【番外編】年の差百合姉妹の「赤ずきん」なのです。
(配役)
赤ずきんちゃん=尾白貴音
オオカミ=武川いづみ
おばあちゃん=平井和
猟師=尾白茅乃
朗読=尾白貴音……なのです。
昔むかしのお話なのです。
あるところに『赤ずきんの貴音ちゃん』という女子中学生がいたのです。赤ずきんの貴音ちゃんは、小学校で使っていた「赤い防災頭巾」を常日頃から被っているちょっと変わった子なのです。
ある日のこと……貴音赤ずきんちゃんはお母さんから、森の向こうにあるおばあちゃんの家へ焼きたてのパンを届けに行くよう頼まれたのです。
おばあちゃんは病気で寝込んでいたのです。貴音赤ずきんちゃんは「病気だったらパンよりお粥の方がいいのです」と勝手に決めつけたのです。
※※※※※※※
貴音赤ずきんちゃんが森の中を歩いていると、何者かが声をかけてきたのです。
「もし、そこの防災訓練をしているお嬢さん」
「これは貴音の普段着なのです」
「……だとしたら頭がおかしい」
声をかけてきたのは『いづみオオカミ』さんなのです。
「キャッチセールスはお断りなのです」
「森でやっても効率悪いよな……お嬢さんはどこかへお出かけかい?」
「貴音は今からおばあちゃんの家へお見舞いに行くのです。おばあちゃんは病気なのでお粥を届けに行くのです」
貴音赤ずきんちゃんが抱えているのは誰がどう見てもパンなのです。いづみオオカミさんは一抹の不安を感じながらも貴音赤ずきんちゃんに尋ねたのです。
「おばあちゃんのお家はどこなんだい?」
「住所は森の向こう一丁目三番地……」
貴音赤ずきんちゃんには個人情報の概念がなかったのです。
「そうかい、じゃあおばあちゃんが喜ぶよう、その辺でお花を摘んであげなさい」
「……オオカミさんはヘンタイさんなのです!」
ところが貴音赤ずきんちゃんは突然、態度を硬化させたのです。
「えぇっ、何で?」
「お花を摘むというのはお外でオシッコやうんちょすをすることなのです。オオカミさんは貴音に野外排泄を強要するヘンタイさんなのです!」
「個人情報理解してないヤツが何でそんな隠語知ってんだよ!?」
結局、貴音赤ずきんちゃんはオオカミさんに言われた通りお花を摘み始めたのです……どちらの意味で捉えたかで読者の「心の汚れ具合」がわかるのです。
いづみオオカミさんはそのすきに、おばあちゃんの家へ先回りしたのです。
※※※※※※※
道草を食った貴音赤ずきんちゃんは、遅れておばあちゃんの家にやって来たのです。でも実際は埼●県民ではないので「そこらへんの草」は食べてないのです。
「こんこん……おばあちゃん、入るのです」
貴音赤ずきんちゃんがおばあちゃんのお部屋に入ると、先回りしておばあちゃんになりすましたしたいづみオオカミさんがベッドで寝ていたのです。
「おばあちゃん、お粥を持ってきたのです」
いづみオオカミさんは「だからそれはパンだろ!?」とツッコみたかったのですが、正体がバレそうなのでガマンしたのです。
貴音赤ずきんちゃんはおばあちゃんに違和感を覚えたのですが、そのままスルーしてお粥(パン)と摘んできたお花をテーブルに置いたのです。そして帰ろうとしたとき、いづみオオカミさんが
「こらこら無視するな! 何か聞きたいことあるだろ!?」
貴音赤ずきんちゃんは仕方なく、おばあちゃんの格好をしたいづみオオカミさんに聞いたのです。
「どうしておばあちゃんは、そんなにおっぱいが大きいのですか?」
――え?
