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アンブラインドワールド  作者: だかずお
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〜 蠢き出す者達 〜



現在、ラルフォート襲撃の日の夜、俺と神井は北條さんと出会ったこの場所に暫く住み込む事になった。


ちゃんと一人部屋を借りられ、神井と違う場所で寝れるのは嬉しかったが、やはり慣れ親しんだ家のベッドでぐっすり眠りたい。

光堂さんがうちの親にはうまく事情を伝えといてくれると言っていたが、一体なんと言うのかは気になるところだ。

それよりいつ帰れるかも分からない今、無償に母親に会いたいと思う、友達に、学校に行きたいとまで思う、自分にこんな感情が浮かんだ事に、正直俺は驚いていた。

いきなり突然として、当たり前の日常に帰れなくなる時、人は無性に、なんとも思わず接してた人達、今迄退屈に感じた平穏な日々が恋しくなるものなのかも知れない。

にしても、肝心な事を、まだ光堂さんは俺に隠してる気がした。

何故光堂さんが俺のもとに来たのか?

俺ってそんな凄い存在なのか?

そんな事を思い、少し悦に浸り笑う、そんな自分の楽天さと余裕に、少し心が安心した気がした。


しかし、その日の夜は不安しかなかった、俺の将来は?

いや、それより地球はどうなっちまうんだ?

ラルフォートの存在を見て、知らなかった現実を知ってしまった今、光堂さん達の話が全くのデタラメでない事が分かってしまった。

正直夢だったら、こないだまで普通に学校に通ってたあの日常に帰りたい。

これが夢だったら、あの当たり前の日常が、飽き飽きしていた日々が恋しくなるなるて……そんな事を思ってはいつまでも寝られなかった。

もうあの日々には戻れないのか……


「北條さん二人を頼みます」


「分かりました。君は宇宙連合に一旦戻るのかね?」


「やる事は山積みですから、それと」


「分かっています、ラルフォートクラスの力を持つものでもテレポートで入れない結界を張っておきます」


「それにタケル君の事でしょう」


「まいったな、北條さんには全てお見通しですね」


「もちろん」


「それと北條さん、俺はどうにも神井が後に厄介な敵になるんじゃないかって正直心配があります」


「奴は闇を基盤に宇宙エネルギーを使っています、それが行き着くところは」


「第二のラルフォートや、彼が崇拝する主のように成り兼ねないと言いたいんだね」


「はい」


「全ての可能性があります、絶対に未来はこうなるとは誰にも分からない。

私には全ての未来や過去が見えますが、それは無限にある一つの可能性に過ぎません、未来は小さな選択や変化で、どの方向にも、無数に道は伸びています、だから私の出来ることはその者を信頼する事です、未来は選べるのですから」


光堂の口角は薄っすらと上がり、歩き出す。


「それと光堂君、宇宙連合も····」


「分かってます、連合メンバーの中に裏切り者が潜んでる可能性がある事も」


「北條さん、テレパシーは?」


「もちろん、出来ますよ」


「それなら、何かあったら連絡下さい。にしても、俺はやっぱり対面してる時は口に出して言葉を発する会話のが好きです、地球で人間を生きた癖でしょうかね、だから仲間とは必ず声に出して話して会話してますよ」光堂は笑った。


「私もそうした方が好きですよ」


「じゃあ北條さん、二人をよろしくお願いします」


「光堂君、君もくれぐれも気を付けなさい。地球上に闇のバイブレーションが増幅してきていますから、宇宙全土にも、この流れは、すぐに拡大しようとするでしょう」


「はい、不安の鼓動が宇宙で広がってるのを感じます、全ては繋がっていますから」


ヒュオオオーーーッ


翌朝からさっそく俺たちの修行は始まった。


「さて、タケル君、神井君始めましょう」北條が言った。


どうやら光堂さんの姿は見当たらない、昨夜一旦帰ったのだろう。

挨拶くらいしてくれても良いのにと思ったが、そんな所が光堂さんらしくもある。


「では右手に円を描くイメージで球体を作ってみて下さい」


「え?そんなの無茶っすよ北條さん」


ビュオンッ

空気を裂く様な音が鳴り響いた直後

神井の右腕に薄っすらと暗い球体が浮かび上がっていた。

「北條、俺とこいつを一緒にするな、こんな出来損ないと共に修行など虫唾が走る」


「んだとぉ神井」


「二人共そこまで、君達は一緒に修行してもらう、それが嫌なら何も教えることはありません、神井君良いですね」


「ちっ」


「タケル君、初めから神井君の様にやるのは無理です、自分のペースで良い、まずは頭の中のイメージで円を描くんです」


「分かりましたよ」くそっ、全くこんなの出来る気がしない現実離れしすぎだろ、こんな事、くそっ神井、こいつだけには負けたくない。それに俺は自分が無力だなんて認めねぇ。


神井君か…

恐るべき才だ、この年で霊力をここまで操れるとは。

北條の瞳にはしっかりと映っていた、神井の霊力の源泉が真っ暗な心に巣食う闇の中から流れている事を。

底が見えない程の怒り、そして果てしなく広がる何かに対する恐れ……


その頃

「ホルロ、戻ったぜ」


ホルロは光堂が現在所属するチームの隊長にあたる。

身長140センチくらい、薄水色の肌の色に黄色いまん丸の瞳。

頭には髪はなく、一本、頭の中心から、先の丸い触覚みたいなものがはえている。


「光堂、帰って来たか、全く信じられない事になってる、闇の主が、この宇宙で目覚め始めて、今までの宇宙の法則が、崩れ始めている」


「既に、ここの次元では、波動の違いすぎるパラレルワールドへの移行は不可能になった、互いに違う方向に走り出した電車に乗り換えるのは、もはや不可能、言いたく無いけど、こちらは先の見えない地獄行きの電車、つまりこの負の宇宙から、陽の宇宙移行への道は既に完全不可能って訳だ」


