僕に専属メイドがつくわけない!
最近忙しくてなかなか更新できませんでした、こちらの都合で遅くなりすみませんでした。
「ねぇ、お兄ちゃんもうお話終わった?」
後ろで僕と母さんが話終わるのを待っていたリンが聞いてきた。
「うん、ちょうど終わったよ」
「じゃあ、お兄ちゃんのお部屋にご案内するね!」
そうか、もう今日からここに住むのか、ん?
ちょっと待てよ、生活に必要なものを1つも持ってきてないぞ。
「あのー、ここに住むのはいいんだけどせめて着替えぐらいは家から持ってきたいので一回帰ってもいいですか?」
「お兄ちゃんの物は家から全部こっちに運び込んであるから大丈夫ってさっき須原が言ってたよ」
え、いつの間に僕のものをここに持ってきたんだろう、と高城さんの方を見てみると。
「メイドですから(キリッ)」
「あ、そうですか」
うん、これは触れちゃいけないやつだ。
「お兄ちゃん、じゃあお部屋に案内するね」
「うん、じゃあリンにお願いしようかな」
さて、これから行く部屋が僕の新生活の拠点になるのか、なんだかワクワクしてきたな。
母さんと話した部屋から出て長い廊下を進んでいきます、この間にも高城さんが着ているメイド服と同じものを着た人がすれ違う度にこちらを向きお辞儀をしてくるのでとても変な感じがした。
そうして五人ぐらいとすれ違い歩いていくと1つの扉の前でリンが止まり、扉を勢いよく開いた。
「お兄ちゃん、ここがこれからお兄ちゃんが生活する部屋だよ!」
こっちを振り向きながらリンが元気よく言い放った。
「ささ、早く入って入って」
「ちょっ、わかったからそんなに袖を引っ張るなって」
そうしてリンに導かれるままに僕は部屋の中に入っていった。
部屋の大きさは元の僕の家のリビングより広く僕一人で生活するには少し広すぎるように感じた、部屋の中には大きな机、本棚、クローゼット、タンス、テレビが置いてあり本棚の中には僕の漫画や小説が入っていた。
部屋は全体的に洋室みたいな感じで昔泊まりにいったホテルをなんとなく思い出した。
部屋の奥には二人も寝れそうな大きなベッドがありその上に置いてあるシーツがモゾモゾ動いていて...って、何かが布団の中にいる!?
「う、うーん...」
え、えっと多分この感じは猫とかじゃなくて人だよね、とりあえずこのシーツをひっぺがすか。
「とりゃ」
そうやってシーツを取るとそこにはメイド服が着崩れて物凄く目のやり場に困るような格好をした女性が一人寝ていた。
年齢は僕より高そうで少し日本人離れをした外国人のような整った顔つきをしていてそれに赤みがかったショートカットの髪がとてもよくマッチしていた、そして何より女性の胸部についている母性の象徴がとても大きかった、それはもう着崩れしているメイド服から下手をすればこぼれ落ちるんじゃないかと思うぐらい大きかった。
と、僕がベッドの上にいる誰かのことを見ていると後ろからリンが
「お兄ちゃん、なんでベッドの方をみて固まってるの?」
そう言いながらこちらに近づいてきた、そしてベッドで寝てる人をみた瞬間。
「あー、コマちゃんまたお仕事サボってお昼寝してるー!」
どうやらこの反応からしてリンと、このコマちゃんと呼ばれていた人物は顔見知りらしい。
「ん、んぅー...何ですかうるさいですねー」
そう言いながら僕が取った毛布をまた自分にかけだした。
「うるさい、ではないですよ奥村さん」
僕の後ろから高城さんが声をかけた、その瞬間寝ていた人が布団から飛び起き綺麗な土下座の体制を取っていた、その時間約二秒足らず。
「す、すいません、ベッドメイキングをしていて、気がついたら寝てたんですよ!」
いや、ベッドメイキングをしていたならシーツにくるまれながら寝てないでしょ、と言うかベッドメイキングをしながら寝たりしないでしょ、と僕が思っていると。
「全く、ベッドメイキングをしながら寝たりしないでしょう、昼寝を隠すのならもう少しましなものを考えなさい」
「い、いや別に昼寝なんて...って、すいませんごめんなさい昼寝をしようとしてましたもう嘘をつかないのでそのマリア様特製のお仕置きグッズが入った袋はしまってくださいお願いします。」
と、さっきまでしていた土下座をより深くしながら本気で謝っています、あの高城さんが待っている袋が原因みたいで、お仕置きグッズが何とかって言ってたけどあれは何なんだろう?
「はぁ、まぁ今回は龍太さまもいらっしゃることですし不問にしてしてあげましょう」
「ありがとうございます、ところで龍太さまって聞こえたんですけど」
「あぁ、確かあなたが専属のメイドになるんでしたね、全くもっといい人はいなかったのか、くれぐれも迷惑をかけないでくださいよ」
何だか僕のことについて話してるみたいだ、でも専属とか迷惑ってどういう意味だろう?