予想外の質問にいづみオオカミさんはフリーズしてしまったのです。
「いや、そこじゃないだろ疑問点は! もっとこぅ~何て言うか……どうしてお耳が大きいの~とか目がギョロッとしているの~とかじゃないのか!? ま、まぁわかった一応答えておくよ! その、あれだな……小さいころから何でも食べて栄養を摂っていた……かな? 他に質問ないか?」
「どうしておばあちゃんは、そんなにおっぱいが大きいのですか?」
「今、言ったよな……えっ、他の理由か? うーん、まぁ他には遺伝……くらいしか考えつかないなぁ……つーか他にツッコむとこあんだろ!?」
「どうしておばあちゃんは、そんなにおっぱいが大きいの……」
「オマエはバカか!? それとも壊れたレコードプレーヤーか!? オマエがその質問を繰り返す限り永遠にこの話は終わらないんだよ!」
「どうしておねえちゃんは、そんなにおっぱいが大……」
「今おねえちゃんって言ったな!? もはや設定までおかしくなったぞ! もういい、聞かれなくてもこっちから言ってやる! 私はオオカミだ! この耳も目も手もおっぱいも(?)、全部オマエを食べるためなんだよーっ!!」
いづみオオカミさんは正体を明かすと、おばあちゃんの変装を解いたのです!
「おっ、おばあちゃんじゃないのです! ……で、誰なのです?」
「オオカミだ! 今言ったじゃねーか!? オマエ、マジで人の話聞かねぇな」
「人じゃないのです……オオカミさんなのです」
「わかってんじゃねーか!? だったらよく聞け! 私はオマエがここへ来る前におばあちゃんを食べ尽した! 今頃は天国にイッてることだろうよ……次はオマエだ! オマエを食ってやる!!」
「おばあちゃん……そこにいるのです」
ベッドの上には『和おばあちゃん』がいたのです。和おばあちゃんはいづみオオカミさんの隣にハダカで寝ているのです。
「あぁ~ん、オオカミさん最っ高! もっと……もっと天国にイカせてぇ~♥」
和おばあちゃんは病気なのです……病名は「セッ●ス依存症」なのです。
「おばあちゃんは食べられてないのです」
「い、いや……だからこういうのを『食った』って言うんだよ!」
「意味がわからないのです」
「とにかく! オマエも私の指テク&舌テクで食ってやるよ! さぁ何度でも天国にイクがよい♥」
いづみオオカミさんはそう言うと、いやらしい目つきで貴音赤ずきんちゃんにジリジリと近づいたのです。
「イヤなのです! 貴音は食べられたくないのです!」
貴音赤ずきんちゃんは「食う」の意味がまだわかっていないのです。
「さぁ~まずは食べやすいよう、その服を脱がしてやろう♥」
「そんなことしたらお巡りさんに捕まるのです! 和おばあちゃん、助けてほしいのです!」
ところが和おばあちゃんは
「あらぁ~ここは童話の世界だから現行法は通用しないわよ~! それに~おばあちゃんも貴音ちゃんに興味あるからぁ~三人で天国にイキましょ♥」
「イヤなのです! 貴音を食べても美味しくないのですぅううううっ!」
貴音赤ずきんちゃんは絶体絶命のピンチなのです……そのとき!
〝ダァーン!〟
「はーい、オマエらそこまでー!」
「げっ、茅乃!?」
「茅乃ちゃん!?」
銃声の後、部屋に飛び込んできたのは『猟師の茅乃』さんなのです。
「オマエら! 現行法が通用しなくても倫理的にアウトだぞ」
「えぇ~っ、そんなぁ~!」
「いづみ! ナゴ! オマエら覚悟しろ!」
「ひいっ! まっまさかこの後、私のお腹を切るんじゃないだろうな!?」
「そぉ~よ! 私や貴音ちゃんはお腹の中にいないわよ~!」
「いや、オマエたちとは一度……腹を割って話がしたい!」
……よくわからないオチなのです。ちゃんちゃん♪
貴音なのです。次回もお楽しみになのです。




