〜 蘇る魂 〜
目の前に現れたとてつもない霊気
まっ、まずいこの霊気は。必死に脚の震えを抑えながらジョーは今しがた去った北條、連合の隊長にテレパシーを送る。
「無駄だ、奴の闇の霊気は既に誰にも感知出来ない様に、この一帯を隔離している」この状態、念入りに探らなければ気付かないだろう、流石の北條さんも、今出たばかりの星の霊力を真剣に感知しようとは思わない筈だ。
光堂が前に出る
「俺達でなんとかするしかない」
ジョーの額からは、大量の汗がダラダラと垂れ流れ続けてる。
へへへっ、なんとかって嘘ですよね、なんかの悪い夢ですよね?この尋常ならぬ霊力。
ねぇ光堂さん、俺には恐ろしくて怖くて、相手の顔すら見れないんですよ。
ガタガタガタガタッ
目を合わせられない、合わせたらどうにかなってしまいそうで。
自分の精神が恐怖で崩壊してしまう様なそんな…
ガタガタッ
光堂さん、どうしてあなたはこんな恐ろしい相手を直視出来るんですか?
目の前に立つこの化け物の目を見るなんて……
ねぇ光堂さん・・・・すいません、俺には恐ろし過ぎて前を向く勇気がありません
神井はラルフォート戦に感じた恐怖を思い出していた。
なんだ俺は?
なにを怖れてる?
くそが、憎い、怯える弱き自分が「うおおおあおおおおっ」神井は気付いたら恐怖と怒りに飲まれ叫んでいた。
その瞬間、神井の肩を凄まじい霊気で叩き、気絶させたのは光堂であった。
「光堂さん、何してんだ?どうして神井を」
「こいつは立ち向かおうとしていた、今向かったらどうなっていたか想像はつくなタケル」
「ひっひいいっこっ怖いウキ〜〜、絶対に目なんか合わせちゃいけないウキ」
「ぼうや、妾の顔を見てみよ、お前に地獄以上の苦痛を永遠に与える者ぞ、妾は女狐」
光堂がタケルの前へ、女狐をタケルの視界から遮る様に立つ。
「女狐、なるほど、どおりで知っている名の訳だ」
「おや、妾に向かってくるのか」
「とある時代、日本の国を滅亡まで追い込もうとした怪物が、闇の主の波動に引き寄せられ、この時代に転生してきたか。お前の事は良く知っている」
「ふふふっ、そうか」
光堂と女狐が睨み合う。
「光堂さん、万全ですらないじゃ無いですか、敵はクラーケンを超える本当の化物、逃げてください」ジョーが叫ぶ。
「ジョー俺が時間を稼ぐ、みんなを連れて逃げろ」
振り向いた光堂の瞳を見て、ジョーは覚悟を決めた
「は?何言ってんだよ光堂さん、あんたを置いて逃げるなんて」
そう言ったタケルの肩を引っ張ったのは、ジョーだった。
「全員死ぬか、一人の命か、の瀬戸際だ。光堂さんの覚悟を無駄にするな」
くそっ、光堂さん、あなたの覚悟を決めた瞳を見たら、従うしかないじゃないですか。
ジョーの瞳から溢れ落ちる涙。
「ジョー何言ってんだよ正気かよ?あんな化物を一人でなんて」
「馬鹿野郎、なら俺たちが束になれば勝てるのか?」
タケルは言葉に詰まる。
「闇の門、狐火」光堂の周りに黒い門が現れ、その中から放出された真っ黒の黒炎が光堂を取り囲む。
ああ、光堂さんが死んじまう
「光堂さん」ジョーの手を振りしきって走ったのはタケル
「馬鹿よせ」
光堂も同時に自身の身体を霊気で包む。
「発火」
ズガアアアアアアアアアアアアアアアンッ
ペドループ星の大地が揺れる。
「ちっ、なんだよこの化物はよ、俺たちもタケルの友達を援護するぞ」ブラックが言った。
「ああ、地球人には助けられっぱなしだからな」小人達が女狐に向かって行く。
「タケル、お前は逃げろ、さっきのあんちゃんの意志を無駄にするな」
その瞬間だった一同は言葉を失う。
