大将、楽子 VS リコ
ここは魔法高校剣道東京大会が行われている日本武道館。
「勝っても負けても、これで最後だ! みんなの想いを一つにして、魔法高校剣道部、絶対に勝つぞ!」
「おお!」
決勝戦、2勝2敗。勝負の行方は、大将戦に委ねられた。
「楽子、がんばって!」
「楽子なら勝てるよ!」
「ありがとう、みんな。私が勝って、みんなで渋谷のセンター街でパレードだ!」
「おお!」
想いを一つにした渋谷高校剣道部の命運は、主将の楽子に託された。
「主将、前へ。」
「はい。」
いざ、楽子、出陣する。
「気圧される!? なんだ!? この威圧感は!?」
立ち位置に立った楽子は間リコと対峙する。
「プレッシャーか!? 私はプレッシャーを受けているのか!?」
楽子はリコを強大な悪魔のような大きな存在に呑み込まれていた。
「あなた、戦う前から、それでは戦いにならないわよ。」
「大丈夫です。私は自分を追い込んでいくタイプなので。」
心配するリコを楽子は強がりを言って凌ぐ。
「いでよ! 私の心の声。」
楽子は自分の心と対話を始める。
「どうしたんだい? 楽子。」
「怖い。怖いの。相手が大物過ぎて、自分が小さな存在に思えて、誰からも必要とされていなくてと思えるくらいに不安で怖いの。」
「大丈夫だよ。それは楽子の心が作り出してしまった大きな巨人なんだ。」
「大きな巨人?」
「相手のことを強い、自分が小さくて敵わないと諦めてしまったら、勝てる戦いも勝てない。でも楽子が相手のことを自分よりも小さい相手だと、自分の方が相手よりも強いんだと思うことが出来たら、決して相手には負けないよ。」
楽子の心の声は、楽子にリコに勝つ術を教えてくれる。
「私の心の恐怖が作り出した大きな巨人か。」
自分の心と話し合った楽子は冷静さを取り戻す。
「表情が変わった? 呼吸も冷静になった。」
リコは楽子が落ち着いたことを不思議に感じた。
「はじめ!」
いよいよ決勝戦が始まった。
「何か吹っ切れたみたいだな。」
「私があなたを強いと思わなければ、私は自分の力をあなたに奪われないで済む! 私は私自身の弱い心を断ち切る! 必殺! 魔法斬り! ラク・ラク。楽子!」
楽子は勇気を振り絞り魔法で自分の弱い心を斬り取った。
「こんどはあなたの番よ! どんなにできる魔法が優れていても、私の竹刀は魔法を斬れるんだから! でやあああああ!」
「私を守ることができる・できる・できる。」
リコは、できる魔法で楽子の攻撃を防ごうとする。
「バカな!? できるが切られた!?」
楽子の魔法斬りがリコのできる魔法を切り裂いた。
「いける! でやあああああ!」
手応えを感じた楽子は勢いに任せて押し切ろうとする。
「斬られたところをつなぎ合わすことができる・できる・できる。」
「なに!?」
リコは切られたできる魔法の箇所を修復した。
「面。」
修復箇所に巻き込まれてしまった楽子は身動きが出来なくなる。
「1本! それまで!」
そこをリコは、ちょこんと楽子に面をいれる。
「やったー! 勝利だ!」
「どや! 優勝やで!」
「やりましたね! マリコ様!」
「全国大会出場を祝って、幸せパンの無料配布イベントを行うわよ!」
バラバラに思えた魔法世田谷高校剣道部は、優勝という言葉で一つにまとまった。
「そんな、主役である、私たちが負けるなんて。」
「終わりよ! 終わり! 勝負は卑怯な手を使ってでも勝たないとおもしろくないわ!? ドキ。」
魔法渋谷高校剣道部員たちは、かなりの勢いで落ち込んだ。
「大丈夫よ! まだ怪獣ちゃんの女子個人戦があるわ!」
「おお!」
栞たちは、なんとか次の目標を決めて、平常心を保とうとするのであった。
「優勝するまで、もう恋なんてしないもん。ウルウル。」
楽子が恋することは当分ないらしい。
つづく。




