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アンブラインドワールド  作者: だかずお
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〜 恐るべしラルフォート 〜


ラルフォート·ナザレ

奴は道化師の姿を好む、化粧で厚く被われた表情は自身の内面とは裏腹に終始笑っていた。

男なのか女なのか?はたまた両性具有なのか?誰も知らない。

一つ言える事は、奴は肉体を持ち13万年程生きている。

これまで奴のしてきた所業は地球に愛や希望と言うエネルギーが根付こうとする時に必ずその根を根絶やしにしてきたこと。

奴は人間の恐怖、憎悪、罪悪感を好んで食す、食すと言っても文字通り食べるわけではない、そのエネルギーを自身のエネルギーに取り込み生きながらえているのだ。

そう、今と言う時期はラルフォートにとって最大のエンターテイメントの時、人間はこれから来る地獄を知らない、食す、食す、食す、最高の美味たる食事を。熟せ、人間の負のエネルギーよ、私と闇の主の為に。世界を闇で包むのだ。

ラルフォートは誰ともつるまない、今は自身が主と呼ぶその存在を敬愛するのみ。


北條とラルフォートは真っ黒の球体に包まれていた。


「てめぇ、神井、北條さんはお前が倒すんだろ?良いのかよ放っておいて」タケルが叫ぶ


「あのピエロ野郎が北條より強ければ、俺がそいつを殺すまで」


「てめぇはどうしてそこまで力を?」


「話はそこまでだ」


タケルの背後から聞こえる声


「光堂さんっ」


「タケル、今のお前に出来ることはない。とにかくここから出来るだけ遠くに逃げろ」


「やだよ、俺だけ逃げるなんて」


「こいつは予想以上に厳しい状況になった、もし北條さんが今死ねば、地球は終わる、俺は神井を倒し、すぐに北條さんを助けに行く」


「なら光堂さん、俺がこいつとやりますよ。その間に北條さんを」


「ハッハッハ笑わせるな、お前がこの俺と?カスみたいな霊力しか持たないお前が俺を?アッハッハッハ滑稽すぎるぜ」


「タケル、残念だがそれは出来ない、今お前を失う訳にはいかないんだ」


その時だった、一同を凍りつかせる出来事が目の前に起こる。


ボトッ ボト ボト ボトッ グシャッ

北條とラルフォートを包んだ黒い球体から何かの塊が細切れになり落っこちて来たのだ。


「え?」それを目にしたタケルは一瞬何を目にしてるのか分からなかった「なんだこれは?」

頭が理解する前に、タケルは嗚咽していた。

「グエエッ」


「うっ、嘘だろ」光堂が立ちつくす。

神井も予想以上に速い決着に驚いていた。

そう、それはバラバラになった北條の肉体であったのだ。


「君達滑稽も滑稽、この私に立ち向かうなんて事はしてはいけないの。ユーアンダスタン?」


うっ、嘘だろ 北條さんが死んだ。光堂は動けず、その場に立ち尽くしていた。

嘘だろ·······


「ピエロ野郎、次は俺が相手だ」神井が叫んだ瞬間、ラルフォートが不気味な笑顔を神井に向けた。

ラルフォートの顔に描かれた化粧は笑顔、どんな時にも不気味な笑みを終始こちらに向ける、それはまるで他の感情が欠落してるかの様、相手の心が全く見えず、行動と相容れ無い、その笑顔が不気味で恐ろしかった。


ニカッ 

「君、素質あるね、君の波動は闇を主体に動く、私の家来にしてあげるね」ニカッ


「ふざけるな」神井が叫んだ瞬間、ラルフォートは既に神井の背後にいた。


「勘違いしないでね、お願いしたんじゃないよ、命令したんだ」

ズゴッ

鈍く嫌な大きな音が鳴り響く。

「私の奴隷として生きるしかない」神井は地面に倒れ込んだ。


あの神井が一瞬で、ラルフォートここまで強いとはな。

光堂が拳を力強く握りしめる。

俺が今唯一出来る事、命に代えてタケルを生かす。

「タケル逃げろ、ここは俺が時間を稼ぐ」


「君、その白いロングコートにそのマーク、ああ聞いた事あるよ、連合に優秀な地球出身の子が居るって、えーっと名前は確か」


「コードー」

ラルフォートの耳元で聞こえたその声は、既にラルフォートのすぐ近く、光堂はラルフォートの顔の真ん前に居た。


「速いっ」


「消えなラルフォート」

空気を切り裂く様な物凄い音がした直後、ラルフォートの首を光堂の霊波動が吹き飛ばしていた。

首のないラルフォートが動かず立っている。


「やったぜ、光堂さん」


「馬鹿野郎タケル、逃げろと言っただろ」


首のない道化師の手足がプラプラ動き始める

「バインっばあアン」なんと次の瞬間、首が再生したのだ。


「闇の力は無敵、それにひきかえダサいね北條とか言うのは、何も出来ずに死んだクックッククッは〜愉快、爽快、リフレッシュ」


「しかし、コード君、君がさっきから逃がそうとしてる、その子、何か大切な子?」


「は〜〜なる程、なる程、そういう、大切なものなら先に殺しちゃおう」


空を斬る様な音が耳元でしたと思った瞬間

タケルは自分の首元近く、何かを感じた。

それは本当に一瞬の出来事。


タケルの首の真横、ラルフォートの拳を止めていたのは光堂


「それを俺が却下する」


「光堂さん」


「コード君。確かに優秀、雑魚ではない、だが君はまだ若い、戦闘に関しては経験不足。私と戦うには、ちょい速すぎる、連合にも強いの居るだろ、隊長クラスと一緒に行動するべきだったね」


「さようなら光堂君」


「ただじゃ死んでやらねぇ、タケル全力で逃げろ」


「貴様、私と一緒に自爆するつもりか」


「ああ、そうだよ」


その瞬間だった。

信じられない事が起こったのだ。


「我則 宇宙なり 我万物と一体なり」


「それ即ち無限なり」


辺りに響き渡ったのは北條の声


ヒョオオオオーーーーーーーーーーッ

凄まじい光が辺りを包んだ。


北條動く





〜 アンブラインドワールド 〜




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