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空白

 ニュースが流れている。

 薄暗いアパートの部屋。その隅にうずくまって、和季はぼんやりとテレビの画面を見ている。


『今回の事件は怖いですね』

『はい。生き返りによる殺人未遂ですからね』

『死に還る前の取り調べによると、男はせっかく生き返ったのだから彼女を道連れにしたいと供述していたようですが』

『そうですね。彼女、ではなく元彼女と当人は言っているようですが。とにかく、生き返りのサポートを担当していた市職員が、その女性を庇って代わりに犠牲になったということですね』

『なんとも痛ましい事件が起きてしまいましたね。しかも、犯人である生き返りは既に死に還っているということで、すでに罪に問うことすら出来なくなっているということですよね』

『はい。そこが生き返り犯罪の難しいところです』


 テレビの向こうでは、人ごとのように白瀬のことを話している。

 音が、遠い。



   * * *



 白瀬の席は、空っぽだ。


「私、めちゃくちゃ怖くなっちゃったんですけど。これからもこの仕事ってやらなきゃいけないんですよね。事件があったからって生き返り課は無くならないんですよね」

「深入りしすぎなければいいんだよ。そうすれば、こんなことにならなかった。距離さえ取っていれば大丈夫なんだ」

「だといいんですが」

「俺だって、怖いよ。なるべく関わらないようにするしかないな。早く異動になりたいもんだ」

「ですねえ」


 霧島とひよりが話している。

 和季はそれを、ぼんやりと聞いている。



   * * *



 面会謝絶が解けた。

 一週間ぶりに見る白瀬はベッドの上に横たわっていた。

 彼女の目は和季を映すことはなかった。

 和季の鞄の中に入ったマグネットは、そこにただ入れられたままだ。


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