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第17魔法少女、夜虎

 ここは魔法高校剣道東京大会が行われている日本武道館。

「どないや! うちの実力は!」

「すごい! マオ! 主人公に勝った!」

「伊達に地獄は見てないで! 見たか! 機会に恵まれない者でも、日々の努力の積み重ねで主人公を倒したぞ! うちは反逆のカリスマや! ワッハッハー!」

 マオは栞を倒し上機嫌で威張り散らしていた。

「マオ。勝利おめでとう。」

「おおきに! マリコ! どうや? このマオ様の大活躍! すごいやろ! ギャッハッハー!」

「そうやって自分は偉いと自慢していると、ファンが減って行くぞ。」

「え?」

「他人とは自慢する人間が大っ嫌いで、人の不幸が大好きだからな。」

「ガーン!」

 マオは自分の言動に後悔する。

「なら、うちはどないせいちゅうねん!?」

「勝てたのは、ファンのみなさんのおかげです。それだけでいい。それだけでファンは、おまえをファンのことも考えてくれる良い人と思い、勝手に応援してくれるだろう。プロのスポーツ選手は、そういったマスコミ対策やファン対策の授業を受けている。だから、ヒーローインタビューなどで、勝ったのは自分のおかげ、などといったバカな発言はしない。」

「マリコはん、勉強になりました。」

「分かればいい。知らなければ対策の立てようがないからな。」

 人生は死ぬまで勉強である。 

「わてが勝てたのは、夜虎はん。あなたのおかげどす。」

「マリコ様の説明を聞いてから態度を変えられても嘘くさいです。」

「しゃあないやろ!? うちはこれから神になるんや! 本音は家に帰って、愛しいあんこちゃんに言うんだ。」

 マオは栞を倒せるほどの修行で強力なスキルを持っているのに、大好きな食べ物が、あんこというだけでメインになりづらいのであった。

「さあ、うちの大親友の夜虎はん。君の身の上話も聞かせてもらおうやないか。」

「大親友!? いつのまに!?」

「まあまあ、細かいことは気にしないで。」

 良い人、幸せのパン、友達、大親友。ただの言葉だけであるが、人間とは「良い」と認識、錯覚してしまう。それが自分の受け止め方なので信じてしまう生き物である。そして、それを人間は否定できない。なぜなら、自分を否定することになるからだ。

「私は、元々は通行人の女の子Cだった。」

 夜虎が自分の過去を話し始めた。

「どこかで聞いたような話やな。」

「私の前の通行人の女の子Bが、エルメス、栞です。」

「なんやて!?」

 そう、夜虎は通行人の女の子Bがエルメスというキャラクターになってしまったので、通行人の女の子CのCPUとして補充されたのだった。

「私はある時、通行人の女の子B先輩に願いました。「私を先輩のようなキャラクターにしてください!」と。すると魔法使いエルメスが現れて「いいでしょう。私も魔法使いになれたし、あなたもキャラクターにしてあげる。」と魔法をかけてもらって、キャラクターになれたのです。」

「普通に、ええ話やないか?」

「違います! 魔女は言いました。「あなたの名前はどうしよう? んん~。そうだ! ちょうど羊羹が食べたいから、とらややをいじって、ヤトラにしましょう。ストーリーは自分で考えてね。バイバイ。」と言って去って行ったのです。」

「なんちゅう悲劇的な名付け親や。まさに育児放棄ならぬ、キャラクターに放棄や。」

 栞は、そういう人間である。

「メインストーリーがもらえなかったので、私は異世界の山や海で遭難しました。そこで死にかけていた私を助けてくれたのが、マリコ様です。だから私は、命の恩人のマリコ様に絶対の忠誠を誓っているのです! マリコ様! どこまでもお供します!」

「勝手にしろ。」

「なんかマリコが良い人みたいな、オチやな。」

 夜虎には、周りの人が冷たそうに思っている間リコが良い人に見えている。

 つづく。

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