夏休みが終わる前に貴音は花火が見たいのです(貴音side)中編
たっ、貴音たちは……ナンパされてしまったのですぅううううっ!
貴音と貴音のお友だちの天ちゃん空ちゃん、友だちじゃない樹李の四人は隣町の花火大会が行われる河川敷の会場に来たのです。
おねえちゃんと和おねえちゃんの二人と待ち合わせしていたのですが、まだ来ていなかったのです。そこへ知らない中学校の三年生を名乗る男の子たちが声をかけてきたのです。
「中学生だよねー!? 何年生?」
貴音と天ちゃん空ちゃんは背が低いのでたまに小学生と間違えられるのですが、樹李が一五五センチくらいあるので中学生と思われたようなのです。でも……
「高校三年……」
空ちゃんが息をするようにウソをついたのです。
「ウソだよねー! こんな小っちゃい高三いねーよ」
もちろんすぐに見破られるのです。でも貴音は先日「こんな小っちゃい高三」に出会ったことがあるのです!
空ちゃんの見え透いたウソで、男の子たちの態度が少し変わってきたのです。すると今度はリーダー格みたいな男の子が
「なぁ、オマエは遊んでそーだよな!? 一緒に行こーぜ」
樹李の腕をつかんで引っ張ろうとしたのです。
「えぇっ!? じゅっ樹李タソはそそそんなんじゃないっす!」
樹李は全力でイヤがったのです。そうなのです! この樹李という女は見た目が派手なギャル風なのですが、実際は異性に対してオクテなのです。そこへ、
「ちょっと! イヤがってんじゃないの! 手を放しなさいよ!!」
直情型の天ちゃんが、樹李をかばうように間に入ったのです! ひょえぇええええっ! 火に油、メントヌにコーラを注いでしまったのです!
「はぁ!? 何だよオメーは! ブッ飛ばされてーのかよ!?」
男の子たちは天ちゃんの一言にキレてしまったのです! 相手は三年生……貴音たちは体格的に不利なのです。
――そのときなのです!
「おーいガキども! 何してんだよ」
おねえちゃんと和おねえちゃんが現れたのです。
「はぁ!?」
「はぁじゃねーよ……おいオマエら、ウチの妹たちに手ぇ出したらボコボコにして川底に沈めてやっからな!」
「ひぃっ!」
おねえちゃん……それは反社のセリフなのです。
「あら~美味しそうな坊やたち、どうせなら~大人のお姉さんと遊ばな~い!? 朝までに~みんなの精●をぜ~んぶ吸い取ってア・ゲ・ル♥」
「うっ、うわぁ逃げろ! ヤ●ザと痴女だぁああああっ!」
ナンパ中学生たちは顔が真っ青になり慌てて逃げていったのです。なぜならおねえちゃんはマジで殺りそうな雰囲気だったのです。
そして和おねえちゃんもマジで何かヤりそうな雰囲気だったのです。でも和おねえちゃんが後半何を言ってるのか貴音はわからなかったのです。
※※※※※※※
「よぉみんな! お待たせ」
「ごめんね~遅くなって! しかも貴音ちゃんたちに怖い思いさせちゃって~」
貴音はおねえちゃんたちと合流したのです。ついでにナンパ中学生も追い払ってくれて……助かったのです!
「そっ、それよりもおねえちゃん! その格好は何なのです?」
貴音はナンパされた恐怖よりも、おねえちゃんたちの格好に驚いたのです。
「えっ、浴衣着てこいって言われたから着て来たんだけど……」
確かに貴音はおねえちゃんに浴衣を着てほしいとお願いしたのです。でもおねえちゃんが着て来たのは……
「それは男の人が着る浴衣なのです! なんでそんなの着て来たのですか!?」
もちろん貴音はおねえちゃんに女性用の浴衣を着てほしかったのです! 帯の上からおねえちゃんのおっぱいが〝ボヨンッ〟と飛び出す姿を見たかったのです♥
「浴衣って胸大きいと似合わねーんだよ! だからサラシ巻いてきた」
そういえば……おねえちゃんのおっぱいが行方不明になっているのです。でもそれと男物の浴衣は関係ないのです。
「胸が大きいまま浴衣着るとどうなるか……ここに失敗例があるからわかるだろ」
「ちょっとぉ~! 誰が失敗例よ失礼ね~」
確かに……和おねえちゃんはあの巨大おっぱいのまま浴衣を着ているのです。なので帯の上にスイカが二つ飛び出して何かヘンなのです。
「和おねえちゃん……ちょっと太ったのです?」
「太ってないわよ~! 失礼よ~貴音ちゃ~ん!」
※※※※※※※
そんな貴音と二人のおねえちゃんを、天ちゃんたちは遠巻きに見ていたのです。すると樹李がやってきて和おねえちゃんに話しかけたのです。
「あの……もしかして市民プールで会わなかったっすか!?」
――うわぁっ! 気がついてしまったのですぅううううっ!
「あっ! そういえば……あのマイクロビキニを着てた人だ!」
「着てた人だ!」
天ちゃん空ちゃんの脳内でも「紐付け」されてしまったのですぅううううっ!
マズいのです! おねえちゃんのお友だちが「露出狂痴女」だと知られたら貴音も同じ「部類」だと思われてしまうのです! そこへ……
「お待たせ―! 全員分の焼きそば買ってきたわよー」
――志麻おねえちゃんなのです!!
和おねえちゃんの従妹で高校生の志麻おねえちゃんも来ていたのです! よかったのです……ようやくまともな知り合いが現れたのです!
「えっ、えーっと……この方たちは?」
「紹介するのです! こちらが貴音のおねえちゃんのお友だち、平井和さんなのです! そしてこちらが和さんの従妹の上条志麻さんなのです」
「和で~す! まぁ~カワイイ子たちね~よろしく♥」
「初めまして上条です! あっこの前はごめんね! 一緒にプール行く予定だったんだけど風邪ひいちゃって……今日はよろしくね」
志麻おねえちゃんはマジメなのです、そして清楚なのです!
おねえちゃんと和おねえちゃんに挟まれた志麻おねえちゃんは、例えるならニンニクたっぷり餃子とコテコテ豚骨ラーメンのセットに添えられたデザートの杏仁豆腐みたいに爽やかなのです♥
ところが……
「あっあの……」
天ちゃんが和おねえちゃんに話しかけたのです。
「おいくつ……なんですか?」
「十九歳よ~」
「いえ、そうじゃなくて…………バス……トサイ……ズ」
「あら~もぉ! 一〇八センチ……Iカップよ♥」
「えぇええええっ!?」
天&空&樹李の三人に衝撃が走ったのです!
「ウソでしょ信じられない! すごすぎてため息しか出ないわ」
「出ないわ」
「こっこれは……樹李タソには到達できない神の領域っす!」
……三人は豚骨ラーメンに興味があったのです。
※※※※※※※
前回の市民プールで揃わなかった七人が今回初めて出会ったのです。でもこの混雑の中、初対面のメンバーが一緒に行動したら誰かはぐれそうで心配なのです。
「じゃあ~、今のうちに欲しい物があったら買ってね~! みんな買い終わったら移動するわよ~」
――えっ移動!? 意味がわからない貴音はおねえちゃんに聞いたのです。
「おねえちゃん、どういうことなのです?」
「あぁ、花火見るのは和のマンションだよ」
――えっ、和おねえちゃんのマンションなのですか!?
貴音たちは屋台で好きなモノを色々買うと、おねえちゃんの運転する車に乗り込んだのです。
貴音なのです! 貴音は「りんご飴」を買ったのです♥




