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キコキコ VS 谷子

 ここは魔法渋谷高校剣道部の稽古場。渋谷高校剣道部とドキ子軍団の練習試合が行われている。

「それでは大将戦を始めます。」

 遂に戦いは谷子とキコキコの大将に勝者が委ねられることになった。

「はい! キコキコは全力で戦います! 勝利をかわいいドキ子さんに捧げます!」

「よく言った! キコキコは、私の忠臣よ! ドキ。」

 キコキコ。本名、間キコ。まだ中学生。人は彼女のことを、スーパーマキコと呼ぶ。なぜなら彼女のお姉さんは、第10魔法少女の間リコ、スーパーマリコの妹さんである。

「渋井さん、早く、前に。」

 しかし、谷子は現れない。

「渋井さん?」

 谷子は審判疲れで意識を失って倒れていた。

「怪獣ちゃん!?」

 姉の栞も谷子が倒れていることに気がついた。

「救急車を呼べ! 自衛隊に出動要請だ!」

「いいえ! 魔法の方が早いでしょう!」

 泪も結もパニック状態であった。

「怪獣ちゃん!? 大丈夫!? 私を置いて死なないで! ウエエエ~ン!」

 栞は寝ている谷子を揺さぶる。

「練習試合は引き分け! 終わりよ!」

 楽子は、ドキ子軍団との練習試合を強制的に終わらせた。

「谷子ちゃん!? 死なないで!?」

 ドキ子も谷子を心配する。気がつけば谷子の周りに全員が集まっていた。

「キコキコの、できる魔法でなんとかならない?」

「ごめんなさい。お姉ちゃんみたいに回復まではできません。」

 キコキコは、まだ中学生なので姉のリコのように魔法を好き勝手に使えない。

「分かった。このメンツの弱点。」

 その時、ミレミレが意外なことに気がついた。

「全員が魔法少女で主役級のキャラクターばかりだから、回復専門のキャラクターがいないんだわ。」

 年長者のミレミレが事実を突きつける。

「キコキコは、魔法が未熟。」

「ごめんなさい。」

「メロメロは、ただ美しいだけ。」 

「だって私はヒロイン勇者だから。」

「コイコイは、鯉にしか興味がない。」

「恋なら治せますよ。」

「こうなったらドキ子がドキドキを谷子ちゃんに注入するしかない! ドキ。」

「やめい! 私の怪獣ちゃんを殺す気か!」

「ドキ子に任せると、前髪長過ぎガールが死んじゃうと。」

 ドキ子を必死に止める栞。

「そちらサイドは回復できる人はいないの?」

「私は破壊専門だし、泪は?」

「間もなく自衛隊の救助ヘリが到着するはずだ。」

「遅い! 自衛隊は何をやっているんだ!? 結は?」

「使い魔兼家族の癒し女幽霊のおみっちゃんを召喚するしかない!」

「耳かきしかできないだろうが!」

「私は自分に勇気をふりかけるだけだし。」

 渋谷高校剣道部員に回復魔法の使い手はいなかった。

「そして、誰も救急車を呼んでないと。あんたたち、本当に助ける気はあるの?」

 ミレミレの言葉が全員の心に突き刺さる。

「ああ~、女子高生に若返りは諦めるか。」

 ミレミレは何かを差し出す。

「これは?」

「回復薬。私が謎の女で良かったわね。」

「ありがとう。ミレミレさん。」

 栞は谷子に回復薬を飲ませる。

「ゲプゲプッ。」

 谷子は回復薬を飲んで意識を取り戻した。

「怪獣ちゃん!? 良かった! 生きてたのね!」

 栞は絞め殺しそうな勢いで谷子に抱きついた。

「い、痛いよ!? お姉ちゃん!?」

 こうして谷子は一命を取り留めた。

「ミレミレ、回復薬を持っているなら早く出しなさいよ!」

「あれ、ただの水よ。」

「え?」

 ドキ子は鳩が豆鉄砲を食ったよう顔をする。

「前髪長過ぎガールは、ただの脱水症状だもの。水を飲ませれば良くなるわよ。」

 ミレミレは魔法使いのような、謎多き女であった。

「ミレミレ何をしてるの?」

 後日、ミレミレは薬の調合をしていた。

「若返りの薬。」

「諦めてなかったのね。魔法少女になるの。」

 ミレミレ。本当に謎の多い女であった。


 つづく。

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