私は妹たちのパジャマパーティーの中心になった(いづみside)
――がっくし。
私は妹たちのパジャマパーティーに誘われた。だがそれは私の想像していたような女子中学生がキュンキュンするようなヤツではなく、パジャマ姿の妹たちがテスト勉強していただけであった。
私は彼女たちの勉強を見てやると、パジャマパーテ……もとい、勉強会の終了と同時に妹の部屋から追い出されてしまった。
何だよぉ! 明日は日曜だし、夜中まで女子中学生に囲まれて私もキュンキュンしたかったのによぉおおおおっ!!
あーあ、現実は厳しいな。せっかく着たくもない着ぐるみパジャマ着て頑張ったのに! やっぱあの子たちから見たら私はオバサン……部外者か。
しょうがない、私は自分の部屋に戻りひとりでベッドに入った。妹の部屋からは時々笑い声が聞こえる……いいなぁ、話に加わりたかった。
それにしても……みんなで中間テストの勉強会とは! 妹もちゃんと勉強してんだな。私もちゃんと勉強を……
――あっ!?
そういや課題のレポート……月曜締切りだったぁああああああああっ!!
寝てる場合じゃねぇよ! 全然手をつけてねぇじゃん……今夜中に半分ぐらいは書いておかないとマジでヤバい! 私はベッドから飛び起きると机に向かった。
うわぁ……妹たちのパジャマパーティーに現を抜かしてる場合じゃなかった!
※※※※※※※
私が大学に提出するレポートを大慌てで書いてると、
〝コンコンッ〟
「師匠! まだ起きてるっすか?」
「……起きてるよ」
「あの……入ってもいいっすか」
「えっ? あぁ、いいよ」
〝ガチャッ〟
私の部屋にネコ……の着ぐるみを着た樹李ちゃんが枕を持って入ってきた。どうしたんだろう、こんな真夜中に。
「どうしたの?」
「あっちょっと……師匠、悪いっすけどこっちの部屋で寝てもいいっすか!?」
「えっ!?」
樹李ちゃんはそう言うや否や、私のベッドに潜り込んだ。
――もちろんいいっすよぉおおおおおおおおっ♥
女子中学生が枕を持って私のベッドに潜り込むなんて、鴨が葱背負って鍋にダイブするようなものだ! 美味しくいただきまーす♥
――って、いやいやちょっと待て!
よく考えたら樹李ちゃんがひとりだけこっち来るって穏やかじゃないぞ。せっかく四人が友だちになったのに早速ケンカでもしたのか!? 私は心配になって樹李ちゃんに訊ねてみた。
「ねぇ樹李ちゃん、何かあったの?」
するとベッドに入った樹李ちゃんはむくっと上体を起こし、
「あの……たい焼きと同じようなお菓子で円い形のヤツあるっすよね」
「う、うん……?」
「アレの名前が『今川焼き』なのか『大判焼き』なのかで今、揉めてるっす」
――何だその低レベルな議論は!?
「貴音っちは今川焼き、双子は大判焼きでどっちも譲らないっす! でも樹李タソは絶対『志゛まん焼き』っす! 話が終わらないし眠くなってきたんで樹李タソはこっちで寝るっす」
そういや家の近くの喫茶店に「じまん焼き」って売ってたな……。しかし思わぬキッカケで飛び込んで来た鴨葱! 早く食べたーい♥ ちなみに私は小学校のときにここへ引っ越してくる前「回転焼き」と呼んでいた記憶があるなぁ。
※※※※※※※
はぁ、やっとレポートを半分ほど書き終わった! よっしゃ鴨鍋食うぞぉ♥
ベッドに目をやると樹李ちゃんがスヤスヤ寝ている。妹が私を起こそうとしてそのまま添い寝することは時々あるが、こうして他の子が寝ている姿は新鮮だ。
とはいえ相手は中学生、最後までヤるのはアウトだ! でもまぁ向こうから飛び込んで来たワケだし、気付かれないようにキスしておっぱい揉むくらいなら……私がベッドに入ろうとしたそのとき、
〝コンコンッ……ガチャッ〟
――はぃすみませぇええええんっ! 私が悪かったです!!
