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【番外編】《小休止なのです》2

尾白姉妹によるカップ焼きそばの話に続き……今度は菱山姉妹バージョンです。

「いい、空! 今日はパパもママもお出かけしていないから、晩ご飯はお姉ちゃんが空にカップ麺作ってあげるからね」

「双子だから天はお姉ちゃんポジション主張しなくていい……あと、カップ麺くらい自分で作る」

「ダメよ! カップ麺などという庶民の食べ物を大事な妹に作らせるなど(もっ)ての(ほか)だわ! 年下の妹に熱湯扱わせて火傷したら大変だし」

「ウチはサラリーマンの家庭だから立派な庶民……それと、私たち双子だよ」



 ※※※※※※※



「もぅっ何で外側にビニールがピッタリ貼ってあるのよ! 剥がしにくいわね」

「底の部分を指で押さえれば簡単に開くけど……」

「ええっと、お湯を沸かしたら熱湯を320ミリリットル……えっ!? 320ccじゃないの!?」

「一緒だけど……もう一度小学校に入り直す?」

「そもそもお湯の()()()って何よ! 書くんだったらハッキリ書きなさい!」

「日本一理不尽なクレーム……」

「計量カップで量らないとダメじゃん……何てめんどくさい設定なの!?」

「カップの内側にある線でいいんだけど……」

「290……300……310……うわぁっ、オーバーしちゃったぁ!」

「一番めんどくさいのは天だと思う」

「やり直し! ちょこっと捨ててもう一回!」

「えっ、そんなことしたらお湯が冷めちゃう……」

「あぁっまた入れすぎちゃったぁ! もう一回!」

「……面白そうだからしばらく見てみよう」


「ふぅっ、やっとピッタリの量になったわ! じゃあ入れるよ」

「フタを開けずに?」

「そうだ! まだフタ開けてないじゃん! えーフタを半分まではがし……って半分どこよ!? タブはフタの長さに含めるのかな!? ちょっと空! 私の部屋から定規持ってきて!」

()()()()なら目の前にいるけど……」

「えっ何か言った?」

「言ってない……とりあえず裁縫用のメジャーならあるよ」

「あぁこれでいいわ! ええっと、円周が29.8センチだから直径は……」

「円周から計算しようとしているこの人……」

「わかった! 9.5センチね!? つまりフタの半分、半径は……」

「フタに線引いちゃった……ってか定規持ってるじゃん」

「じゃあ半分まで開けるよ! 失敗は許されないからね」

「失敗したら2個以上食べることになりそう……」


「よし上手くいった! 次に熱湯をゆっくり注ぐって……えっ、ゆっくりってどのくらいのスピードなの!?」

「跳ねたお湯で火傷しない程度……」

「そっか、コーヒーみたいにゆっくり入れないと美味しくならないのね!?」

「人の話を聞いてない……」

「そういや前に貴音ちゃんが変わったヤカンを使ってコーヒー淹れてたよね!?」

「ドリップポット」

「そう、それ! 確かウチにもあったはず……探してくる」

「もう勝手にして……」

「あったよー! これに計量カップの熱湯を注いで……」

「たぶんもうぬるま湯……」

「ゆっくり……ゆっくり……確か貴音ちゃん、回すように少しずつお湯を入れるって言ってたよね!?」

「それコーヒーの話……貴音ちゃんまで()()()()に巻き込んだ」


「じゃあフタをするよ……と、その前にアプリ起動させないと」

「ストップウォッチはお湯入れる前に準備した方がいい」

「3……2……1……よし! フタをしてすぐにスタート!」

「カウントダウンは時間に入らないのかな」

「あぁっ! フタが開いちゃったぁ!! やり直しだぁ!」

「……えっ?」

「ストップウォッチをリセットしてと……」

「やっぱりこの人……庶民と感覚ズレてる」

「あぁっ! またフタが開いた……もうっ、何で開いちゃうの!?」

「天、そういうときは重い本とかを上に乗せるといいよ」

「本かぁ……でも湯気で表紙がふにゃふにゃにならない!?」

「なるかも……」

「じゃあダメじゃん! ええっと、何か重くて平らな物……あっそうだ! 冷蔵庫に板氷があったよね!? あれ乗せればいいじゃん!」

「……もはや正気の沙汰ではない」

「よし、氷を乗せて……スタート!」

「もう2分くらい経過している気が……」


(3分測定中)


「そういえばさぁ天」

「何? 空」

「シーフードカップ麺って……牛乳加えるとクラムチャウダーみたいになって美味しいらしいよ」

「そうなの!? じゃあ冷蔵庫に牛乳あるから試してみようっと」

「……冷製スープになりそう」



 ※※※※※※※



「3……2……1……やったぁ! 出来上がりー!」

「カップ麺作ってここまで感動するとは……」


「それじゃフタを開けて……あれ!?」

「どうしたの? 天」

「何か……麺が熱湯入れたときと変わらない気が……硬そう」

「熱湯じゃなくてぬるま湯だから……」


「ふぇーん! 空、ごめーん! せっかく空のために作ってやったのに」

「いいよ……それは(責任もって)天が食べて」


「うわぁ……硬いよぉ! 不味いよぉ!」

「じゃあ牛乳入れてみる?」


「……硬い()()が入った冷製スープだぁ~!」

「予想通り……」

「ところでさぁ……さっきから空は何食べてるの?」


「私は……さっき自分で作っておいたカレーカップ麺食べてる」

「ええっ何でよぉおおおおっ!? 私にも作ってぇええええええええっ!」

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