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繰り返し叫んでくれよ、君の名を


ペーストなのに。

母上さま、ペースト状の豆を口に突っ込むのは勘弁してください。




ポニーテールにまとめられた金髪に光輝く金の眼をもつ美しい女性が毎日、私の世話を甲斐甲斐しく焼いている。私を見つめるその女性は世話を焼くのが好きなのか、それとも世話を焼く相手が私だからなのか、とても嬉しそうだった。


小さなリビングダイニングに小さなベッドルームしかない平屋の家に、妙齢の男性と女性。そして幼子が同居しているとなればそれはもう、「親子」であろう。あくまでも私の推測でしかないが。

とどのつまりこの世話焼きな女性は、私の母なのだろうと思う。しかしただのベビーシッター、里親等の可能性もないとは言えない。

今のところ、この女性が生母である確証はない。が暫定的に"母"ということにしておこう。そして、その母と同居している男性を暫定的に"父"とする。



なぜ私は、自分の母も父も分からないのか。

それは私が幼子だからではない、まったくこの二人の言っていることが分からないからだ。

日本語でないことは明らかであり、また英語の成績は悪かったものの「英語」ではないことも感覚的に察していた。その他の言語についてはよく分からないが、ここが「日本」ではないことは決定事項である。



実際の赤ん坊とて成長過程で母と父を、認識していくのかもしれないが。

こういう時に天才的言語能力があれば良いのに、と思う。英語すら危うかった私に、そんな才はない。思ったところで、どうにもならないが。

どんな人でも"母国語"が話せないということはないが、"私の場合"はどうなるのだろうか。


繰り返し繰り返し、母父二人の話している言葉を聞いていても何が日本語で言う"何"なのかがまったく分からない。


私は父や母、自らの名前すら未だわからないままだ。父母が今の今まで私の名前を呼ばなかったということはないと思うが、此処が名前が付けられない時代や国、階級という可能性もある。



母が食べさせてくれるこのペースト状の料理もただ鼻に抜ける臭いが豆に似ているだけで、本当に"豆のペースト"かどうかわからない。


まだ私が未だ赤ん坊だから深刻な問題にはなっていないがこのまま成長して、もし言葉がわからないままだったらと思うと



ペーストも喉を通らない。




お読みいただきまして、ありがとうございました。

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