惜しくとも 仕方なしやと ぬばたまの 髪に別離を とも左様なら
私の髪の毛は黒色で、その色に誇りを持ってはいるけれど
髪を染めている人をいちいち非難したりはしない
他の人の髪の色など、どうでもいいではありませんか
"異世界"というのは、書いて字の通り異なった世界のことを指すのだろう。
だが「この世界」は、文化圏こそ日本と違っているが、前の世界と大きく異なっている程でもない。
西からかどうかわからないが太陽はちゃんと昇ってくるし、朝になったら皆起きてきて労働を始める。小麦のようなものから粉を作り、その粉でパンのようなものを作り食す。喉が乾いたら井戸より水を汲んできて、飲む。その営みは、時代こそ私がいた頃よりも少し前のようだがなんら変わったところのない平凡な日常のように思える。
もちろんモンスターも、魔法の存在もない。
私はこの世界を、"異世界"と呼ぶことに抵抗がある。
かと言って、どう呼べば良いのかと考えあぐねているところだ。
"母"が、私を抱いて家の外に出てくれるようになった。
私は生まれ変わって初めて、外に出る。
時には晴天、時には雨天に。
鼻腔に感じる空気。まだ生えたての、私の髪を撫でる風もぽつりぽつりと音をたてて降る糸雨、地面に根を張る植物も近所に住む大人や子供、のら犬、のら猫まで何もかも前の世界と同じように感じている。
近所の大人や子供たちは、"両親"と同じく何を話しているのか解らなかった。まるで私だけ、外国にいるような感覚だ。
だが私は、間違いなく死んだのだ。
一度鏡、はないようなので水面に映った自分の姿を見てみたことがある。
生前黒かった私の頭髪は、"外国人"のように白くなってしまっていた。白い、という印象であってよくよく見てみると、白系の金髪というべきだろう。
私の髪はそんな色だった。
密かに生前、あの黒髪は私の誇りでもあった。
事ここに至っては仕方のないことだろうが、私は少し寂しさを覚えたのである。
定期更新、です
お読みいただきまして、ありがとうございました。
題名の俳句は自作、そしてテキトーです。
俳句というより都々逸、の出来損ないととらえていただければ。




