私は妹たちの水着姿が見たい(いづみside)前編
「おねえちゃん、折り入って相談したいことがあるのです」
ある夜、妹が私の部屋に相談事を持って来た。
※※※※※※※
「どうした? ずいぶんと改まって……」
「貴音は明日、天ちゃん空ちゃんと三人で市民プールに行くのです」
「へぇ、プールかぁ」
「おねえちゃんからもらった水着を着てみようって話になったのです」
そっか……あの水着でプールデビューするんだな。
先日……私は妹や天ちゃん空ちゃんの「復讐」とやらに協力するため、妹たちの前でビキニ姿を披露させられたりした。かなり恥ずかしかったがその「見返り」として、今度は私が買ってきた水着を三人に着せて撮影会を行ったのだ♥
その際、水着は彼女たちにプレゼントした……なので着てもらえると言うならそりゃうれしい話だ。
「それで……相談って?」
「市民プールは二ヶ所あるのです。どっちがいいのです?」
――ん!? そういえば……
この町には公営の運動公園が北と南の二ヶ所あり、それぞれ夏の間だけ屋外プールが開放されているのだが……
「貴音ちゃん、どうやって行くつもりなの?」
「自転車に乗って行くのです」
私たちの家からはどちらも同じくらいの距離……だがどちらに行くにしても交通量の多い道路を通らなければたどり着けない。そこそこ距離もあるし、まだ中学生になったばかりのこの子たちには危険な気がする。
それに……
「貴音ちゃん、どっちも自転車は危ないと思うよ。でさ……明日はお姉ちゃんもヒマだし『保護者』として一緒に行っていいかな? そしたら車を出すけど……」
もちろん保護者の役目もあるが……一緒について行けば妹や双子の「水着姿」が拝めるじゃないか!
この前は部屋の中で妹たちの水着姿を拝むことはできたが……やはり太陽の下でもう一度、妹たちの「健全なる水着姿」を見てみたい♥
正直に言うと明日は予定が入っていた。でも私は「不健全な理由」で明日の予定をキャンセルしようと考えた。すると妹が……
「おねえちゃん……貴音たちの水着姿が見たいだけなのです」
いきなり目論見がバレた……何で!? しかし妹は拒否することなく、しばらく考えた後……
「おねえちゃんも当然、水着になるのです!」
えっ!? 私は「付添い」なんで普段着のままプールサイドに入るつもりでいたのだが……まぁ仕方ない、高校時代に買ったワンピースの水着でも……
「おねえちゃんもビキニを着るのです! そしたら一緒に行くのです♥」
――ちょっと待てぇええええええええっ!!
それは友人の平井和からもらったビキニのことだろ……いくら何でもアレを着て市民プールは恥ずい!
――あ、でも待てよ?
妹は私の巨乳を羨ましがっている……おそらく双子も同じ考えだろう。ならばいい機会だ! この子たちに巨乳の「現実」、そして男という生き物の「正体」を教えてやろうじゃないか!
「わかった……着るよ」
「やったのです♥」
――妹よ、素直に喜び過ぎだ!
「あっそうだ貴音ちゃん! どうせなら大勢いた方がよくない?」
「えっ?」
「せっかくだから和も呼ばないか!? あと志麻ちゃんも……」
「和おねえちゃん!? いいのです♥」
オマエ絶対に和のビキニ姿を想像したな……。
※※※※※※※
妹が部屋から出た後、私は和に電話した。実は明日の予定というのは、和から買い物に付き合ってほしいという話だ。一応「元カノ」なんだし、そういうデート的な誘いに元々乗り気ではなかった。
なのでプールの話は和の誘いを断る理由として好都合だ。えっでもプールに誘うんだからデートだろって? いや違う、これは和を「利用した」作戦なのだ!
「あぁ、そうそう……じゃ、明日十時半な! まぁ一時間も居れば十分だろ?」
私は和に「ウソの待ち合わせ時間」を教え、わざと現地へ遅れて来るように仕向けた。「妹と妹の友だちも来る」と言ったら、ヤツは買い物のことなど忘れたかのような二つ返事でOKした……あの性欲モンスターめ!
次に私は、和の従妹でバイト先のオーナーの娘でもある上条志麻ちゃんにニャインした。彼女は以前から「プールに行きたい」と話していたのだ。
志麻ちゃんは低身長でメガネっ子のとても可愛らしい女子高生……JKだ! 妹たちJCもいいが、JKの水着姿も見てみたい♥
ところが……志麻ちゃんは明日、高校の友だちとカラオケに行く予定があったらしい。しかも風邪を引いて寝込んでしまい、どちらもNGとのこと……そういやあの子って意外と病弱で、しょっちゅう体調崩したとか言ってるよなぁ。
はぁ、せっかくJKの水着姿が見られると思ったのに残念! 妹と双子だけかぁ目の保養は……今さら和の水着なんて見たくもねぇし……誰か他には……あっ!
――樹李ちゃんがいた!
そういや妹、「三人で」って言ってたよな!? 間違いなく野牛島樹李ちゃんを誘ってない。先日、私はあの子たちに「仲良くしなさい」と言ったのだが……。
実は前回会ったときに彼女とニャイン交換をしていた。私がプールに誘うと和と同様、二つ返事でOKだった……しかも即返信! 相当うれしかったのかな?
※※※※※※※
「あっ師匠、チョリーッス!」
翌日の朝……家のガレージで車に荷物を積み込んでいると、真っ先にやって来たのは樹李ちゃんだ。
「師匠! 今日はよろしくお願いしまっす!」
挨拶が「おねしゃす」じゃなくちゃんとしてる。私が「じゃあ乗って」と言ったら迷わず助手席に乗り込んだ……とてもうれしそうに。
やっぱり……この子は妹や双子に悪態をついているが、心の中では仲良くしたいんだ! 妹たちも一緒だとわかっているから本来なら気が進まないハズ。でもこのうれしそうな表情……ったく、小学生男子みたいな子だな。
「おねえちゃん、お待たせなので……げっ! 何でコイツがいるのです!?」
遅れて玄関前にやって来た妹が、樹李ちゃんを見るなり不快感をあらわにした。
「べっ別に貴音っちと一緒に行くワケじゃないっす! 師匠に誘われたっす」
「この車は貴音のパパの車なのです! しかも何で助手席なのですか!? 樹李はこの車に乗る資格ないのです! どうしても乗りたいのならトランクか屋根の上が空いているのです!」
「う゛……」
妹からあからさまに嫌われた樹李ちゃんはさすがに凹んだようで、私に
「師匠……やっぱ樹李タソは嫌われてるっすか?」
と涙まじりの小声で聞いてきた……な、何かカワイイ♥
「貴音ちゃん! そういうこと言うもんじゃないの! ちゃんと仲良くしなさい」
妹は「納得いかないのです」と不機嫌そうな顔でブツブツ呟いていると、
「おはようございまーす」
「ございまーす」
天ちゃん空ちゃんもやって来た。だがすぐに、
「ちょっとぉ! 何でアンタが来てるのよー!」
「来てるのよー」
「えぇーっ、樹李タソも誘われたっす!」
――また抗争が勃発した。こりゃいかん!
今日の私の目標……それは、
この子たちの水着を拝むこと、
この子たちに巨乳の大変さを教えること、
そして……この子たちを仲良くさせることだ!
貴音なのです。樹李がおねえちゃんに近づきすぎて困るのです!




