貴音はおねえちゃんの活躍に感動するのです!(貴音side)
「おねえちゃん……がんばるのです!」
ママさんの代理で、おねえちゃんが保護者競技の「障害物リレー」にアンカーで出場したのです。しかも先生チームのアンカーは長沢真秀良先生なのです。
貴音……いえ全校生徒は長沢先生のことがキライなのです。なのでみんなおねえちゃんに期待しているのです!
おねえちゃんが最下位でタスキをもらいスタートしたのです! おねえちゃんは勢いよくダッシュすると、最初の障害物「平均台」でありえないパフォーマンスを見せたのです!!
「おおっ!!」
何とおねえちゃんは平均台の上を全速力で走り、ほとんどの人が失敗したボールキャッチを一回で成功させるとすぐに返したのです。これには会場から大きな歓声が上がったのです。
「うわぁ、あのお兄さんカッコイイ!」
隣のクラスの応援席で女の子たちが騒ぎ出したのです……でもお兄さんじゃなくておねえちゃんなのです。
「尾白ーっ、オメーのねーちゃんスゲーな!」
クラスの男の子も驚き桃の木さ(以下略)だったのです。
次の障害物は「ネットくぐり」なのです。おねえちゃんはこの障害物も難なくクリアした……のですが、
「あれ? お姉さんの様子ヘンじゃない!?」
クラスの誰かがおねえちゃんの「異変」に気づいたのです。貴音もすぐにおねえちゃんの変化に気がついたのです。
――おねえちゃん……ブラが外れているのですぅううううっ!!
おそらく今日のおねえちゃんは、小さく見せるブラをしてきたのです。そしてなぜだかわからないけど、おねえちゃんはネットをくぐったときブラが外れてしまったみたいなのです!
――ふわぁああああっ! ネットは怖いのです♥
「ね、ねぇ貴音ちゃん! お姉さん、もしかして……♥」
「さすが師匠!! パネェっす♥」
同じクラスの天ちゃんや樹李も気がつき三人で大喜びしたのです。なぜならおねえちゃんは「王子様」から「おっぱいさん」に変身したからなのです。
……でも、おっぱいさんの実力はこれから発揮するのです!
〝ぼよよんっ! ぼよよんっ!〟
――ほわぁああああああああっ♥
次の障害物「みのむし」では、おねえちゃんがぴょんぴょん跳ねるたびにおっぱいが〝ぼよよんっ!〟とワンテンポ遅れて上下運動したのです!
おねえちゃんは自分のおっぱいを「障害物」だと思っているのです。でも貴音たちにとって、この競技の中で一番楽しめる「障害物」なのです♥
クラスのみんな……特に男の子たちはおねえちゃんを見て黙りこくってしまったのです。「尾白のねーちゃん、ないわー!」と言ってた男の子も、おねえちゃんをじっと見つめたまま黙ってしまったのです。
次の障害物に移る手前で、おねえちゃんは長沢先生に追いついたのです! 貴音はこれがレースだということをすっかり忘れていたのです! おねえちゃん……このまま一気に長沢先生を追い抜くのです!
ところが……
〝カランッ〟
次の障害物は「フラフープ」なのです。おねえちゃんは何とフラフープに苦戦してしまったのです!!
おねえちゃんは何度やってもクリアするために必要な「五回以上回す」ことができないのです。これは予想外だったのです! しかも……
『あっ! 二位の先生チーム、長沢先生がフラフープを成功させました!』
何と長沢先生はフラフープを一回でクリアしたのです! さすが昭和のフラフープブームを経験した人は違うのです(※誤った情報です)。おねえちゃん、昭和時代の生き残りに負けてはいけないのです!!
長沢先生が先にクリアしてしまったので全校生徒が「あぁ~!」とため息をついたのです。でもすぐに会場がザワザワとし始めたのです。
〝ぶるんっ! ぶるんっ!〟
――ひょぇええええええええっ♥
おねえちゃんがフラフープを回すたびにおっぱいが〝ぶるんぶるん〟とワンテンポ遅れて左右に揺れていたのです! おっおねえちゃん! もっともっと回してほしいのです……でも早くクリアしてほしいのです。
「にー、さーん、しー、ごっ!」
いつの間にか全校生徒……の女子生徒だけがおねえちゃんを応援して一緒にフラフープのカウントをしていたのです。でも男子生徒はなぜか全員無言なのです。
おねえちゃんはやっとフラフープを成功させると猛ダッシュしたのです! よく見るとTシャツの袖口から紐のようなものが飛び出しているのです。
フラフープでおねえちゃんは再び遅れてしまったのです。このままでは長沢先生に追いつかないのです! でもここで思わぬ事態が起こったのです。
「痛い痛い痛いっ……ひぃいいいいっ!」
次の障害物「足つぼマット」で、長沢先生が足を手で押さえながら苦しんでいたのです。えっ、こんな砂利道のようなマットを歩いただけで芸人ばりのリアクションをするのですか!?
倒れ込んでいる長沢先生の隣で、おねえちゃんは足つぼマットをスイスイと渡りきったのです。
「きゃー♥」
長沢先生を追い抜いた瞬間、クラスの女の子たちから歓声があがったのです。
「尾白さんのお姉さんカッコイイ! イケメン女子だわぁ♥」
「でもおっぱいも大きい! 何かうらやましいわぁ♥」
「ってことは……」
「おっぱいのついたイケメンだわぁ♥」
そうなのです! 貴音のおねえちゃんはチートキャラなのです!
最後の障害物は「パン食い競争」なのです! ここでおねえちゃんが長身を活かして一気にジャンプすると……
〝チラッ!〟
――のわぁああああああああっ♥
これはマズいのです! おねえちゃんがパンをくわえたとき、Tシャツの裾がめくれておっぱいの下の部分がチラッと見えたのです♥
※※※※※※※
おねえちゃんは一着でゴールしてチームは勝利したのです。
でも……この後異変が起きたのです。
『次は、男子生徒による棒倒しです。選手の皆さんは集合してください』
場内アナウンスが流れたのに誰も集合しようとしないのです。よく見ると男の子は全員、イスに座ったままお腹の下の方に手を当ててうずくまっているのです!
えっ、もしかしてお腹が痛い……集団食中毒なのですか!?
あれ? でもおかしいのです! お昼はみんなバラバラ……給食ではないのだから集団食中毒になるワケがないのです。
「み、みんなどうしたのです!? 門野くん、大丈夫なのですか?」
貴音は心配になって近くにいた男の子に近づこうとすると
「くっ、来るな尾白ーっ!!」
怒鳴られてしまったのです! なっ、なぜなのですかぁああああっ!?
しばらくすると、再び場内アナウンスが流れたのです。
『お知らせします! 次の競技の棒倒しですが……選手が全員棄権したため中止となりました』
――なっ、何でそうなるのですかぁああああああああっ!?
※※※※※※※
体育祭が終わってしばらくたったある日のことなのです。貴音はこの不思議な出来事を和おねえちゃんに話したのです。和おねえちゃんは、
「あら~それはきっと『棒倒し』じゃなくて『棒起こし』しちゃったのね~♥」
と言ったのです。
……棒起こし? 意味がわからないのです。
貴音なのです。和おねえちゃんの話だと、「棒」は「ぼう」ではなく「ぼっ」と読むそうなのです。