「この意味の真に恐ろしいところは、これが永遠に関連づけられて行われてしまう事だ。

今迄は、肉体を脱いだ霊体は各々の目指すフィールドに向かい、新たな生をやったり、やらなかったりと自身の意志によって決定づけられていた、しかし今は、死んで霊体になっても、全ての魂は、この次元の宇宙に再び強制的に呼び戻されるか、闇の主の意志の通りにさせられてしまう、つまり闇の主が全てを支配する事になる」


光堂は手に持つウイスキーを飲んだ「やっぱりウイスキーはストレートに限るな」


「君も僕も物好きだよ、自らこの地獄に残ったんだから、もう完全に逃げられないよ、僕らは不可能に挑戦したんだ。この意味は闇の主と向き合った時、自ずとも気づく事になるだろう」


「ホルロ、連合の隊長達はどう動く?」


「今はみんな大忙しさ、すぐに君の任務にも他のチームの隊長を送るから待っててくれ」


「そいつは頼もしいね、なるべく一緒に仕事しやすい隊長をよろしく頼むぜ、隊長クラスはどうにも癖が強いからな」


グビッ「かーっ美味い」


「全く君はどんな状況でも変わらないね、それにしても、いよいよやって来てしまったね、宇宙の歴史上ここまで闇の勢力の波動が高くなるのは初だ、神は我々に何を望んでるんだろうね?この危機をどうしろと」


「ホルロあんたらしくもねぇ、いつも言ってるじゃないか、どんな時代も、闇がでかくなるなら、それ以上の光を担えば良いと、今回もそれだけの話だろ」


「ふっ、簡単に言ってくれるね、まあそうだね、どんな試練もその者に乗り越えられるから与えられる、君が教えてくれた、そんな地球の言葉を思い出すよ」


「光堂、全宇宙のこの危機を皆でひとつになり乗り越えるぞ」


「ああ、最初からそれしか考えてないさ」


我々は、想像し得る、最も恐ろしい可能性の未来を持つ、最悪なパラレルワールドを選んだのだ。


その頃、修行に励むタケルは全く進まずにいた。

「あほか、こんなの出来る訳ねーだろ」


先の見えない修行は続く


同時刻とある宇宙


「聞いたか、あのラルフォートが地球で連合の奴らとやりあったみたいだぜ、ラルフォートが動くって事は、いよいよこの宇宙も闇の勢力にとって最高の時代になる前触れ、たまらねぇ」


「でもよ俺たちみたいな雑魚じゃ、結局強大な力を持つ闇の者達にこき使われるだけだぜきっと、今のうちに身を隠しながら余り者の人間とかを食ったりさ」


「ふざけるなこんなチャンス滅多にねぇ、俺はのし上がるぜ俺が主に認められる為に」


ゾクッ

背後に異様な気配が走る

この瞬間先程の言葉を発した者は、自分はなんと愚かだったんだろうと後悔した。

ああ俺は永遠に奴隷で良い、そう奴隷で幸せだ。

宇宙全土に存在する、こんな強大な闇の存在達と肩を並べて立てるはずがない、すぐに食われるのは己だ。


背後に存在する者は狐の尾っぽを振りかざす。


「真に良き時代が到来した、なんだこの心地よい程の恐怖を感じる空間。

妾はこの時の為、意識を閉じ、身を潜めていたのやも知れない、いや、何者かが妾を目覚めさせた様だ、永きに渡る眠りから」


「そっ、そそそ、それはきっと主の目覚めに呼応して、宇宙に宿る闇の存在達が、復活したのかと思われます」勇気を出して喋りかけてみた、あまりの恐怖に頭は背後を振り向けなかった。

己はこの者の永遠の奴隷で良い、逆らうなど絶対に不可能だろう。

この者の側につけるのなら奴隷でもなんでもやる。

俺を奴隷として扱ってくれ。


ゴロン その者の首は地面を転がっていた。


「ひっひぃぃぃつっ」


「誰が喋って良いと申した」


「お願いです、私めの命だけは」


ゴロン


地面に転がる二つの首を踏みつけた グシャッ

ああ、妾は確か、いつぞやの時代に女狐と名乗っていた気がする。

女狐は突如真横に気配を感じる「誰じゃ?」


「私は死神、主の波動が宇宙に流れ込み目覚めた様ですね、あなたは強力な闇の波動を秘めている、しかし少し強くならねばいけません、でなければいつぞやの時代の様に、光の存在に敗北してしまいますよ」

ニヤリ


女狐には、その言葉がどことなく身に覚えがあった。そう、妾は敗北したのだ。何者かに妾は敗北した。


「お主強いな、妾を更に強く出来ると申すか」


「霊力を身につけさせます、共に闇の主に尽くしませんか?宇宙を支配するのです」


「話を聞こうぞ」


この時、宇宙の歴史上、人々を震え上がらせて来た強大な闇の存在達が宇宙全土で目覚め始めていた




〜 アンブラインドワールド 〜




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