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装甲戦士・ロロアちゃん   作者: 地底人のネコ
5/11

両軍の間の中で・・

ロロアちゃんが平和な日常を送るなか、パワーマン率いるロボット兵団と警察特殊部隊のしのぎを削る戦いが繰り広げられていた。


2つの勢力の一兵卒の『想い』。

その中で、ロロアは勝利のキーパーソンとして名前があがる・・。

パワーマンの武装決起が開始され、人類に不満をもったロボット達が次々と武器を手に取って参加した。

アジトにしているニュートリノ発電所は、人間が突入するには高温であり。

世論の反発もあって手も足も出ず。

それを好機と見たメカニロボットで構成した守備隊3000が、特殊部隊をガスタンクまで押し返した。



『案ずるな、パワーマンがついてるぞ。』

メカニロボット守備隊の心は一つになり、散り散りになった特殊部隊を撃破してゆく。


途中、特殊部隊が決死の特攻作戦『井上隊』を編成し、 ニュートリノ発電所内部まで進行するも。

構成された強固な守りとパワーマンの前に壊滅した。

軍の介入が可決された今、ニュートリノ発電所の武装決起は『最悪な形』で終息はするだろう。

最悪な事態を恐れ、警察としての誇りがある特殊部隊は、残された部隊を再編成し『チーム・ガンバ』を組織する・・。



「俺たち、本当に正しい事をしているのでしょうか?」

ニュートリノ発電所をぐるりと囲む形でバリケードを作り、守備隊の任務についていたZM-200が隣にいたZM-00※に言った。

彼らはバリケードの間にある僅かな隙間からスパークライフルで敵を狙撃していた。

敵の猛攻(ウェーブの耐えがたき耐え、ガスタンク進行を陰ながら支えながらもZM-200はまだ自分の進む道に悩んでいた。


「まだネチネチ、そんな考えしてるのか?お前ら100番台には分からないかもしれないがな。俺ら一桁番台は、そりゃ人間にコキ使われたモンだよ。」

ZM-000※がレーザーを再装填して言う。

シリアルが消えるくらい使い古されたボディに不似合いの、真新しいライフルが非現実的だった。


「これで15じゃい!」

ZM-000※がそう言いながら引き金を引く。

光線が駆け抜け、盾を装備した敵をもろとも貫通させた。

当たった敵は大きく反るようにバンザイした後(全身の激痛で筋肉が張るらしい)、ウェーブ1で積み上げられた敵の残骸の一部になった。


「ここには良く良く当たるライフルと、美味しいエナジー!旨いA缶がある!これ以上の贅沢はあるかいな?なぁ?友よ」

「そうですね・・」


「「そうともよ!これが自由よ!ガハハハハ!!」」

奥にいたZM-009や他のZM、YWシリーズが目のランプを光らせながら豪快に笑った。

頭に巻かれた捻り鉢巻が、頭のランプの熱さで黒く変色している。

他のロボット達の頭のランプも血走ったようにギラギラと赤く光り。

まるでケダモノのそれだった。



ちなみに、ライフルなどの武器や弾薬とA缶の差し入れは緑の装甲の『グリーンキラー』と言う軍団がくれた。


奴らは労働メカニロボの俺らとは違い、『上様や奥方様』と呼ばれる組織に所属する闘う為に作られた兵隊で、この施設にはブラックアイ(黒い装甲の兵隊)数名と、その子分のレッドキラー(赤い装甲の兵隊)数名。

そして、お世話役のグリーンキラーが居るのだった。


グリーンキラーは、俺らがエナジーを充電する時は深々と礼をした後に手伝ってくれるし、常に充電室の掃除と差し入れを足してくれている。

正直に言って俺らの身分にはもったいないくらいの待遇をしてくれていたし、前なんて俺らの代わりにブラックアイに頭を下げたりもしてくれた。


それを見たら俺も今さら決起を抜けるなんて言えなくなる訳だし。


本当は人間と仲良くしたい。

社会を別の方向で変えていきたいって思っているロボットだって俺は知っている。

しかし『今』を変えてほしいのは皆、確かな訳で。

現実が変わる気がしないから、俺らはライフルを持って戦っているんだと思う。


あそこを見てほしい。


あそこのZMは、撃つ度に敵さんの方向に手を合わせているし・・。

あそこのロボットはライフルすら持たず、瓦礫を積み上げて供養塔を作っている・・。

「ZM-200よ。そろそろエナジー吸いにいこうや。A缶かっ食らえば気分も変わるってもんだよ!」

「そうですかねぇ・・」

「だから、変な面するなって。」

「は、はぁ。」

ロボットに変な面もへったくれも無いだろと思ったが。

とりあえずZM-000※に言われて、持ち場を離れた・・その瞬間だった!


俺の目の前、ZM-000※の真後ろを、バリケードを突き破って巨大なエネルギー弾が通り抜け。

使い古したフィンが回るような不気味な

ヴーーンと言う音をさせて、青白い玉が後ろの仲間達に炸裂した!!