「それでは龍太さま、ご紹介いたしますこの方は「ちょっと待った、自己紹介ぐらいしっかり自分でやります!」
「...そうですか、わかりました」
「それじゃあ、改めて初めまして私は今日から龍太さまの専属メイドになる奥村小町って言います、これからよろしくね!」
「えぇ!専属メイド!?そんなのがつくなんて聞いてませんよ?」
「いえいえ、栗原グループのご子息ともなれば専属メイドの一人ぐらい、本当はもっとつけたかったのですがマリアさまが一人で十分だとおっしゃいます、しかも事もあろうに奥村さんを推薦なさるなんて」
うん、母さん本当にファインプレイだよ、このまま高城さんの言うと通りになってたら四六時中気が休まらないだろうし、幸いこの奥村さんはとても話しやすそうで助かった。
「ちょっと、そんな風に言うことないじゃないですか!」
「何を言っているのです、あなたはいつも問題ばかり起こして私に迷惑ばかりかけているのに、そんな人が龍太さまの専属メイドたなんて、今すぐにでも私が代わりたいですよ」
「メイド長にはもうリンちゃんがいるでしょ!」
「二人同時にお世話するぐらいなど私にとってはそんなことなんの支障もありません」
「またメイド長はそうやって・・・」
この二人あまり仲がよくないのかな?
「ねぇリン、この二人っていつもこうなの?」
「うん、いつもこうだよ」
どうやら毎度恒例らしい。
「この二人って仲が悪いの?」
「んー、私とお母さん以外は仲が悪いって言うけど私たちはそこまで悪いと思わないんだよね」
リンにはこの二人の言い争いが仲が悪いようには見えないのか...
「あ、今はこんなことを言い争ってる場合ではありませんでしたね、龍太さま誠に遺憾でありますがこの奥村さんが専属メイドとしてつくので何か問題がありましたら今すぐにでも私に言ってください、すぐに交代させますので」
「は、はい、わかりました」
「大丈夫です、私が龍太さまのお世話を完璧にこなすのでメイド長に苦情はいきませんよー!」
「はぁ、だといいのですが」
「またそうやって!」
何だか二人の雰囲気がまた悪くなってきた。
「ねぇ、須原私お腹がすいちゃった、お昼まだなの?」
「あ、申し訳ございません直ちにご用意いたします」
リンが高城さんの気を紛らわしてくれたお陰で何とかまた言い争いが起きるのを回避できた、ナイスだリン。
「龍太さま、今からご昼食の準備をいたします、ご用意が出来次第すぐにお呼び致しますのでしばらくお待ちください」
「あ、はい、わかりました」
そういえばもうそんな時間か、結構母さんと長く話していたみたいだな。
「それではリンさま、リンさまもお部屋にお戻りになりましょう」
「うん、それじゃあ、お兄ちゃん後でね」
そう言って高城さんと一緒に僕の部屋を出ていった。
「やっと二人になったね、龍太さま」
「そうですね奥村さん」
「敬語も要らないし私のことはコマちゃんって呼んでいいよ」
「いや、流石にコマちゃんは...小町でお願いします」
「あはは、いきなり馴れ馴れしくしすぎたかな、でもこれからお世話する人とはなるべく仲良くなって起きたいからね、そうした方がどうやってお世話をすればいいの直ぐに見えてくるの」
何だか思っていたよりもしっかり考えていたようだ、まぁ、僕も堅苦しいのは嫌だからな。
「それじゃあ、お互いのことをもっと知るためにもう一回自己紹介でもしようか」
「そうだね、それじゃあ私から
私の名前は奥村小町、この屋敷のメイドをやっているよ、今までは屋敷の管理が仕事だったけど今日からは龍太さまのお世話が係りだね、好きなことはお昼寝で年齢は18才だよ」
あ、やっぱり年上そうだとは思っていけど3つも違うのか。
「やっぱり年上だから敬語の方が...」
「だーかーら、敬語はいらないって!」
「は、はい、それじゃあ今度は僕の方から
僕の名前は一条龍太で高校生、好きなこととかは特にないかな、年齢は15才だよ」
「お、さっきの会話から年下なのはわかったけど3つも違うのか、じゃあ私がお姉さんとしてしっかりとお世話しないとな!」
「あはは...それじゃあお願いしようかな」
今まで人にお世話されるなんてことが無かったから思わず乾いた笑みを浮かべてしまった。
「さて、それじゃあさっき最後までできなかったからやります」
「ベッドメイキングするのか?」
「いや、そんなことしないよ
さっきのメイド長に邪魔されたお昼寝の続きをするんだよ」
うん、何となくこの人がダメなのはわかったぞ...。
はぁ、何か知らないうちにメイドは付くし、そのメイドは心配しかない人だがこれから大丈夫なのかな...?