目の前、女狐が右手に具現化した霊気は、皆が居る辺り一帯を、軽く破壊出来る程の霊気だった。
「嘘だろ、なぁ、なんだよこんなのって」タケルが声に出す。
「まずは貴様ら全員を皆殺しにしようかねぇ」
ゴオオオオオオオオオーーー
真っ黒の黒炎の球体が、出現した門から放出される
この何かが、凄まじい勢いで燃え尽きている様な音、そして、この身体が今にも溶けそうなほどの高温
死を覚悟した瞬間だった。
「え?まだ生きてる?」
その真っ黒な霊波動を受け止めていたのは光堂だった。
「なにをモタモタしてんだ、この間に逃げろって言ってるだろ」
「馬鹿野郎、光堂さんを置いて行けるかよ」
「タケル、お前にはこれからやらなければいけない事がある、お前は生きなければいけないんだ」
タケルは光堂の前に立った。
「なら、俺はあんたと一緒に戦って生き残る事を選ぶ」
その時、神井が立ち上がる「貴様、光堂、よくも俺を」
「ふぅ〜、ったく」光堂が小さなため息をつく。
「お前達なんとかするなら目の前の相手を直視しろ、次が来るぞ」
タケル、神井、光堂が前を向く。
目の前でほくそ笑む女狐「さあ、これはどうかな」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ〜〜
「なぁ、光堂さんあれ止められるのか?」
「さあな、やるしかねぇだろ」
全ての門から放出された球体は一つになり、先程の倍はある程の黒炎の球体と化した
このままじゃ全員皆殺しにされる
光堂が拳を強く握りしめた
「お前達これを止められなきゃ、全員全滅だ」
「分かってますよ」「くそっ、黙ってろ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオ〜〜ッ
巨大な黒炎の球体が向かってくる
「くそっ、でけえっ」
「受け止めるしかない、惑星に落ちたら多くの命が失われる」
光堂が叫ぶ
三人は身体全身に霊気を纏った
「ぐっ、ぐぅおおおおおおおっ、だめだキツイキツイキツイキツイキツイキツイキツイキツイキツイ」タケルは自分の腕が焼け焦げる感覚に襲われる。
「くそおおおお〜〜〜っ駄目か」
その時だった、女狐の霊気が一瞬静まったのだ。
「はぁ、はぁ、一体どうしたんだ?」辺りを見回すタケル
光堂は二つの影を見て微笑んだ「選手交代だ」
「え?」
「なんだ?妾の記憶に残るかすかな記憶」
「何かを思い出すか…そりゃそうだろ女狐、お前は私の親友に敗北したんだ」
「すまない光堂、お前の居場所が感知出来辛く、少々遅れた」
「大丈夫ですよ。まだ生きてますから」
「道来隊長」
この霊気なにか覚えがある、女狐は心に引っ掛かる何かを感じた。そうか、こいつらから懐かしさを感じる訳だ。
「貴様ら、まさかあの憎き男の……」
女狐の背後だった。
「そうだよ」ザアアアンッ
女狐は刀を躱す
「なんだ貴様?」ギロリ
「おいっ太一、無理はするな」
「はいっ、道来さん」
「お前達の波動、憎きあの男を思い出した、これは、妾の前世の記憶」
「ああ、思いだして貰わなきゃ困る」
「貴様達まさか、真堂丸の仲間」
「ああそうだよ、真の兄貴の仲間だ」
「真堂丸」
「ああ、そうだ、妾を敗北に追いやったあの男」
女狐は不気味な笑みを浮かべ、両手から霊気を放つ「貴様らが存在してるのなら奴もこの時代に?」
クックック、今日は殺さないでやろう、覚えておけ妾が奴共々、貴様らも皆殺しにする」
ゴゴゴゴゴゴゴゴオオオ〜〜ッ
女狐はとてつもない霊波動を放ち、消えた。
近付いてくる黒い霊気の魂
「道来隊長」光堂が叫ぶ。
