準備
ここは職員室。
「アンディ! 剣道部の顧問になって!」
猿野楽子たちは剣道部を作るために職員室の安田東先生、略してアンディの元を訪ねていた。
「嫌だ!? なんで俺がならなければいけない!?」
アンディは無駄な抵抗をする。
「カワイイ生徒のお願いじゃない! 聞き入れなさいよ! 谷子ちゃんからもお願いして!」
「え? 私ですか? よろしくお願い致します。」
谷子は丁寧にお願いをした。
「カワイイ怪獣ちゃんが頼んでるだろうが! 頭に土星を落とされたいのか!」
谷子の双子の姉、栞は土星を落とすと脅迫した。ちなみに怪獣ちゃんとは、妹の谷子のことである。
「原子爆弾の発射準備をお願いします。場所は職員室でお願いします。」
泪は自衛隊に電話する。
「もうすぐモーニングが終わってしまう!? 早くしてよね!?」
結は朝食のことしか考えていない。
「新しい土器を発見したぞ! ドキキー!」
ドキ子は騒がしいだけだった。
「分かった!? やるから命だけは助けてくれ!?」
アンディは陥落して、剣道部の顧問を引き受けた。
「やったー! これで剣道部の誕生だわ!」
渋谷高校剣道部が正式に発足した。
「バスケは安西、剣道は安東、ついに俺の時代がやってきた! ワッハッハー!」
アンディは意外と乗り気だった。
「ところで猿野、剣道部を作るのはいいが、稽古場と剣道着と部員はどうするんだ? うちの学校に新設の部活動にくれる予算はないぞ。」
今時の高校はケチだった。
「剣道の稽古場よ! できろ! エル・エル・エルメス!」
栞は魔法を唱えた。学校の屋上に剣道部の稽古場が出来た。壁にはほんのおねえさんのポスターが大量に貼ってある。
「剣道の装備一式よ! でろ! ルイ・ルイ・ルイヴィトン!」
泪は魔法を唱えた。メンバーの剣道着が現れた。泪の剣道着はミリタリーカラーの剣道着だった。
「まだ間に合う! モーニングセット! お願いします! ティファ・ティファ・ティファニー!」
結は魔法を唱えた。優雅な朝食セットが現れた。結は朝食をこよなく愛する。
「女子剣道部は、谷子ちゃん、楽子ちゃん、栞、泪、結、そして主将のドキ子の6人です! ドキドキ。」
こうして渋谷高校剣道部女子は好調なスタートをきった。
「剣道部の男子は作らないのか?」
「今、代官山男が勧誘活動しています。」
少しだけ代官山男の部員勧誘活動を見てみよう。
「剣道部に入ってくれ!」
「アニメ研究会。」
「スマホ部。」
「ママ活部。」
「JK出会い系部。」
「ストーカー部。」
「渋谷の男子高生は変態ばっかりか!? こうなったら個人戦に出場して、楽子にいいところを見せるんだ!」
代官山男は一人で男子剣道部をすることになった。剣道の団体戦はメンバーが5人いる。いないので個人戦しか出れない。またの名を、ボッチ戦。
「おお! 練習試合が決まったぞ!」
「なんという急展開!?」
「今の時代、ラインやツイッター、インスタグラムに投稿すれば、直ぐに拡散するのだ。ワッハッハー!」
「別におまえは偉くない。」
悪乗りするアンディを誰も褒めない。
「対戦相手はどこだ?」
「恵比寿高校だ。」
渋谷高校剣道部の初陣は恵比寿高校に決まった。
「なに!? あの剣道の強豪の恵比寿高校!?」
「おまえ、恵比寿高校剣道部を知っているのか?」
「知りません。ついノリで。」
「なんじゃそりゃ!?」
笑って誤魔化す楽子。
「いいか、恵比寿高校には、恵三姉妹がいる。」
「恵三姉妹!?」
「恵三姉妹は個人戦でも渋谷区では強者に入る。日本人とフィリピン人のハーフでモデルもやっている美人三姉妹だ。」
この検索時にゴチに出ている、ジャニーズのナカシマはフィリピンのハーフと初めて知る。
「大丈夫です! こっちにも渋井一族がいますから! ワッハッハー!」
この時、泪と結の名字も渋井に決まった。遠い親戚でいいじゃない。
つづく。