貴音たちはおねえちゃんの水着姿が見たいのです(貴音side)中編
「それなら……貴音にいいアイデアがあるのです!」
貴音と天ちゃん空ちゃん、そして巨乳マウント女・樹李の四人はおねえちゃんと市民プールへ遊びに来たのです。おねえちゃんは貴音たちの「保護者」として付き添ってくれたのです。
貴音たちはおねえちゃんのビキニ姿……正しくはビキニで覆われた大きなおっぱいが見られるのを楽しみにしていたのです。貴音たちだけではなく、樹李もおねえちゃんのビキニ姿に憧れているので楽しみにしていたそうなのです。
ところが……プールサイドに現れたおねえちゃんは、フード付きのゆったりしたラッシュガードを着ていたのです。おねえちゃんは「付き添いだからプールに入らない」と言って休憩スペースに向かったのです。
おねえちゃんのビキニ姿が見られない……貴音たちはがく然としたのです。でもおねえちゃん、水着のボトムは着けているのです。間違いなくラッシュガードの下は水着なのです。貴音たちはおねえちゃんのラッシュガードを脱がしてビキニ姿を拝もう……という目的が生まれたのです!
貴音にはおねえちゃんを水着にするアイデアがあるのです! ところが、
「あっ、それなら私もいいアイデアがあるわよ」
「……空も」
「樹李タソもあるっす!」
……えっ?
「じゃあさ! それぞれの方法でアタックして……お姉さんをビキニ姿にした人の勝ちってことにしない?」
話がヘンな方向に進んだのです。
「いいっすねー!」
「……勝ったら何かあるの?」
「うーん、じゃあ帰りの車はお姉さんの隣……助手席ってのは?」
「えーっ! それだけじゃお得感ないっす」
「ビキニ姿で運転するおねえちゃんの助手席ってのはどうなのです?」
「いいっすねー!」
「それ乗ったー!」
「……空も」
貴音たちはプールで遊びながら一人ずつ順番におねえちゃんの元に行き、それぞれが考えた方法でおねえちゃんを水着にする作戦を実行するのです。
「最初はグー! じゃんけんぽん!」
順番はじゃんけんで決めたのです……貴音が一番手なのです。
※※※※※※※
「おねえちゃん!」
貴音は休憩スペースでくつろいでいるおねえちゃんに声を掛けたのです。
「どうしたの? 貴音ちゃん」
「実は……貴音は泳げないのです! なので貴音に泳ぎを教えてほしいのです」
我ながら上出来な作戦なのです! 貴音が運動神経が鈍いことはおねえちゃんも承知なのです。妹から泳ぎを教えてほしいと言われれば、おねえちゃんはプールに入ってくれるハズなのです。
しかもフード付きのラッシュガードでプールに入ることは禁止なのです。なのでおねえちゃんは必ずラッシュガードを脱ぐのです!
ところが……
「貴音ちゃん……泳げるよね?」
「ぎくぅ」
おねえちゃんからまさかのツッコミを入れられたのです。
「えっ、貴音は泳げないので……」
「お継父さんから聞いてるよ! スイミングスクール通ってたんだって?」
――バレていたのですぅううううっ!
貴音は運動神経が鈍いのですが、小学生のときスイミングスクールに通っていたのです。なのでスピードは全然出ないのですが、クロールと平泳ぎなら二十五メートルは泳げるのです。
「ももっ、もっと速く泳ぎたいのです」
「ここのプールって完全にレジャー向けだから泳ぐスペースなんてないよ」
「だっ、だったら隣の五十メートルプールで……」
「そっちは本格的に泳ぐ人専用だから……競泳用水着じゃなきゃ無理だし、あと中学生は泳力テストに合格しなきゃ使えないよ」
――ほわあっ、ダメだったのですぅううううっ!
作戦失敗! 貴音はみんなが遊んでいるプールに戻ったのです。
※※※※※※※
「その表情は失敗っすね?」
「ざーんねんでした! じゃ、次は空の番よ」
「……行ってくる」
天ちゃんたち三人はビーチボールで遊んでいたのです。共通の目的を持った樹李はすっかり天ちゃん空ちゃんと仲良く遊んでいたのです。
でも……今の貴音たち四人は、「ビキニ姿で運転するおねえちゃんの助手席に座る権利」を賭けているライバル同士なのです! 貴音が負けた今、この三人の誰かが(ビキニの)おねえちゃんの隣に……悔しいのです!
今度は空ちゃんが、おねえちゃんを脱がしに向かったのです。貴音は空ちゃんと入れ替り、ビーチボールで遊び始めたのです。
「貴音ちゃーん、そっち行ったよー!」
「えっ、まっ待つのです! あっ!」
貴音が打ち返すとビーチボールが遠くに飛んで行ってしまったのです。
「しょーがないっすねー」
「ゴメンなのです」
樹李が人混みをかき分け泳いで取りに行ったのです。
「お待たせっす! はいっ!」
「えっ!?」
「ぎょっ!」
ボールを返した樹李を見て、貴音と天ちゃんはぎょっとしたのです! なぜならビキニを着ていた樹李のおっぱいの大きさが左右で違っていたからなのです!
さらに……
「あれ? 何これ……」
水面にヘンな物が浮いていたのです。ベージュのような色で、三角おにぎりのような形をしていたのです。それを見た瞬間、樹李の顔は真っ青になり大慌てで三角おにぎりを奪い取ったのです。
「それってパッドだよね? もしかして樹李の……」
「ちっちち違うっす! こっこれは誰かの落とし物っす」
「えっ、じゃあ監視員に届けなくっちゃ……」
と、そこへ空ちゃんがうなだれた様子で戻ってきたのです。
「お帰り空! どうだった?」
「ダメ……危うくプール中が大騒ぎになるところだった」
空ちゃん! 一体何をしようとしたのですかぁああああっ!?
「じっ、じゃあ次は樹李タソの番っす! ついでに落し物を届けるっす」
樹李ちゃん、この状況でその言い逃れ……見苦しいのです。
※※※※※※※
しばらくして……樹李もうなだれた様子で戻ってきたのです。樹李のおっぱいは左右同じ大きさに戻っていたのです。
「お……お嫁に行けなくなるところだったっす」
一体何をしたのですかぁああああっ!? ……おねえちゃんも!
「これで残るは私だけね!? じゃ、助手席はいただきっ♥」
天ちゃんが意気揚々と向かおうとしたとき、
〝ピピィイイイイッ!!〟
突然ホイッスルが鳴ったのです。安全のために一時間に一回、プールに入っている全員が出なければいけないのです。
そこで貴音たちは四人でおねえちゃんの元に向かったのです。
「みんな、麦茶あるよ! 水分補給しな」
貴音たちが休憩スペースに入ると、待っていたおねえちゃんがポットを取り出して紙コップに麦茶を注いでいたのです。
「師匠! いただくっす!」
「……いただきます」
樹李や空ちゃんが麦茶を飲み始めたとき、天ちゃんが……
「お姉さん、いただきまーす……あっ!?」
おねえちゃんのラッシュガードの上に麦茶をこぼしてしまったのです。
「あぁすみませんお姉さん! 拭くからすぐその服脱いでください!」
天ちゃんはこっちを向いてニヤッとしたのです。天ちゃんの作戦……これだったのです! ところが……
「アンタたち……さっきから私の服を脱がそうとしてるだろ!?」
――バレていたのですぅううううっ!
貴音なのです。次話のジャンルは「パニック」なのです……?




