第一話 吸い込まれたんですけど!?
人生で誰しも一度は何かに没頭することがある。
俺にも一つ楽しくて仕方ないことがある。
オンラインゲームだ。
世界中の人たちと、リアルタイムでつながりコミュニケーションをとってゲームを進めることができる。
俺はリアルでは友人が一人もいなく退屈な人生を送っていた。
現実では何もできない自分だが、ゲームの中ではヒーローになることができた。
もう、自分の居場所はゲームの中ではないかと思うぐらい頭の中がゲームで埋め尽くされている。
そして、今日ついに人気ゲームアブリシア社が発明した最新FPSゲームを体験することができる。
まだ、発売日前だが、応募者の中から選ばれた200人が先行体験ができるというゲーマーなら夢のようなイベントに当選したのだ。
俺は、朝起きるや否や、パソコンを開きゲームの開始を待ち望んだ。
時刻は正午、ついにその時は来た。
「ようこそ皆さんこんにちは。私は制作代表の黒塚と申します。今日は私たちの作ったゲーム“バトルAZ”(バトルエイジ)の体験会に参加いただきありがとうございます。今回のゲームは4人組の協力型ゲームです。よりリアルを追究し、まるでゲームの世界に入りこんだような気分でゲームを行うことができます。まあ長々話しても仕方ないので早速はじめてもらいましょう。さあスタートボタンを押してください。」
短い説明の後、URLが現れた。
クリックすると、ゲームの世界の背景をバックに、前にゲームスタートの文字が現れた。
「ついに、始まる」
俺は、沸き上がる高揚感を抑えることができず、すぐにクリックボタンを押した。
その瞬間、俺の身体中を光が包んだ。
まぶしく閉じていた目を開けると、目の前には多くの人が周りにいた。
さっきまで自宅にいたのにまるで違う世界にいるかのようだ。
この森、タイトルページでみたものだ。
最新のゲームはここまで進化したのかと感心した。
周りを散策し、木があったので触ってみると本当に触ることができた。
ちぎってみるとちぎることができた。
これだけ細かい設定ができるとはすごすぎる。
まさか人にも触れられる?
「ひえっ、なっなんですか?」
すぐそばにいた女の子の肩を触ってみると、返答が帰ってきた。
「すっすいません。もしかしてプレイヤーの方ですか。」
目の前で女の子はもじもじしていた。
はじめて会ったものが急に触れてきたら、そのような反応をするのも無理はない。
「…はい。今日の先行体験会のメンバーに選ばれたものです。もしかしてあなたもですか。」
「そうです。FPSゲーム楽しみですよね。プレイヤーネームはテツです。」
「わっ私のプレイヤーネームはアリサです。あのこのゲームリアルすぎませんか?」
ブーッ、ブーッ
サイレンの音が鳴り響いた。
その瞬間体がどこかに飛ばされているような感じがした。
着地すると目の前には三人のプレイヤーらしき人がたたずんでいた。
その中に先ほど出会ったアリサの姿もあった。
「よかったー、テツさんがいてくれて心強いです。」
「俺もです。正直ばらばらになったと不安になってました。」
「なーにどうしたの?二人とも友達なの?お姉さんも混ぜてほしいなあ。」
際どい服装で色気のある女性が俺たちの会話に入ってきた。
声の落ち着き的に年上の女性のようだった。
「いっいえ、アリサとはさっきであったばかりでして…」
「ふーん、本当かなあ。私はプレイヤーネームヒバナよろしくね。」
俺たちを嘗め回すように見てきて、恥ずかしい気持ちでいっぱいになった。
「あと…こんにちは。中学生の子かな?」
三人目の俺よりも年の下ぐらいの身長の低い女の子に話しかけてみた。
こんなに小さい子もゲームをするんだと感心した。
「馬鹿にすんな。私はこう見えても高校生なんです。」
まさかの俺と同じで驚きで体が動かなかった。
「おい、全員嘘だろみたいな感じでこっちを見てくんな。私はれっきとしたJK。JKの中のJK、プレイヤーネームミクロとは私の事です。」
俺はよく言えたとほめるかのようにミクロの頭を撫でた。
「撫でんなバカ。私を子供扱いすんじゃねえ。」
かわいらしく、ずっと眺めておきたいなと感じた。
「まあ自己紹介はこれぐらいにして、うちら四人がパーティって訳でいいのよね。」
このゲームはもう始まっているのか。
FPSという事は銃撃戦をするのかな。
殺し合いをするってことは、死ぬ時もリアルなのか。
分からない、ゲーム説明がなさすぎる。
「FPSだからまずは武器を見つけたほうがいいんですかね。」
アリサは少し小声で恥ずかしそうに三人に向かったしゃべった。
「そうだな。多分あのブザーがはじまりの合図だと思うし、このままうだうだしてても敵プレイヤーにやられてしまうかもしれん。」
「ぎゃあああああ」
“皆様にご報告があります。ただいま1パーティが壊滅いたしました。残り49パーティ。”
早くも一部隊が壊滅した。
「もしかして、このゲームリアルすぎるし、まさか殺されたらマジで死ぬんじゃ。」
「テツ、変なことを言うなよゲームだぜ。そんなこと…」
俺たちは急ぎ足で武器漁りをはじめた。
周りは森で囲まれているため、隠れ場所は多くあるが動けばそれなりに目立ってしまう。
速くどこに武器があるんだ。
「あっありました。これなんですけど…」
「なんだよこれ、水鉄砲?雑魚すぎるだろ。そんなのいらねえよ。」
「待って、もしかすると何かに使えるかもしれない。一応アリサが持っていてくれないか。」
アリサは手をおでこに当て、敬礼のようなポーズをとりりょうしょうしてくれた。
「ねえ。これなんかどう?洗濯ばさみがあったわよ。」
「何それ。さすがに何のために使うの?」
「まあ、私はさんだりするの好きだし、もっておこーっと。テツ君後で挟んであげようか?」
なんだか意味深なことをヒバナさんは俺をおちょくっているのか。
恥ずかしい気持ちを抑えて何とかヒバナさんをスルーした。
「ミクロちゃんは何か見つけたの?」
「ちゃんをつけるな、ほほ笑みながら話しかけてくんな。私はお人形を拾ったんだよ。」
まあなんてかわいらしいお人形なんだ。
彼女にぴったりのものではないか。
「にっこりすんなバカ。そういうテツは何見つけたんだよ。」
「ふふん驚かないでくれ。俺は…錆びた剣をゲットした。」
周りの表情が死んでいる。
俺も分かっていたが、武器が雑魚すぎる。
こんなところで敵に出くわしたら大変なことになる…。
「おーいたいた。武器も雑魚そうだしやっちまいましょう。」
まずい、敵パーティが現れた。
どうする。こんな武器たちで俺たちが勝つことはできるのか‥‥
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