私は妹のハダカが見たい!(いづみside)中編
――生まれたままの姿になった天使ちゃんが降臨した!
ガードの堅過ぎる貴音ちゃんにイラッとした私は、半ば強制的に貴音ちゃんのバスタオルを取り去った。すると目の前に……一糸まとわぬ姿となったカワイイ貴音ちゃんが現れたのだ!
――ほわぁああああああああっ……カッ、カワイイッ♥
予想通り! 貴音ちゃんは白く透き通った、一点の曇りもないピュアな肌をしていた。そして……
本人は隠したつもりでも全然見当違いの場所に手を当てていたその胸元からは、まるで植物が芽生える直前ちょこんと盛り上がる土のように膨らみかけたカワイイおっぱいを拝むことができた……はぁ、尊い♥
だが、そんな春爛漫な気分に浸っている私とは対照的に、貴音ちゃんは猛吹雪の夜のような暗く険しい表情を浮かべていた。
そして……思わぬ事態が起こった。
「…………グスッ」
――あれ?
貴音ちゃんは目を真っ赤にして大粒の涙を浮かべていたのだ。
「えぇっ、ちょっと! 貴音ちゃん……何で?」
やがて大粒の涙は、貴音ちゃんの頬をぽろぽろと流れ落ちた。予想外の出来事に私はただオロオロするだけだった。
「ごっごめん! でっでも泣かなくても……」
その言葉を聞いた貴音ちゃんは絞り出すような声でこう言った。
「た……貴音は……ハダカを見られるのがイヤなのです」
「いやいや、女同士なんだしそんな恥ずかしがることじゃ……学校でもプールとかで着替えてるでしょ? それに貴音ちゃん、とてもキレイな肌してるよ! もっと自信もっていいんじゃない?」
自分でも何を言ってるのかわからなかったが、私は必死に貴音ちゃんをなだめていた。すると貴音ちゃんは私をキッと睨みつけ……
「貴音は……おっぱいが無いのです! だから見られたくないのです!」
……えっ?
――あぁ……そういうことか!
この子は……自分の体にコンプレックスを持っているんだ。
「貴音ちゃん十二歳でしょ? まだまだこれからよ」
「そっ……そんなことないっ! のです。だって、友だちがみんな大きくなってきてブ……ブラジャー着けるようになってきてるのに……貴音は……まだ……」
なるほど……同級生と比べちゃうのよねぇ~このくらいの年齢の子って。しょうがない、デリケートなことだけどアレを聞いてみるか。
「貴音ちゃん……初潮……まだだよね?」
その言葉を聞いた貴音ちゃんは全身をビクッと震わせた。
「わっ、わからないの……です」
あーやっぱりな! この子はそういう話題に慣れていない。まぁ確かに、あんなのは授業で教わったところで実際に経験してみないとわかんないけどね!
この子はずっと父親に育てられてきた……たぶん身近に「そういう悩み」を相談できる相手がいないんだろう。
「普通は胸がふくらみ始めてから初潮がくるのよ。つまりこれからも大きくなるってこと! だから気にしなくていいし……それに」
私は瞬間的に貴音ちゃんの胸へ手を当てると「おっぱい」をそっと押してみた。
「ひぃっ! なっ……何をするのです!?」
「ほらぁ、無いなんてウソでしょ!? ちゃんと感触あるわよ……貴音ちゃん、胸の先っちょがチクチクしたこととかない?」
「あっ……ある……のです」
「それだよ! それがふくらんできた証拠よ」
この子には事実を教えて自信をつけさせなきゃ……それと
やったー! まだ初々しい思春期少女のおっぱい触ったぞー! 役得♥
「……でも、貴音のは小さい……」
「えっ、なんで? 小さくてもいいじゃん! 何で大きい方がいいの?」
「そっ、それは……えっ? 何でなのです? わっ、わからないのです」
貴音ちゃんが混乱している。あーあ、どうせネットやテレビの情報とか少年マンガの影響でしょ? だって冷静に考えたら、おっぱいが大きいほどいい……なんてのは「男の勝手な決めつけ」なんだから!
――だから……男嫌いの私にはくだらない話だ!!
「ねっ、だから周りのことなんか気にしなくて堂々としていればいいの! それに貴音ちゃん、カワイイし肌も髪もきれいだし……全然いいじゃん! 私からしたらとってもうらやましいよー!」
「う……うん、いづみさん、ありがとう……なのです」
貴音ちゃんはだんだん自信を取り戻したようだ。だけどまだ、私のことを「いづみさん」呼ばわりなんだよなぁ~。早く「お姉ちゃん」って呼んでほしい!
「ところでいづみさん! いづみさんはお風呂に入らないのですか?」
あぁ忘れてた! 貴音ちゃんのハダカばかり気になって私、まだ下着姿のまんまじゃん! 私は急いでブラを外し、パンツを脱ごうとした……と、そのとき、
――貴音ちゃんが、まるで生ゴミでも見るような目で私を見てきたのだ。
えっ!? さっきまで私の話聞いて自信を取り戻してたのに何で? 私……何か悪いことした?
「あっ、あの……貴音ちゃ……」
「ぷい!」
――自分で「ぷい!」と言ってそっぽを向いたぁああああああああっ!
それメッチャカワイイけど……ショックだぁっ!
「えっ何で急に怒ったの? ねぇ教えて! 黙ってたらわかんないよぉ~」
すると貴音ちゃんは再びこちらを振り向くと、ものすごいプク顔で睨みながら私にこう言った。
「いづみさん……おっぱい……大きいのです!」
――あ゛。
「小さくてもいいとか……説得力ないのです」
と言うと再び「ぷい」と言って私に背を向けた。
――うかつだったぁああああああああっ!
まだ貴音ちゃんには私の本当のおっぱいを見せたことがなかったんだ!
私のバストサイズはトップが九十八センチ……ブラのサイズは「F75」だ! 普段の私は「小さく見せるブラ」を愛用していて、ゆったりとした服を着てごまかしていたのだ。
これはマズい、せっかく直った貴音ちゃんの機嫌をまた悪くしてしまった。
「あっ、あのさ……」
「いづみさんは貴音のことバカにしているのです! いづみさんなんか……いづみさんなんか大っ嫌いなのです!!」
――うわぁっ、最悪だぁ! どうしよう!?
貴音なのです。次回はおねえちゃんに「反撃」するのです♥




