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第01話 本に飲まれ、水を飲む

 いつも通りの毎日、変わらない日々。

 疑問を抱いた頃もあるが、今もうすっかり慣れ込んで、居心地いいになった。

 素朴な狐っ娘は対面に座って、頭を伏せで本に夢中。灯りが耳の薄影を地へ届け、わずかゆらくその影が、昔その主を驚かすことを思い出す。

 「……」

 このくらいで笑い漏らすものじゃないので、「五十(ごじゅう)」はなんでもないように視線を本に戻す。

 喉が少し渇たが、いま物語の続きを気になる。大人には、このくらいの我慢は日常茶飯事、語るほどの事ではない。

 「……」

 ……

 どれくらいの時間を過ごしたか、喉の渇が本の邪魔になった。目を上げて、そこの狐っ娘は本に伏せたまま、開けた本の厚さは、前見た時のとちょうど左右反転になって、ちょっとおかしく思えた。

 「……」

 集中してるみたいで、邪魔しないようにしよう。水魔法で現場済ましのはできるが、マナ違反になる。

 風魔法…正確は気体魔法で、椅子を浮かべさせ、ほぼ無音で後ろに移動、そして脚を出る。ここ基本沈黙なんで、音を立つ時、驚かせやすいから。

 ……無音でやっても気づかれるが、驚かすと拗ねるから。

 「…?」耳を一回跳ばせ、狐っ娘は頭を上げた。

 「水飲む。こんは?」

 「わたしも。」

 言って、椅子から降りた。

 小さいのは時々便利なー、椅子を移動しなくても、テーブルとの隙きから脚をすべ出せられる。

 毎回の事だけど、思わず嘆する五十であった。

 ……

 「こん」という名の狐っ娘に付けて、本庫から厨房という名の場所に降りる。五十としては、気体魔法の魔道具を設置し、煙や匂いを隔離すれば、このふたつを一部屋にするのもいいし、より便利にもなる。だがこんによると、「気分」やら「マナ」やらのものがある、あと「安全」やら。

 気分とマナはいまいちが、こんに一人留守をさせることもあって、安全面の余念は確かにある。

 前の階段は二人の足に応じ、一階つづ光て、飾りの少ない壁を薄ら照らし、ちょっと陰気味。

 「…いじわる…」

 聞いてないようにする。

 いくつかの調理器具を設置された、厨房という部屋に到着。ずっと後ろに付けていたこんは、耳を小さくぴこらせて、五十を越え、けして走る程なく、一歩先に食器棚から、シンプルなカップを二つ取り、「ジュース?」っと。

 「…水で」

 もう夜中だ、ジュースは良くない、虫歯に治癒魔法は効かない。

 「…いじわる…」

 聞いてないようにする。

 飾りの少ない、薄光の厨房に、二人並んで水を飲んだ。

 ほんっと、なんのロマンもないな、物語と違って。このふたつのカップを、ペアにも言えるような紋様を仕上げられる日も、来るかどうか…

 自分のカップを手に、こんのカップを目に、ふとこんなことを浮かんだ五十であった。

 まあ、それでもこんが大事そうに食器棚に返させたから、これでいいかもしれない。


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