「こりゃ、一人じゃ厳しい、皆手伝ってくれ」
「了解」
ズゴオオオッオオオオオンッ
「女狐、さすがに強いな、転生して更に霊力を磨いた様だな」道来は宇宙を見上げていた。
「すまない、お前を探す為、この星の中の霊気を探ってたんだが、手間取ってしまった」
「いや、助かりましたよ道来さん」光堂が地面に寝転び言った。
「光堂さん、さっき、この人のこと隊長って」
「ああ、そうだタケル、この道来さんは連合の隊長」
「そして俺は弟分の太一だ」
タケルもまた、腰が抜けた様に地面に座り込んだ「あんな化物までいるのかよ、あんなの人間が勝てる相手じゃないぜ、これからどうすりゃ良いんだって感じになっちまった」
「いや、奴はかつて人間によって敗北したんだ」太一が言った。
「嘘だろ、あんな奴を人間が」
「タケル、お前は知っておいたほうが良いから話そう」光堂が話始める。
「かつてお前の住む、日本の歴史にこんな時代があった、大帝国と言う勢力が国を支配している時代、あまりにも酷く、人々の心に多くの不安と恐怖を植え付けたその時代は、歴史からは隠され、消される事となった、事実、その時代は地球の破滅の危機に繋がる時代だったんだ」
「地球の破滅?」
「そうだ、もし大帝国が日本を支配してたら、その勢力はいずれ世界規模に広がり地球はやがて崩壊していたんだ」
「その闇が覆う時代に自らの命を懸け、立ち上がった者達が居た、俺たち宇宙の歴史書では地球の光としていまだに地球の救世主として扱われてますがね」光堂がほくそ笑み、太一を見た。
「よしてくれよ光堂、照れるじゃねえか、俺なんて何もしてねえも同然だよ、真の兄貴や文太の兄貴、道来さん達、みんなのおかげだよ」
「そう、彼らのおかげで地球のパラダイムが大きくシフトしたんだ、時の流れが闇に飲まれず光が貫いた瞬間だった」
「だがなタケル、今の時代はそれが地球規模じゃない、宇宙規模で起ころうとしている、宇宙全体が闇に飲まれようとしているんだ」
「光堂さん正直俺は安心したぜ、女狐みたいな化物が居てどうにもならないって思ったけど、ちゃんと切り札があるんじゃないっすか、連合の隊長にも、もちろんその真の兄貴、文太の兄貴って人達も居るんでしょ、こっちもみんなで手を合わせりゃなんとかなりそうな気がしてきましたよ」
「残念だが彼らは居ない」
「へ?」
「どうしてっすか?」
その時だった「うるせぇなてめぇ、居ないもんは居ないんだよ」タケルの首根っこを掴み持ち上げたのは太一だった。
「よせ太一」
道来の言葉で太一は手を放す。
「理由か・・・」光堂が言葉に詰まった瞬間
道来が続けた「今は知る必要はない」
「わりぃな、ちょっと熱くなっちまって」タケルに手を差し出す太一
「俺の名前は太一よろしくな、であの人は道来さん」
「よっ、よろしくっす、タケルです」
「おっ、ペレーにジョーも久しぶり」
「太一ウキ〜〜」「お久しぶりです」
道来は一人目の前を見つめていた。
女狐……
なんの因果か、こうして時は流れ、宇宙で再び再会する事になるとはな。
道来の目の前に広がるそれは壮大な宇宙
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ〜〜オオオ〜〜ッ
とある宇宙の果ての惑星
「まさかなあいつらもこのパラダイムの宇宙に存在してやがったか」
「ああ、そのようだ」不気味にほくそ笑む女狐
「ああ、実に不愉快だが、復讐が出来るという点では有り難い」
不気味な鋭い牙を光らせ笑う鬼神。
そう、そいつはかつて、文太と真堂丸達を苦しめた鬼の化物。
〜アンブラインドワールド〜