部屋のドアを開ける音が……えっ誰? よく見るとハムスターの着ぐるみ……空ちゃんか、何の用だ? 樹李ちゃんを連れ戻しに来たのか? すると空ちゃんは
「……おしっこ」
と言っていきなり着ぐるみパジャマのファスナーを下ろし始めた。
「おっおい、ここトイレじゃねぇよ! トイレはこっち」
私は寝ぼけた空ちゃんをトイレに案内した……あー焦ったぁ! しかし安心するも束の間、部屋に戻るともうひとりの影が……
「空~、私が悪かったよ~! もうカスタードが邪道とか言わないから~」
リス……もとい天ちゃんが半べその状態で、ベッドに向かって話しかけていた。いやそれ樹李ちゃんだし、話の内容は絶対に今川焼きの流れだろ!? だが半分寝ぼけている天ちゃんは私の顔を見るなり、
「お姉さ~ん! お姉さんからも空を説得してくださ~い」
と言って私に抱きつくとそのままベッドに倒れ込んだ。
――えぇええええっ!?
私は樹李ちゃんと天ちゃんに挟まれ、川の字状態でベッドに横たわった。うっ何か……女子中学生のほんわかとした匂いが気持ちいい♥ と、そこへ……
「あっ天、こんなところに……白あんもアリだよ」
空ちゃんが戻って来た。何なんだこの今川焼きの中身論争は!?
「だから……一緒に寝よ」
いやここは私のベッド! アンタたちは隣の部屋! 気がつくと私は三人の女子中学生と同じベッドに……完全にハーレム状態になった! チクショー、最高じゃねぇかぁああああっ!?
……とも言っていられない。
私は背が高いのでセミダブルベッドで寝ている……たとえ妹が添い寝しても問題ない。だがいくら何でも四人はさすがに狭い! これじゃ寝返りも打てない。
と、そこへ……
「みんな! 何しているのです!?」
妹が入ってきた! ハーレムはうれしいがこの状況では苦しい! 妹にみんなを連れて行ってもらおう。
「おねえちゃんの左隣は貴音のポジションなのです♥」
――初耳だぞ、そんな謎ルール!!
妹は天ちゃん空ちゃんの上をよじ登ると、私と樹李ちゃんの間へ強引に入り込んだ。うをぉおおい! マジで狭くて苦しくて……最高なんですけど♥
結局……そのまま寝てしまった。そして翌朝、
――うげっ!
誰か私のおっぱいを触っている……
「むにゃむにゃ、もみもみ……」
左隣で寝ている妹だ。寝ぼけていても擬音を口に出すのかこの子は!
――うわっ!
右を向くと美少女のアップが! 双子だ……天ちゃん? 空ちゃん? わからないが……くっそぉ、もうちょっと顔が近けりゃキスできるのに身動き取れない!
――うをっ!
私の枕元で誰か寝ているな……どういう寝相だ!? 誰だよ……私の頭に柔らかい感触……樹李ちゃんだ♥
――うほっ!
だが、樹李ちゃんの寝相で驚いてはいけない。極めつけは、私の真上!
誰かのおまたが覆いかぶさっている……私と上下が逆! まるでシックスナ……いや何でもない。
こっこれは……消去法だと双子のどちらかだな!? 身動きは取れないから脱がすのはムリでも、せめておまたの匂いだけでも♥ 私は顔だけ持ち上げて匂いを嗅ごうとした……そのとき、
〝ばふっ〟
「ぶっ!」
大きな縞模様の尻尾が私の顔面を直撃……天ちゃんだったか。
結局、この状態でお昼頃まで寝てしまい……私はレポートを徹夜で作成した。
貴音なのです。たっ、貴音たちも起きたときビックリしたのです!




