私は妹のハダカが見たい!(いづみside)後編
「いづみさんなんか大っ嫌いなのです!」
――うわぁっ! 最悪だぁああああああああっ!
胸が小さいことにコンプレックスを感じている貴音ちゃんをやっと説得できたと思ったのに、今度は私のおっぱいを見た途端、再び殻に閉じこもってしまった。
貴音ちゃんはバスタオルを拾い上げると自分の胸元を隠した。マズい! このままじゃ貴音ちゃんの心が傷ついて、コミュニケーションどころか私と一生口をきいてくれないかも!?
どうしていいのかわからず、パニック状態になった私は思わぬ行動に出た。
「貴音ちゃん!」
貴音ちゃんを背後から抱きしめてしまったのだ。
「ふわぁああああっ!」
私の突飛な行動に貴音ちゃんは驚きの声を上げた。背が低い貴音ちゃんに合わせて体をかがめた私は、貴音ちゃんを後ろ抱き……いわゆる「あすなろ抱き」で体を密着させた。
「貴音ちゃん、小さくてもいいってのは本当だよ! むしろ大きいと良くないことばかりなんだよ」
「えっ、そ……そんなことないので……」
「本当だよ! 重くて肩がこるでしょ! スポーツするときなんかハッキリ言って邪魔! 和服も似合わないし、ブラもカワイイのがなかなか見つからないのよ。でもね、一番イヤなのは……男どもが好奇の目で見てくる事よ!」
その言葉を聞いた貴音ちゃんは小さく「あっ」と声を上げた。
「高校の友だちでね、私と同じくらいおっぱい大きい子がいたの……彼氏がいたんだけどね、彼氏はその子の顔や性格じゃなく『おっぱい』だけしか見てないことがわかったの……即、別れたけどね」
「そっ……それはひどいのです」
まぁそのおっぱい女……その後、私と付き合ったんだけどね。
※※※※※※※
「さぁ、いつまでもこんな格好でいたら風邪ひいちゃうよ……早くお風呂入ろ」
「はいっ」
貴音ちゃんの機嫌は直ったようだ。あれ? でもなんか顔が少し赤くなって様子がヘン……。
「あっ、あの……いづみさん……」
「ん? なぁに?」
「あっいえ……何でもないのです」
貴音ちゃんは何か言いたげな顔をしていたが、モジモジしてなかなか言い出さない……ん、どうした?
浴室に入り、髪を洗い背中を流しあってから二人で湯船に入った。ホント、大きいお風呂だなぁ……全然余裕だ。
貴音ちゃんは私の方をチラ見しながらまだモジモジとしている……仕方ないのでこちらから話を振ってみた。
「貴音ちゃん、さっきはごめんね」
「いえ、貴音の方こそ……いづみさんに言われて……おっぱい小さいの、気にしないようにするのです」
――そっか……それはよかった。
まだ何となくギクシャクした感じもするが、お互いが自分をさらけ出すことで少しずつ姉妹として近づいているような気がしてきた。私は貴音ちゃんの肩に手を回して引き寄せると、
「お姉ちゃん、これからも貴音ちゃんと仲良くなりたいから……だから遠慮なく何でも言ってね」
と声を掛けた。すると貴音ちゃんは意を決したように大きな声で、
「あっ、あの! いづみさん!」
「……はい?」
「たっ貴音は……いづみさんに……お願いがある……のです」
「ん? いいよ! 何でも言って!」
「あ……あの……」
「……?」
「いづみさんの……おっぱい……触らせて欲しいのです」
――へっ!?
……とんでもないことを言い出してきた。
「さっき……いづみさんのおっぱいが貴音の背中に当たって……すっ、すごくやわらかくてあたたかくて……きっ、気持ちよかったのです♥ 貴音には記憶がないのですが……なぜかママがそばにいるような気がしたのです!」
あっ、そういえばさっき貴音ちゃんを後ろ抱きしてから……何か貴音ちゃんの様子がヘンだったけど……
――そういうことだったのかぁああああっ!?
「ま、まぁ……別に……いいけど」
でもこれは……もしかして「こっちの世界」に引きずり込むチャンスか?
「触ってもいいけど……ひとつだけ言うことを聞いてくれる?」
「な……何なのですか?」
「私のこと……今から『お姉ちゃん』って呼んでね!」
その言葉を聞いた貴音ちゃんの表情がぱぁっと明るくなった。
「おっ、おねえちゃん……いづみおねえちゃん! よろしくお願いしますのです」
貴音ちゃんは恐る恐る私のおっぱいを触ってきた……うわぁ、女同士で抱き合うのは慣れているが、何かこういう状況って逆に緊張するなぁ。
貴音ちゃんはしばらく私のおっぱいを無心に触っていたのだが、やがて……
えっ!? ちょっと! この子……
――乳首つまんできたぁああああああああっ!
いやいやそれダメだって! 私、そこ結構敏感なんだからぁー! うわっやめてやめてっ! 何考えてんのよこの子は!
――いっ、いやぁああああああああっ……あんっ♥
※※※※※※※
はぁ~っ、やっとお風呂から上がった……なんか疲れた。
だが、妹・貴音ちゃんの「逆襲」はこれだけでは終わらなかった。
パジャマに着替え、髪を乾かしていると貴音ちゃんが何か話しかけてきた。んっ何? 私は貴音ちゃんの方を向くと
「おねえちゃん……」
貴音ちゃんはニンマリとした表情で私の顔を見ていた……なっ何?
「おねえちゃん……パジャマ……とってもカワイイのです♥」
――えっ?
私のパジャマは高校時代から愛用している、ピンク色でネコのイラストがデザインされた綿のパジャマだ。いや別に普通でしょ? そういう貴音ちゃんのパジャマだってカワイイ……あれ?
貴音ちゃんは光沢のあるシルクのパジャマ……ミントグリーンで無地という、少女っぽいが落ち着いたデザインだったのだ。
〝パシャ! パシャ! パシャ!〟
「ちょっ貴音ちゃん、何やってるの!?」
貴音ちゃんはスマホを取り出すと、パジャマ姿の私を撮影し始めた。
「おねえちゃんのパジャマ姿……とってもカワイイから待ち受けにするのです」
いっ……いやぁああああっ! とっ、撮らないでぇええええええええっ!
※※※※※※※
「おねえちゃーん!」
あれ以来、妹はパジャマ姿……そしてノーブラになった状態を見計らって私にハグを求めてくる。
「むぎゅ♥」
妹は私のおっぱいが大好きになっていた。今まで巨乳だったことで得したことなどないと思っていたのだが、ひとつだけ良いことが見つかった……
……不本意だけどね♥
貴音なのです。次回から貴音視点のお話なのです。




