英雄サムソンが面白い
さて、本題である謎の棒の解明は終わったのですが、せっかくなんで、英雄サムソンの壮絶な生き様をご紹介しましょう。
サムソンは髪を剃らない代わりに怪力を神から与えられるんですが、どれほどかというと、道で出会ったライオンを素手で引き裂いてしまうほど。かなりチートです。
そんな怪力のサムソン。
当時のイスラエルは、ペリシテ人に支配されていたんですが、彼は支配民族であるペリシテ人の女を好きになり、妻にしようとします。 やはり英雄色を好むのでしょうか? サムソンはほぼ無敵ですが、女好きです。
彼は妻の家族を訪ね、ペリシテ人たちと宴会をすることになります。ここまでは良いんです。
しかしなぜかサムソンさん、謎かけをして答えがわかったら着物30と晴れ着30をあげるけど、解けなかったら着物30と晴れ着30を寄越せと言い出します。
ペリシテ人たちはどうしても謎が解けなくて、サムソンが妻にしようとした女に答えを聞き出せと脅迫、出来なかったら家族ともども焼き殺すと酷いことを言います。
泣く泣く懇願する女に答えを教えてしまうサムソンでしたが、そこからが彼の英雄たる所以。
町のペリシテ人30人を殺して、衣服を剥ぎ、謎かけの報酬とします。((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
とりあえず謎かけの件はこれで収まったんですが(……え?)
今度は、サムソンが妻にしようとしていた女の父親が、娘を他の男に嫁がせてしまいます(何してんの?)
当然怒り心頭のサムソン、捕まえたジャッカル300匹に松明の火を付けて、ペリシテ人たちの麦、葡萄、オリーブの畑をすべて焼き払ってしまいます(やり過ぎじゃないのかな……)
怒ったペリシテ人たちは、女と父親を焼き殺します(え……そっち?)
愛する人を殺されたサムソンさん、怒り心頭。
ペリシテ人たちを大量虐殺して故郷へ帰ります。
ペリシテ人激おこ。イスラエルの民に圧力をかけて、引き渡すように要求。
仲間であるはずのイスラエルの人たちにお縄にされペリシテ人に引き渡されるサムソンでしたが、問題ありません。縄をぶちぶち~って引きちぎり、その辺に落ちていたロバのあごの骨でペリシテ人1000人を殴り殺します。((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
ちなみにロバのあごの骨は楽器になりますけれど、武器にはなりませんのでご注意ください。決して真似をしないように……。
後日サムソンは、また別のペリシテ人の女を好きになります(懲りない)
それを知ったペリシテ人たちは、女に接触。多額の金で憎きサムソンの秘密を探りだすようにそそのかします。
この女、名をデリラといい、元祖女狐とも言われていますが、報酬に目がくらみ、サムソンから力の秘密を聞き出そうとするのですが、そこは我らが英雄サムソン、女に弱い!!
髪を剃ったら力が無くなることを教えてしまいます。
その結果、前回のエッセイでも書いたように、サムソンは髪を剃られてしまい、捕まって両目をくりぬかれた後、青銅の足枷をされ、牢屋で粉をひかせられることになります。
そこで止めておけばよかったんですが、大喜びのペリシテ人たちは、神殿でサムソンを晒しものにして宴会を盛りあげようと画策します。
ですが、サムソンの髪は獄中生活の間にすっかり伸びていたのです。
とはいえ、髪を剃らないというのは神との契約違反、力は失われています。
サムソンは、神に懇願します。
自分の命と引き換えに、一度だけで良い、力を戻してくれと。
願いを受け入れた神によって、力を取り戻したサムソン、柱を怪力で押し、神殿を倒壊させます。
集まっていたペリシテ人3000人もろとも道連れにしてサムソン死ぬのです。
なんとも壮絶な最後ですが、ペリシテ人の支配に苦しんでいたイスラエルの人々にとっては、痛快だったことでしょう。
旧約聖書の神さまって、基本助けてくれません。契約を破ったら、容赦なく殺されますし、ペリシテ人に支配させているのも、信仰を忘れた民に怒った神さまです。
結局、サムソンの活躍虚しく、この後、英雄ダビデが登場するまで、ペリシテ人の支配は続くことになります。
ちなみにこのペリシテ人、聖書以外に手掛かりが無く、詳しいことはほとんどわかっていなかったのですが、最近の調査でクレタ島などエーゲ海から移動してきたいわゆる最強民族「海の民」の一角らしいということが言われています。
ダビデとの戦いで登場するペリシテ人の巨人兵ゴリアテもそうですが、聖書には、古代史好きとしてはたまらないロマンがつまっているのですよ。
皆さまも機会があれば、旧約聖書を読んでみてくださいね~!!