「っ!!!あぶねぇ!!!」




※※※※※※


「やったか!!」

「命中!!命中!!次の装填いそげ!!」

チームガンバの装填手達が次のエネルギーを装填する。

俺は嬉々として双眼鏡を覗き混んだ。

着弾した先では、バリケードが崩れ。

他の隊員達がここぞとばかりにスパークライフルで集中砲火を浴びせていた。

グリーンキラーが重機関銃を必死になって拾い上げ、倒れたロボット達が積み重なってもがいている。


こちらに気付いた捻り鉢巻をしたロボットがいたが。

頭を隊員の弾丸がとらえ、頭の吹き飛んだロボットがグルグルと意味もなく歩き回った。


「装填準備完了ー!!」

装填手達がこちらに手を振り、俺は立ち上がるとサーベルを敵の防衛陣地にむけた。

「撃てぇえーい!」

軍から届いたバスター野戦砲が光を吹いた。

砲弾はサーベルの先、井上部隊が突入した『井上ルート』付近に着弾した。

着弾した所が爆発して吹き飛び、発電所の内部を循環していた純水が水柱になって勢いよく噴き出す。

「うむ!見事なり!見事なり!!」

俺が激励すると装填手達は得意気に笑った。


この全長3メートルもある野戦砲は一門しか配備されていないが、かなりの優秀な子で。

ガスタンクまで進行してきたロボット達をバリケードまで蹴散らし戦況を逆転させた。

場所が場所なだけに世論が首を縦にふらず、一門限定の運用でしかも手運びにはなるが。

それでもチームガンバの隊員30人に匹敵する活躍だった。


「はい、ご苦労さん。」

「ありがとうございます!」

「はい、ご苦労さん。」

「ありがとうございます! 」

ニュートリノ発電所から1キロしか離れていない所に本陣があり。

1日の戦闘を終えると夕方の部隊と交代する。


戦闘を終え、今日闘った部下の隊員達一人一人のコップに労いの酒をふるまう。

俺の胸にチームガンバのバッチと一緒に『砲手指揮官』のバッチが輝いていた。


「コップが1つ余っているようだが。」

俺が隊員達を見渡して全員に行き渡っているのを見て不思議に思った。

「・・残念ですが、偵察に行った仲間が盾ごとライフルで撃ち抜かれ・・。」

「・・・すまない。ここは戦場なんだな」



真夏(マナツ君、真夏君!」

「はっ!」

「今日の戦況報告を頼みますよ。」

名前を呼ばれてハッとした。

落ち込んでなどいられないのだ。


本陣の真ん中にある『ニュートリノ奪還作戦・作戦室』のテントから、丸顔で丸眼鏡のダーパ作戦長が顔を出して手招きした。

中では、様々な戦闘隊長達がビジョンにあるマップに矢印や数字を書き込み戦況を入力していく。


ちなみに作戦室の上に掲げてある『老いさらばえて逝くよりは』は、ダーパ作戦長の直筆のスローガンだが。

まわりの部隊からは極めて不評だった。

根は良い人なのだが、この戦場においての痛烈な皮肉と言うか、ブラックジョークとも取れる一連の『ユーモア』が悪趣味だし。

それを面白いと思ってやってるのか、我ながら上手いスローガンだと思ってやってるのかは不明だが、チームガンバの女隊長、テリンコが不愉快な顔をあからさまにしているのは確かだ。


「見たところ、砲撃が上手く行ったと見えるがどうかね?」

ダーパは微笑みながら言った。


「えぇ。我々の砲撃を10回撃ち込み。バリケードを破壊しました。

しかし偵察隊員が1人犠牲に。特筆すべき点は、井上ルートの方面に水柱が立った事」

「ふむ。」

「この水柱は、ニュートリノジェネレータを冷やす冷却水と思われます。この配管内を速やかに通り、ニュートリノジェネレータのバルブを締め。人間の活動域を確保します。そして、一気に攻めこむのです・・」

「ぐむ・・もしかしたら井上隊の二の舞になるのではないか?」

他の隊長が言う。


「それもあるでしょう。しかし僕らにはこれしか打開策はないのです!」


「しかしだな、真夏君。君の言っている冷却水の配管は小学生が通れるくらいのギリギリのサイズなんだ。敵の弾幕をかいくぐり、重い防護服とライフルを持って進んでいけると思うかね?」

とダーパ。


「それは・・やってみないとわかりません!!」

「・・・。」

計画は暗礁に乗り上げ、皆が静かになった。


そんな中、会話を聞いていたテリンコがある事をポツリと呟いた。

「ロロアちゃんなら・・ロロアちゃんなら出来るかもしれません。」


「ロロアちゃん?あぁ、カイン博士の愛娘か!確か事故で体をロボットにしたとか・・?」


「そうです!彼女なら小柄で小さいし、高温でも耐えられる強靭な体もある!彼女ほど適任者はいませんよ!」

「しかし、小学生にこんな危険な大役はまかせられんだろ?たとえロボットだとしても・・」

「私が説得してみせます!!」

「テリンコ!僕もいくよ!」


テリンコと真夏は、ロロアちゃんのいる都市『メルヴィア』を目指した・・。

ロボット兵団は、単なる労働ロボットによる抗議団体ではなく。

1つの組織として派遣されているようだ。

人類がどれほど把握しているかは不明だが。


ロボット同士は体のカラーリングで役職が分かるようになっていて、組織を統括し、鼓舞しているらしい。


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