表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
171/316

貴音はおねえちゃんの活躍に期待するのです!(貴音side)




『ここで休憩に入ります。生徒の皆さんは……』




「こそこそ……」

「本気で隠れたいヤツは自分でこそこそとは言わん」


 今日は中学校の体育祭なのです! 家族のみんなに合わせる顔がなく、こそこそとネズミさんのように隠れていた貴音(たかね)はネコおねえちゃんに見つかってしまったのです……ちゅ~っ!



 ※※※※※※※



「うぅっ、面目ないのですぅ!」


 貴音は「ウンチ」なのです!


 ……略し過ぎたのです。貴音は「()動音()」なのです。


 午前の部が終わったのです。クラス対抗戦なので、代表選手に選ばれない貴音はほとんど出番がなかったのです。

 しかも全員強制出場という残酷競技・全員リレーでは思いっきりみんなの足を引張ってしまったのですぅううううっ!

 クラスのみんなは貴音の実力を知っているので、貴音が遅れることを想定して順番を決めていたのです。でも貴音がいなかったら……もしかしたら一着になっていたかもしれないのです! なので貴音は責任を感じているのです。


 貴音は責任感から食欲が失せてしまい、せっかくママさんが作ってくれたお弁当に手が付けられないでいたのです。仕方ないのでママさんが作ってくれた()()()()()()()だけを食べていると、


「貴音ちゃんドンマイ! 午後はママが貴音ちゃんの汚名返上してやっから」


 ママさんが貴音を励ましてくれたのです! ママさんはいい人なのです……でも今、貴音のしたことを「汚名」と言ってなかったのですか!?

 ところで……ママさんはいったい何をするつもりのです? 間違っても暴力行為やモンペ(モンスターペアレント)行為だけは止めてほしいのです!


「えっ……母さん、何するつもりなんだよ!?」


 おねえちゃんも疑問に思って聞いたのです。するとママさんは、


「おいおい、私の格好見てわからんのかぃ!」


 あれっ、そういえば……ママさんはジャージ姿なのです。


「プログラム見てみな! 午後イチに保護者競技あんだろ!? 私は一年生(保護者)チームのアンカーなんだよ! 私がこれで一等賞とって貴音ちゃんの()()()()してやるから期待してな!」


 どうやらママさんは保護者競技の「障害物リレー」に出場するそうなのです。そういえばママさんはPTAの役員さんなのです……ママさん、カッコイイのです!

 それとやっぱりママさんは、貴音の全員リレーの結果を「汚名」だと思っていたのです! それはひどいのですぅううううっ!


「よっしゃ! ご飯も食べ終わったしそろそろウォーミングアップするか!」


 ママさんは気合十分でウォーミングアップをしに行ったのです。ところがしばらくすると……


 〝グキッ!〟


 ママさんがウォーミングアップしている方向からヘンな音がしたのです。おねえちゃんが心配してママさんの所へ向かったので、貴音もついて行ったのです。


「アイタタタ……こっ腰が、腰が……」


 何とママさんがうずくまっていたのです。だだっ、大丈夫なのですかっ!?


「こりゃマズいな、貴音ちゃん! 救護所はどこ!?」

「本部テントの横なのです! 貴音が案内するのです!」


 おねえちゃんはママさんを担ぐと、貴音の案内で本部テントに向かったのです。



 ※※※※※※※



 ママさんはおねえちゃんに抱えられながら、本部テントの隣にある救護テントに入ったのです。

 貴音も心配なので付き添ってあげようとしたら「午後の部が始まるから応援席に戻りなさい」とおねえちゃんに言われたので先に戻ってきたのです……でもママさんが心配なのです。


 ――あっ、そういえば!


 ママさんは保護者競技に参加するハズだったのです……これは大変なことになってしまったのです! このままじゃ一年生保護者チームは不戦敗なのです!


『次は、先生と保護者の代表による障害物リレーです! 選手の皆さんは集合してください』


 ――うわぁ、始まってしまったのです! どどっどうするのですか!?


 すると前の席にいるクラスの女の子たちからヒソヒソ話が聞こえてきたのです。


「ねぇ、あの人は誰のお父さんかしら? 何か若くてカッコイイんだけど♥」

「ホントだ若ーい! お兄さんじゃないの!? うわぁタイプだわ♥」


 えっ!? よく見ると出場者の中に見慣れた顔があったのです。



 ――おっ……おねえちゃんなのですぅううううっ!



 何でおねえちゃんが他の保護者の人たちに交じって障害物リレーに参加しているのですかぁああああっ!?

 貴音はおねえちゃんの妹であって娘ではないのです! えっそれとも貴音はおねえちゃんの「隠し子」だったのですか!? でもたぶんママさんの代役……という線が濃厚なのです!


 おねえちゃんを見つけた貴音が驚き桃の木山椒の木を栽培していると、同じクラスの菱山(ひしやま)(てん)ちゃんや野牛島(やごしま)樹李(じゅり)もおねえちゃんに気がついたのです。


「貴音ちゃん! あれ、お姉さんじゃない!?」

「あれっ、ホントっす! 師匠が出てるっす!」


「えっ!? ねぇ菱山ー! 知り合いなのー?」

「うん、貴音ちゃんのお姉さんだよ!」

「えぇーっ、尾白(おじろ)さんのお姉さん!? イケメンじゃん! 今度紹介して♥」

「ダメっすよ! 樹李タソが先に弟子入りしてるっすよ!」


 おねえちゃんはクラスの女の子たちに高評価なのです……そうなのです! だっておねえちゃんは「王子様」なのです。とってもカッコイイのです!

 でもクラスの女の子に紹介してと言われようが、樹李が一方的に弟子入りを主張しようがおねえちゃんは貴音のモノなのです♥


 その一方で……


「うわっ……尾白のねーちゃん、何か男みてーだなぁ!? ないわー!」


 クラスの男の子から「王子様(おねえちゃん)」は低評価だったのです。


 ふん、何とでも言うがいいのです! どうせおねえちゃんも男が大キライなのです! だからオマエたちなんか初めから相手にされないのです!


「よーい」〝パーンッ!〟


 障害物リレーが始まったのです! 貴音たち一年生の保護者チームはいきなり出遅れてしまったのです。


「○○さんのお母さーん、がんばってー!」


 隣のクラスから声援が飛んでいたのです。この競技はクラス対抗ではないので一年生みんなで応援しているのです。できれば優勝してほしいのです。

 でも、願い空しく一年生保護者チームは最下位に転落してしまったのです。しかも先生チームのアンカーは……



 ――げっ!?



 何と「長沢(ながさわ) 真秀良(まほら)」先生だったのです! この先生……今は二年生を教えているのですが、最初一年生の担当だったとき貴音はこの先生にいきなり目をつけられひどいことを言われたのです。

 長沢先生は二位でタスキを受け取ると、余裕の表情で生徒席に向かって手を振ったのです。


「ぶー!」


 すると生徒全員からブーイングが起こったのです。そうなのです! この先生は貴音だけではなく、全校生徒からも嫌われているのです!


 おねえちゃんは最下位で太ったオバサンからタスキを受け取ったのです! おねえちゃん! おねえちゃんは貴音の……いえ、全校生徒のために長沢先生をコテンパン(焼きたて税込百九十円)にやっつけてほしいのです!


「おねえちゃん……がんばるのです!」

貴音なのです。次回はおねえちゃんが……ぶるんぶるん♪ なのです♥

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