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装甲戦士・ロロアちゃん   作者: 地底人のネコ
3/11

再調整だよロロアちゃん

フォレストパークの殺人事件が取り上げられる中、それに乗じて決起を企むロボットがいた。

そして謎の女型アステロイド、キュラー。


再調整を終えたロロアちゃんは・・。

ニュートリノエネルギー資源発電所。パワーマン地区。


人間の行動維持が出来ないここは、メカニロボ(人工知能が低い。または無いロボット)とアステロイド(人工知能が人間と変わらず、高度な自己判断が出来る)が働いていた。


「ついに始まった・・!フォレストマンが動き出す!!フォレストマンが動き出すぞ!」

パワーマンは緊張と興奮で、通路に立ち並ぶ高温のニュートリノジェネレーターを叩いた。

彼は元々、ジェネレータやメカニロボを統括する事務用アステロイドであったが、何者かに改造され全身を丸い外骨格とニュートリノエナジーを利用した強大なパワーを有していた。



「馬鹿者!交渉する前に爆発したらどうする!?」

キュラー(所属不明、女型アステロイド)が吠える。

「大丈夫だ、キュラー!。俺が叩いても壊れる代物ではない!おい!ZM-300!水と薬を持ってこい!」

「へい!旦那!」

灰色の細いZM-300は、ジェネレータを繋ぎ合わせる雑務用メカニロボだが、AのコードとBのコードを繋ぎ間違えと、輸送機をバックした拍子に誘導していた仲間を轢いて破壊したので、クビになってしまい。

今ではパワーマンの手下として、秘密回線のとりつぎと部屋の掃除と背中流し、薬の運搬をこなしていた。


「あきれた。まだ、こんな薬を飲んでいるの?いい加減、男型アステロイドとしてビシッとしたらどう?」

「うるさい。人間に楯突くんだ。並みの精神状況でやってられるか!」

パワーマンは上を向くと、つかさずZM-300が四角い口の中に薬と水を投入した。

上手く入らなかった水がパワーマンの口から出て、滴る水が地面に落ち。

ブクブクと蒸発する。

(毒をもって毒を征するとは、まさにこの事ですな。)と、ZR-300が小さく言った。


「ぐむ。興奮は興奮で征する!ZM-300。その腕にグルグル付いてるトゲトゲはなんだ?さっきから刺さって痛いんだが・・」

「これですか旦那!旦那と同じ『改造』ですよ!これで人間めを串刺しにするんでさ!」

ZM-300が改造された腕で得意げにジャブを繰り出す。

キュラーとパワーマンは暫くそれを見つめていた。


「・・・で、話に戻るが、ここの防御体制は。」

「パワーマン、あなたは何も心配はいらないわ。今でも有志の士が続々と集まり決起に動いている。この施設を人質にとれば、人間は犠牲を及ぼす前に降伏する。何も心配はいらない。大丈夫よ。」


パワーマンは心配そうにキュラーを見た。

キュラーの目は、黒いバイザーで分からないが。

口元は笑顔をたたえていた。


「あなたはここに座って行く末を眺めていればいい。フォレストマンがガイアコアを奪って森を焼き。あなたが決起したら。きっと人間は1週間と経たず白旗をあげるでしょうね」


「そうか・・そうか。このパワー、宝の持ち腐れになりそうで残念だ!!ふははははは!」

「よっ!大将!!大統領!!」

パワーマンがいつもの勢いを取り戻し、ZM-300がヨイショした。





「ロロア、再調整が終わったよ!」

「ロロアちゃん!ロロアちゃん!」

「ん?うーん。」

頬をママ(熊のぬいぐるみ)にツンツンされて、私は小さく目を覚ました。

ラボにある台に寝かされていた私は、気を失っていたらしい。

頭についているヘッドギアがヒュンと音をたて、長いこと頭を使っていた余韻が残った。



「あなた、ロロアを!」

「わかった。」

パパが私を抱き起こし、そのまま運んでくれた。

懐かしいパパの匂いがする。

匂いがすると言う事は・・昔の記憶?なのかな。


テーブルユニットはすでに置いてあり、私はちょこんと座って、布巾を首に巻かれた。


チン!


と言う音がして、分子結合が終わった音がした。

「ロロア、カボチャのポタージュだ。口を開けて。」

「ふーふーしないと火傷するわ!」

ママがポタージュを覚まし、パパがスプーンで掬った。


ポタージュの甘い匂いが鼻をくすぐり、私の小さく開いた口から、スープが舌に置かれた。


その瞬間、ポタージュのクリーミーな味わいとカボチャの甘味がアンサンブルとなって唄いだし、そしてピアノの旋律のような玉ねぎのアクセントが舌から頭に讃美歌のように駆け巡った。


ヘッドギアと胸の赤いライフコアが赤く輝き、私は目を見開いてパパとママに言った。

「おいしい!!!」

私はスプーンを取ると、スープのお皿を抱えて食べ始めた。

美味しさが頭を走りぬけ、感動のあまり涙が出た。

「おいしい!!おいしいよママ!!」


私はスープを平らげると、我慢できずにスプーンやお皿をペロペロ舐める。

「ロロア!いけません。」

「ごめんなひゃい!舌かんだ!」

次のスープが出てきて、今度は落ち着いて口に運ぶも、やっぱり美味しくて4杯もおかわりした。

胴体の装甲がお腹に付く。

少しお腹がポッコリ出たのかもしれない。


「ロロア、どうだい?」

「美味しかった!!それに・・」

私は涙の雫を手に取った。

前に涙を流した時、それは嬉し涙だったのだろうか?


涙を見つめるうちに、私が私ではない不思議な感覚がした。

それは・・。

それは・・!

黒い塔に・・燃えさかる道。

助けを求めるロボット達。

私を呼ぶ声。

それは嬉し涙では無かった・・。

私は燃え盛る暗黒の道で泣いている。

知らない男女が道に倒れ、虚ろな目で私を見ている。

私は泣いていた。



場所が、ポタージュの置いてある我が家に戻り。

私は幻覚が引く余韻を感じながら呆然とした。

まだ、壁が大きく迫るような気持ち悪さがある。

「あなた!ロロアが!」

「ロロア、少し休もう!」


「パパ、ママ・・。」

「ここだよロロア!!きっと脳が急激に活性化してパニックを起こしたのだろう。大丈夫だよ、ロロア!大丈夫だから!!」


パパに口を拭いてもらい。

また抱えられて階段を登ると、私の部屋のカプセルベッドに移された。

ベッドのシールドが上下に開き、パパが私を入れると閉まるシーケンスの音楽が鳴った。


「ロロア、急にいろいろな刺激を与えてしまってすまない・・」

「ううん。でも、これで皆と給食が食べれる・・」

「そうね、ロロア。今日はゆっくりお休みなさい。」

ママは私の隣で寝ると、頬にキスをした。

パパはシールドが閉まるまで見てくれていた。

人間の人口を遥かに凌駕するロボットは、種族も性質も異なる。


メカニロボ

※人工知能が人間と同じか低い、または無いロボットの総称。

オートマトンとも呼ばれ、この世界の動物もそう呼ばれる。差別用語に近い。


アステロイド

※人工知能が人間と同じか上のロボット。

人型の他に様々な形をもち、人間のように居住区もあり名前もある。


サイクロイド

※高い電算能力と高い知能、特注のパーツで造られた最高位のロボット。

家柄を気にし、政治の分野に多い。



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