんだったらカギを開けたり壁を通り抜けたりできるかもしれないのです……こっ怖いのです!
あっ……カギと言えば!
今日おねえちゃんはカギを忘れてバイトに行ったのです。おねえちゃんはあわてんぼうさんなのです!
貴音がリビングに隠れていると
〝コンッ〟
窓ガラスに何かぶつかったような音がしたのです! 誰かいるのですかっそれともラップ音なのですかっ~ちぇけらっちょ♪
怖くて近づきたくなかったのですが……よく見るとカーテンが少し開いていて外が見えるのです! カーテンをちゃんと閉めるという使命を帯びて、貴音は再び勇気を出してカーテンに手をかけたのです。
「どきどき」
貴音は目をつぶっていたのです……怖くて窓から外を見られなかったのです。でも目を開けなければカーテンがちゃんと閉まっているか確認できないのです。覚悟を決めた貴音は少しずつ目を開けたのです!
「……ほっ」
よかったのです……外には何もいなかったのです! 貴音が安心していると……
「ばぁーっ!」
「きゃぁああああああああっ!!」
さっきの魔女さんが下から現れたのです!! 貴音は心臓が止まってあっち側に逝きそうだったのです! カーテンを閉めた貴音は慌てて逃げようとして転んでしまったのです!
貴音はブルブルブルドッグ……じゃなかったトイプードルのクララに抱きついたのです。クララは相変わらず吠えているのですが……あ、あれ?
――短いしっぽを思いっきり振っているのです。喜んでいるのです。
よく考えたら……あれは「おねえちゃん」なのです! なぜならあの魔女さん、メチャクチャおっぱいが大きかったのです! 貴音の目はごまかせてもおっぱいはごまかせないのです♥
すると……
「おーい貴音ちゃーん、お姉ちゃんだよー! 鍵、忘れちゃったからさぁー中から開けてくれるー?」
やっぱり……カギを忘れたあわてんぼうのおねえちゃんなのです! 貴音はカギを開けようとしたのですが……
……貴音を驚かせたバツなのです! 仕返しするのです!
「ウソなのです! オマエは魔女なのです!」
魔女さんの正体がわかった貴音なのですが、あえてしらばっくれるのです!
「さっきは驚かしちゃってごめんねー! お願いだから開けてくれるかなー?」
「オマエはおねえちゃんに化けた魔女なのです! 絶対に開けないのです!」
貴音を怖がらせた魔女さんはお外に立って反省するのです! しばらくすると
「貴音ちゃーん! お姉ちゃんトイレ行きたいから早く開けてぇー!」
「オシッコだったら塀に向かって片足上げてすればいいのです!」
「おっお願い! どうしたら信じてくれるかなぁ……」
「オマエがおねえちゃんだというのなら、そこでおっぱいを見せるのです! おっぱいの形を見ればおっおねえちゃんだと信じるのです……でへ♥」
冗談なのです……でも本当にやったら面白いのです!
さすがに「お漏らし」をさせてはかわいそうなのです! 貴音は玄関のドアを開けたのです。
〝ダダダダダッ!〟
魔女さんはものすごい勢いで廊下を駆け抜けようとしたのです。でもそんな簡単にはおトイレに行かせないのです!
「魔女さん! トリックオアトリートなのです」
「えっ、すでにトリックはやられてんだけど……何だよトリートって!?」
〝むぎゅ♥〟
貴音は魔女さんに抱きついたのです……これがトリートなのです。
「おいよせ! そんな強く抱きついたらもっ……漏れる……」
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この後、魔女さんから黒猫のコスプレ衣装をもらったのです。貴音はそれを着て魔女さんと写真を撮って遊んだのです。
それから魔女さんとお風呂に入ったのです。貴音もニャンコのひげを書いたのでメイク汚れを落としたのです。
「おねえちゃん! 早く魔女さんのメイクを落とすのです」
「貴音ちゃん……お姉ちゃんすっぴんなんだけど」
貴音なのです。このお話の投稿……ハロウィンに間に合わなかったのです。




